上半期まとめの季節ですねっ!!!
とりあえず手の付けやすそうな、インド映画の感想をメモっておきたいと思います!いや「インド映画」って一括りにするのもあんま良くないかな~という思いもあるんですが、素人だし許してもらお、という舐めた考えでこのカテゴライズです。
王道のスター映画からしんみり美しい人情ドラマ、意欲的なサスペンスまで、バラエティーに富んでて相変わらず良かったです。リバイバル上映とかもたくさんあって、ぜんぜん追いつけてないですけどね。最近はハリウッドのビッグバジェット系映画も上映時間がどんどん長くなっているので、インド映画だけが特別長いという感じも無くなってきて、映画ファン的にも視聴ハードルが下がって、インド映画の観客の裾野が広がっているような感触があります。いや知らんけど。
ということで、短めの感想とか日記です!!
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『カルキ2898 AD』
ファンタジーアクションSFとインド映画の相性、良すぎるな!?!?
不毛の大地、スラム化した街、極端な階層社会、神話ベースの世界観、魔法のようなテクノロジー、謎の美女、醜悪で強大な権力者、愉快なガジェット、砂漠のカーアクション、不思議な使命を帯びた主人公……!!!!!全部入りじゃ!!!!あと信じられんくらい物理的に強くてデカいご老人とかも出てくる。魔法も使える。無敵!!!!続編はいつですか!!!!
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『コムライヤ爺さんのお葬式』
南インド・テランガーナ州の農村で、一人の老人が亡くなった。生前は口煩く強情で、家族も村の人間も一定の敬意を払いつつ疎んじていたのだが、やっぱりお葬式はちゃんとしなくちゃいけないんだなあ、から始まる悲喜こもごもの人間ドラマ!
11日間続くお葬式では各種の儀礼や宴会が営まれ、もちろん家族親戚総出で無事に遂行することが求められるが、そもそも外戚と子供たちの折り合いが悪かったり借金があったりで顔を合わせれば大騒ぎ、食事や儀式の準備でも村の住民が加わってひと騒動、何もかもが混乱する中、お葬式を完遂することができるのか!?!?
儀礼の様子やそこで歌われる歌、振舞われる食事、各々が誂える衣装、様々なレベルでの風習が、当地出身の監督らしい細やかで親密な撮影で描写されて素晴らしく、非常に興味深くて面白かったです。俳優もこの地域出身者で固めているそうで、全員の非常にリラックスした所作とセリフ回しが印象的でしたね(もちろんひとつも聞き取れませんが!)。
わたしはこういう、遠くの地の知らない事物が丁寧に撮られている映画が大好きで、本作はさらに監督の深い愛情と理解が感じられて本当に良かったです。まあ登場人物が多すぎて(なんせ親戚がみんな集まってくるから)混乱はするけど、それは昔の邦画とか観てても一緒だからね!!
『リシの旅路』
現代版に最新化されたヒーローもの!!だよね??
貧しい出自から努力を重ねてIT長者となり、青春時代を過ごした友人とともに資本家からの搾取に立ち向かう小さな村を支援する、ていうね!この、都会で大成功した男に倫理的正しさを思い出させる旧友という役どころ、そんなん泣くだろと思いながら観ていたが案の定泣いた。そして村でも反発をくらいながら協力者を得ていくのですが、大地とともに生きる土地神のようなおじいさんのたたずまいが素晴らしくて、クライマックスのあたりでまた泣いた。
なんかこう、道徳的な映画ではあるんですけど、そこに熱い血が通っていて、そりゃそんな上手くいかねえよ、みたいな見方もあるんだろうけど、それだけで終わらせられない深い実感と強烈な希望が伏流していてアツかったです!
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『ジェイラー』
ラジニカーント御年70歳!?その歳でこのド派手なノワールアクション映画を!?!?
ベテランの競演陣もぜいたくな使い方をして、ずーっと見どころ、みたいな映画でしたが、ラジニカーントと渡り合う羽目になった若手がものすごく頑張っていて思わず本筋とは関係ないところで応援したくなったよね。すべての見せ場をたっぷり撮っている長尺の作品ですが、どんでん返しと大オチまできっちりミスリードしたり伏線を張ったりと、物語上の工夫もあって良かったですよ!
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『デーヴァラ』
かの大スター、NTRジュニアが主演、という情報だけを得て観に行ったところ、海洋民族が主役のサメ映画だったので、新鮮!!!てなりました!(ダブルミーニングではない)
で、海を中心としたアクションは見ごたえがあり、悪役の存在感も色気も抜群だったのですが、それはそれとしてラストよ!!!なに!?急旋回でそこまでの記憶が吹っ飛んだわ!!続編はいつ来るんですか!?!?そこまで引っ張るならパート1て言えよ!!(原題にはある)(今年はそういうのが多かったな~)『K.G.F』とか『PS1』みたいに同時に来てくれたのは、そりゃ待ちわびたファンの皆さんには歯がゆいだろうがライトに追っかけてる観客層には割とありがたいことであった。
そういや南インド発の映画、割と警察とか公務員が悪役とかラスボスとかになりがち。南インドの反骨精神ってやつだろうか。
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『ジャッリカットゥ 牛の怒り』
2021年の公開当時は観てなかったんですが、評判がいいので気になっていた一作ですね!牛が激突してくるような強烈なポスタービジュアルが印象的な、南インドはケーララ州発、マラヤーラム語映画だそうです(もちろん聞き取れないよ!)。
まず冒頭で、聖書の黙示録の引用から始まるのがめちゃくちゃカッコいい!!で、キリスト教徒が中心の村だから、牛肉を扱うお肉屋さんがあるんだね!なるほど!!!
