よ、ようやく終わりが見えてきたこのシリーズ、前回はこちら!
※
※
さあさあフランス映画だよ!
今年、映画館で観た映画でいちばん意味が分からなかったのがこれ……え?だってさあ、心理スリラーかと思ったら超常現象が普通に発生するし、ていうかそれはいいんだけど話の展開に影響するレベルで現実に干渉してくるし(主人公が死んだかと思ったら生きてたし)、最後は急にオリエンタリズムに走るし……蛇足じゃない!?それ要る???……なんで評価が高いのか(俳優の演技はいいと思う)、本当に分からなかったので敗北です(映画鑑賞を勝敗の比喩で語るのはやめなよ)。
※
『赤い風船』『白い馬』
人ならざる存在と心通わす少年のお話、2篇!初めて観たんですけど、物語自体はシンプルで寓話的だけど、映像の迫力というか、その場所、その時間でしかあり得ない物語を映画で紡いでいて迫力があった。でもお話としては、子供の無邪気な心が彼我の境界を越えて後戻りができなくなる、というたぶん人類共通の恐怖についての物語なんだよね。本作、本邦の画家や作家にも大きな影響を与えているらしいのですが全然知らない作品だったので映画館で観れて良かったです!戦後直後のパリの街並みも、フランス南部の湿地帯の茫漠とした景色も、それ自体が主役のようでしたね。
ところであの赤い風船、つやつやと鮮やかな赤が非常に印象的で、周囲の風景もきちんと映り込んでいて存在感が素晴らしかったですが、どうやって撮ったのかもう分からないって本当ですか!?こんな有名作品でも撮影技術がロストテクノロジーになったりするんだね…映画って大変。
※
『ポンヌフの恋人』
レオス・カラックス!なんかシネフィルたちが大好きな(悪口ではありません)レオス・カラックス!!『アネット』しか観たことないので観ました!!うおお破滅的な運命の恋!!!いや監督が”破滅的”を意図してるのかは知らんけど…。でも主役のカップルは『アネット』の二人みたいだったよね、監督のイマジネーションの原型なのかな。
で、確かに監督が元々「素早いスケッチみたいに」撮りたいって言ってたのも分かるなあっていうか、橋の上でだけ成就する恋、だよなあと思いながら観ていて、あの二人が酔っぱらって橋がミニチュアみたいになる場面でマジでびっくりしました。あの場面が映像的な飛躍という意味で一番すごい。とはいえプロダクションノート読んだらクリスマスの降雪シーンが実際には7月だったとか、まあ本当に何もかもが大変だったのね、と思いました(ジュリエット・ピノシュが寒そうだったけど寒くなかったなら良かった)。
レオス・カラックス作品は来年以降も4Kリマスターの劇場公開がいくつか控えているみたいなので楽しみですね!!!本作のパンフレットがめちゃ凝っててかっこいいんだけど(オープンセットの空撮写真が載ってるのでみんな買おう)、シリーズで構想しているのだろうか。
※
※
最後はその他アジア映画!くくりが雑だよ~~~!!!!
『ホワイト・ストーム』
あれよ、怒涛の香港映画再放映ブームの一環で観たやつのひとつです、はい。ラストのカーチェイスには腰を抜かしたが、全体的には最近(?)の香港アクションってこんな感じだったわ~、と微笑ましく拝見しました。とはいえフルコンタクトの格闘アクションとか達者な主演3人の熱演とか、見どころたくさんでしたよ!!
