前回はこちら!
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まだ続いてたんですか!?そうだよ!!!今年、初見、映画館、という条件を満たす旧作の話をしています!!!しかし今年の後半はマジで異様に旧作の上映が充実していた…やはり円安の影響だろうか?旧作の上映回は割といつも客が入っていて、業界的には結構なことです。まあ映画館に高いお金を払って「外れ」に当たりたくない、という消費者心理は分からんでもない。いい感じに稼いで、誰が観るんか分からん外国の地味な映画も張り切って仕入れてください。お願いします(誰に言ってんの?)。
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まずは邦画!(でまとめるのはあまりにも乱暴では??? はい……)
なんと初見でした!や~~~長く愛されるの分かるね~~~(訳知り顔)。監督のやりたいことと、主演4人の一瞬のきらめきが奇跡的に邂逅して出来上がった唯一無二の青春映画だね!オープニングの、文化祭の準備に湧く校内の様子を長回しで手際よく映していくのとか、登場人物にあんまり寄らずにポジションとか身振り手振りで関係性やその変化を示してるのとか、学校という空間、文化祭という時間そのものが主役みたいな撮り方によって普遍性を獲得してるのかなあと思いました。
あと、練習風景をぶつ切りにして観客の音楽への渇望を昂進させ、ラストのステージのカタルシスに繋げてるのが上手いなあ、とか。みんなが知ってる曲だからこその仕掛けだよね。
しかし特に序盤、リップシンクがえらいずれててめちゃくちゃ気が散ったんだけど、あれはどういう……。
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あまりにキャッチ―なタイトルだけ知ってたけど、まさか映画館で観る機会があろうとはね!個人的な感想としては、アメリカン・ニューシネマの生き残りが極東の島国で行き止まりにぶち当たって散った終焉の花火って感じ!最初と最後は『バニシング・ポイント』を意識してるのかなと思いましたが、どうでしょうね…(見当違いだったらごめん)。
走り屋のグループが内部から崩壊していく過程が非常に日本的で興味深いのと、それのカウンター的な組織は戦中派の大人たちが牛耳っていてこれも面白い(当時の監督みたいな若者たちには世界がそう見えていたんだろうか?学生運動の終わりと、大人たちが担う高度経済成長とかが)。そしてそういう現世のしがらみの全てをぶっちぎって疾走してゆく仁さん!!もうわたしには背中すら見えないが、その土埃だけをいつまでもぼんやりと見つめているよ……。
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英語圏の映画!(なんと乱暴なまとめ方でしょう…………)
『レッツ・ゲット・ロスト』
今年2本目の音楽ドキュメンタリー!チェット・ベイカーについてはもう完全にイーサン・ホークの顔で脳内再生されるのですが(『ブルーに生まれついて』はいい映画だよ!かっこいいし)。さすがにそれはちょっと申し訳ないな…と思って観に行きました!監督がチェット・ベイカーに惚れ込んでいることが良く分かる作品で、関わりの深かった女性たちが口を揃えて、まあロクな男じゃないけど、いいところもあったのよ、みたいなことを言うので、こちらとしては、ハイそうですか…(神妙)みたいな感じでした(何それ)。背景に入っている波の音や車の往来の音が、チェット・ベイカーの演奏と重なったり遠ざかったりして素敵だったわね。
本作の撮影直後にご本人が亡くなったのを知って、監督、間に合って良かったね!!などと思いました。
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ジム・ジャームッシュ、みんなが好きなやつだ!お、おしゃれ~~!(安直な感想)
どうにかしてその場を成立させる(場を終わらせない)ための会話、が登場人物みんな上手すぎて大人って…と思いました!これ脚本あるの??アドリブの割合はどれくらいですか???なんとなく始まったその場しのぎの(あるいは目的を共有していない)会話が、気まずくならずに上手く着地するかどうかはテーブル上に広げられたコーヒーと煙草をみんなが楽しめるかどうかにかかっている…みたいな確固たる哲学を感じましたね。コーヒーと煙草を!話はそれからだ!
それはそれとして、ラストの『シャンパン』が理想の大往生すぎる。みんなもそう思うよね???
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『ジャグラー/ニューヨーク25時』
存在すら知らん映画だったが(無知!)面白かった~!!リュミエール兄弟がフィルムを回し始めたその日から(修辞的表現)、映画というのは動きを写し取るものだったはずであり、そのことを再び宣言するかのように、登場人物みんな走り回る!!!というか、走り回っているからこそ物語を駆動できるのであって、だからこそカメラによってその運動は映される価値があり、椅子に座ってるだけの奴に割くようなフィルムなど存在しないのであった。なるほど。移動中の電車(地下鉄?)の中でさえ人混みを押しのけて走り続けるんだよね。そうしないと全てが終わってしまうとでも言うように。
当時のNY、めちゃくちゃ人が多く(それは今もか)、なんだか荒っぽく、猥雑で、エネルギッシュではあるけどうっかり呑み込まれてしまいそうな怖さがあって、それが存分に映画に映っているのがすごく面白い。これは再現しようと思ってできるものでもないよね。まあパンフレットによれば路上での強引な撮影により勘違いした通行人に警察を呼ばれたり、撮影中にマジの刃傷沙汰が起きたりしていたそうですが……野蛮!!