開幕早々、目の覚めるような劇伴が鳴り響き、うねる原初のリズムが人々の躍動とシンクロして増幅していって、圧巻のクライマックスまでノンストップでなだれ込む、その疾走感たるや!要所で差し挟まれる息を吞むようなロングショット、群衆の汗や怒号が観客に迫る手持ちカメラの長回しが物語に独特のリズムを生んで、実在の村や森の映像はこってりと美しく、見どころの多い映画でした!これは映画館で観る甲斐があるね!
しかしおそらくたっぷりと詰め込まれた隠喩や風刺はあんまり理解しきれてない気がするな…ということで、原作の文脈を踏まえた興味深い解説がこちら。かなり明確に、拝金主義的資本主義に翻弄される人間を風刺している気がするね……?
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『政党大会 陰謀のタイムループ』
党首暗殺を企む悪辣な政治家たちの陰謀を阻止すべく、タイムループに巻き込まれた男が奮闘するポリティカル・アクション!
古今東西、様々なタイムループものに敬意を表しつつ工夫を凝らしたタイムループの展開で物語を牽引し、加速し重なっていくアクションにも観客が慣れ始めた中盤に一気にギアチェンジする脚本の上手さ!『ジガルタンダ』で主役を演じたS・J・スーリヤーが悪徳政治家と組んで破壊活動をもくろむ強敵の警察官で、やっぱ悪役がいいと映画が締まるねえ!!と思いました。硬軟自在で憎々しいけど魅力的なヴィランでしたよ!
ということで盛沢山のエンタメ全振り映画ではあるものの、はっきりとした政治的メッセージも込められていて(「政治闘争に暴力を持ち込むな」「宗教同士は対立しないほうがより良い未来を築ける」など)、映画という媒体に観客がそういうのを求めてるんだよなあ、とインド映画を観るたびに思うわけです。というか、我ら現代日本人が少年漫画から勇気や友情の大切さをインストールするように、インドの青年たちも映画から普遍の価値観を学ぶのかもしれないな。
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『ヴィクラム』
『囚人ディリ』がフレッシュで面白かったので、ローケーシュ・カナガラージ監督作品がどんどん公開されてありがたいなあ~~と思っています。買い付けて上映してくれるみなさん、マジでありがとうございます。
で本作、警察権力と血縁マフィアと謎の覆面集団が繰り広げる三つ巴の血みどろ暴力抗争が主軸なわけですが、割と語りが目まぐるしく移っていくのと、誰が主役でもおかしくない感じの豪華な布陣のおかげで話の展開が読めなくて面白かったね!!
ところでアクション映画が成立するためには暴力の遍在(偏在ではないよ)が不可欠なわけで、その配分先とかバランスとかにセンスが求められるわけですね。本作ではそこをちょっと踏み込んだ感じがあって、感激して涙ぐんでしまったよ(泣くような映画ではないです)。監督、かなりの映画好きっぽいのだけど、暴力映画の世界的なトレンドも押さえようとしてるんじゃないかなあという気がしました(本国では2022年公開)。知らんけど。
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『レオ:ブラッディ・スウィート』
またお前かよクローネンバーグ!!!
パンフによれば着想元は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』だそうで。いや聞いてくださいよ、自分、人体損壊系ホラーはマジで苦手なので、デイヴィッド・クローネンバーグは避けて生きてきたんですよ(『ザ・フライ』はうっかり、『裸のランチ』は行きがかり上、観た)。もちろん新作ホラーもクローネンバーグのフォロワーっぽいやつは観ないようにしてるんですけど、今年めちゃ当たり年で、意図せずクローネンバーグのフォロワーに当たるの、すでに3本目なんですよ。どないなっとんねん。
ということで、血みどろアクションノワール×王道スター映画、という期待通りの出来栄えかつ、意外なバディ設定もあって(あれもっと観たかったよね!?)大変楽しませていただいたんですが(ローケーシュ・カナガラージ監督は剛腕だな!)、これはもう着想元のクローネンバーグも観念して履修すべきか…???ってなってるところ。いや~どうかな~……(逃げ腰)。
あと本作、続編がいくらでもつくれそうな設定だったけど、ヴィジャイ大将は政界への進出を決めているので、この座組での続編は無いんだよね?たぶん。
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はい!
ということで、全部書こうとして長くなった感想メモでした!!!どうですか、インド映画、盛り上がってますか!!!今後も面白い映画に出会えることを祈って!!
では!!!