※
『冬冬の夏休み』
実は初めての侯孝賢、評価が高すぎる監督の作品って逆に観るのに勇気が要りませんか…???いやこれまでに観た現代台湾映画ぜんぶ好きで、間違いなく影響を与え合っている侯孝賢が苦手ってなるわけないとは思っていたんだけど、でもやっぱ怖いじゃんか。ちなみに録画とかDVDはちょっとだけ手元にあるんだよね、さっさと観ろよ。
んで満を持しての侯孝賢、よ、良かった!!!田舎の親戚に預けられた少年の視点から、人生の痛みと苦みに耐える大人たちの姿、日常にある暴力と死、伸びやかに駆ける子供たちの様子、きらめく陽光の下ですべてが鮮やかに映える夏映画でしたね!端正な構図の長回しで浮かび上がる人間模様やエピソードの積み重ねで紡ぐカタルシス、個性的な俳優陣の存在感などぜんぶが有機的につながって、「一度きりのあの夏」を形作っている。物語の舞台は時が止まったような田舎で、人々は変わらないものに囲まれて暮らしているように見えて、やがて来る(あるいはもう来ている)変化の時代の予感が背景に輻輳し、明るい陽射しに照らされた風景に微妙な陰影をもたらす。
複雑な歴史(もちろん日本は責任の一端を負っている)と豊かな自然環境に裏打ちされた美意識が、台湾映画の重要な一要素であるということがものすごく腑に落ちたのも良かったです。
※
『ヤンヤン 夏の思い出』
今年2本めのエドワード・ヤン、『カップルズ』の感想はこちらに書きました。上で書いた『冬冬~』といっつも混同していたのが、ようやく鑑賞したおかげで大丈夫になりました!やったね!!
タイトルが、登場人物の中で(少なくとも映画開始時は)最年少の少年の名前になっているんですけど、彼を取り巻く大人たち、祖母の世代から年の離れた姉まで、隣人や仕事関係の人々までを含めた、台湾社会を構成する全員の群像劇だったのがすごかったです。3時間の長尺で、ひとつひとつの場面は丁寧なのに展開は手際よく、平熱なのにドラマチックで、ひと夏の間にみんなの人生が不可逆に変わったことを、オープニングの結婚式からエンディングのお葬式の間に見せていて、だから映画を撮るんだ、という監督の決意表明にもなっていてすごかった。個人の人生だけじゃなく、台湾の社会も劇的に変化していった時代そのものを、これからそこに生きる少年の眼を通して、映しておこうという気概があった。
夏、親族がごたつきながらも都会で暮らした少年の話として『冬冬~』のアンサーソングみたいにも思えて(もちろん意識していただろうし)、近い時期に両方を劇場で観れたのは幸運だったのかもしれない。
今年の夏に台北に旅行に行って、「台湾ナショナルフィルムセンター(TAFI)」を見学…っていうかイベント参加してきたんですけど、すごく新しくてきれいに整備されていて、台湾の、文化芸術の発信力強化を進める方針の一環として(たぶん)、古い映画などの修復・保存・発信を精力的に行っていて、そのおかげで権利関係とかが整理されてデジタルアーカイブ化されて、配信も無く円盤は中古品が高騰し、みたいな状況だった台湾映画の名作たちを観れるようになったんだね。すごく充実した資料集みたいなパンフレットをもらったりしました(ちょっと話題になった万博映画のポストカードもついてた…!)。本当に助かる、ありがとうございます。
※
『落下の王国』
一応、インド映画なのでこの枠で……(無理やり)。なんか伝説化していたけど観る機会が無くて、とか思っていたら去年?BSで放送したんですけど録画だけして劇場公開を待っていたらついに!来たのでいそいそと観に行きましたよ!!!
個人的に、登場人物の誰にも感情移入できなかったのでストーリーはともかく、映画館で観て良かったな~~~と思いました!!!音楽と映像のマリアージュ(?)がオープニングから圧巻!!でしたね。精緻に計算された開幕から考えるとラストがちょっと甘いんだけど、監督が、アレクサンドリア役の少女のリアルな反応を見て展開を変えて行った、というのを知ってなるほどな~~~と思いました。あとロイは、女に振られてヤケを起こすような性格だし、明らかに俳優業より脚本とか製作側の人間だと思いますね。早く自分の才能に気付け。
いやでもキャストやスタッフを騙して撮影するのは倫理的にどうなん…なんかこの辺りも伝説化してるから(30年前だしそりゃあね)真偽は良く分からんけども。しかし好きな人が多いの分かるよ、監督、良かったね!!!
※
※
お、終わった……映画館で観た旧作映画の感想ぜんぶ書くシリーズ……なんで始めちゃったんだろう……。
ということで本当に年が明けてしまうのでこの辺で終わります。
では!!!