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『荒野の誓い』
非常に渋くてルックスも凝ってて達者な俳優が揃ったいい映画だったけど、途中からずっとお葬式だった…キツい!!!
19世紀末、様々な勢力が暴力的に対立するアメリカ西部で、全く融和的でない多様なメンバーによる旅路の行方を抑制的な演出で丁寧に描いてて、先住民の信仰文化や生活習慣などの細部も興味深く、現代の人間から見ると何を考えてるのか掴みにくい登場人物たちにだんだん親しみが湧いてくるのがすごい良かったです。良かったけどそれゆえに最後の展開が、まあつらいことです……。
シャイアンの首長による日常の儀礼や葬送の儀式が非常に荘厳で美しく、大地に根差した文化というものの、現実に及ぼす力の強さみたいなものをリアルに表現されてたのも素晴らしかったです。
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キャスティングの勝利!!!いや、最初、クリニックに行って処置を依頼するところくらいまで、なんでジム・キャリーなんだろう…黙ってれば二枚目(失礼)だけど…と思っていたのですが(本当に失礼だな)、記憶の冒険にでかけるくだりで、大納得だった!記憶があったり無かったりしてそれに伴って感情が移ろい変化していくのを、表情や仕草の完璧なコントロールによって繊細に表現していてさすがだったね!あとケイト・ウィンスレットとの組み合わせも、あんな演技巧者な二人がこんなチャーミングなカップルになるなんて!という新鮮な驚きがあった。驚いてばっかりだよこの人。
それから、病院事務のキルスティン・ダンストとエンジニアのマーク・ラファロも、当時は若手とはいえこんな上手い役者をこんな単純そうなキャラクターに?と思ったが、もちろん(製作陣の)深謀遠慮に踊らされていただけだったのでした。
私が観に行った都会の映画館ではけっこう客が入っていて、記憶の冒険を終えて長い夜が明けたときの安堵感と喪失感を、みんなが共有していたのが忘れ難い。息をつめて見守っていた観客みんなが、夜明けの場面でそっと息を吐いていた。
ストーリーも「少し・不思議」系のSFで大好きなやつだったね!人間は過去の後悔や過ちに囚われていつだって愚かな選択をしがちで、物事がずっと上手くいくなんてことはないけれど、それでも誰かと出会うことはかけがえのない奇跡であり、いつか終わりが訪れたとしても、共に過ごした人生の一部には確かに意味があるということを、軽やかに、真摯に語っていて素敵だよね。
SF的な話でいくと、ヒロインの髪の色で時系列を示唆する仕掛けが映画という媒体にピッタリで上手いなあと思いました。
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ダニー・ボイル、ずっと同じことやってんな…???(参考:『シャロウ・グレイブ』)いや個人的にぜんぜん好きなタイプの映画ではないんですが(ていうかダニー・ボイルについては最初に観た『イエスタデイ』があまりにもピンと来なかったので評価が辛辣になりがちなんだよね、ごめん)、『トレイン~』を観たあとに『シャロウ~』を観たら、無責任・無計画・無関心の三拍子そろった主人公たちが衝動を持て余してその原因からは目を背け続けた結果、全てが悪い方向へ転がっていくが最後に残った主人公が棚ボタ的に大金を手に入れてなんとなくハッピーエンド、みたいな、いや同じ話じゃん!って……。
エディンバラの荒れた社会状況とかドラッグ中毒な若者の生活スタイル(?)が生々しくて興味深く観れたけど、そういうのもういいかな、ってなっちゃった。今年は『KNEECAP/二―キャップ』とかいう似たような境遇からのし上がったミュージシャンバイオピックがめちゃくちゃ面白かったから、フィクションのくせに現実よりつまらんな、とか思ってしまったのもあるね。ごめんね。たぶん映像表現とかが革新的だったりするんだろうけど、あんまり映画でそういうのに感銘を受けないタイプの観客なんだよね、自分…。
続編もわりと評判が良かったような記憶がありますが、観てない。まあいずれ。
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ごめん長くなってきたから続きはまた別記事で……続くんだよ、まだ……(フランス映画編とアジア映画編がある)。
次回で本シリーズ完結予定です!
では!!!