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映画『サブスタンス』を観てラストシーンでぼろ泣きする

ほとんどの人が感想やら考察やらを出し尽くしたであろうこのタイミングで、今さら感想文を!?!?……はい……

というわけで、2025年前半のホラー映画界を席巻した(たぶん)『サブスタンス』、こ、怖かったねえ~~~!!!

そもそも人体損壊描写が多いホラー、スラッシャーもの以外だと身体変容系のいわゆるボディ・ホラーも苦手なので、しかしあまりにも海外の前評判がいいので、覚悟を決めて恐る恐る観に行ったわけですがね…すごかったね……。ホラー映画というジャンル、誰かの(何かの)負の感情が現実世界を侵食し具体的な現象として立ち現れ、何かを(誰かを)致命的に損なう、という物語を語っているんだと思うんですけど、『サブスタンス』で表現される怒りと悲しみの質量(本来は実体が無いはずの、感情の「質量」)がとてつもなく圧倒的で、ちょっと受け止めかねるほどでした。

以下、展開についてのネタバレありで雑感だよ!

ハリウッドに代表されるアメリカの(エンタメで表象される)文化をめちゃくちゃに皮肉っていて、いくらなんでも容赦がなさすぎる、と思いました!主人公のエリザベスがやたらDIY得意なところとか(まじでプロ級)、その割に食事をないがしろにしがち…ていうか、むしろ価値を生まないから”罰”として機能しているところとか。でもあれだけDIYの技術とセンスがあって、あんなに難しそうな料理も初見で作ってしまうの、相当に才能があるよね、うまくプロデュースしたら余裕で大人気カリスマ長寿番組がつくれたと思いますが。…って感じてしまうのは、監督の意図通りなんだろうか。まあそうなんだろうな、男たちが作った社会が押し付ける単純な価値観でしか自分自身を測れないから、自分が持っているものに気付けないんだよね、エリザベス…うぅ。エリザベスを救うかもしれなかった傑出した才能についての描写をアメリカへの皮肉につかってしまうの、あまりにも意地悪。フランス人、期待を裏切らない(偏見だよ!)。ていうかアメリカへの皮肉をキューブリックアメリカ人)のスタイルでやるってのはマジで何なの。それも含めて皮肉なのか。

まあでも、お前らがこんなバカみたいなことやってるからこんなにも強く美しい女たちを怒らせて、大惨事だよ!!!っていうメッセージはめちゃくちゃ伝わりました、はい。

でもさあ~、あまりのエスカレーションに笑うしかない、っていう意味ではすごい笑ったけど(個人的に一番ウケたのは、エリザベスが構えたハンドミキサーの動作音がチェーンソーみたいな音になってたとこ。攻撃性の暗喩っていうか直喩!?なんじゃそりゃ!!)、「面白うてやがて悲しき」の「悲しき」部分が理解できなかったみたいな感想は、まあまあ見かけたよね。主に中高年男性で……。どう観てもずーっと悲しかったじゃんね、エリザベス、もういいよ、貴方をそんな風に扱うパーティなんか抜け出して、俺と世界を征服しようぜ、って言ってあげたかったじゃん……。えーん、書いてて泣きそうになってきた。

で、あの中盤のディナーをドタキャンするシーンをどう感じたか、が完全に踏み絵になっていていっそ面白いわ、みたいになってたよね。インターネットの感想戦。あの展開、たぶんかなり丁寧に脚本や演出が練られていて、エリザベスは何も喋らないけど、どうしても自分を愛せない葛藤と苦しみが痛いほど表現されていて、観てるこちらまでほんとうにしんどくて、で、たぶんあの同窓の男性は、本当に心の底から「世界で一番かわいい女の子」って思ってくれてるんだろうな、ていうのがあの短いメッセージとそのタイミングから伝わってきて、感情がしっちゃかめっちゃかだった。エリザベスは、こんな一般人に認められても私は満たされないのでは?っていう自分への疑いを払拭できなかったんだよね。で、素朴な憧れの気持ちを向けてくれている人(あの人たぶん、部屋に招いたらDIYの腕前も褒めてくれると思う)に対してそんな風に思ってしまう自分のことを心底嫌いになっていて、それがかわいそうで仕方なかったよ、エリザベス…。

あの一連のシーンを、「しょうもないプライドに囚われたバカな女」みたいなことしか言えない映画アカウントが散見されてびっくりしたよ俺は。映画をたくさん観てても分かんないもんかね!?!?それこそ、エリザベス(あるいはデミ・ムーア)の表層的なキャラしか見てないってことの証左なので、非常に批評性のある現象だなとは思いましたが…。いやわたしのところまで流れてくる感想なんて、相当の上澄みだからね。女性陣およびクィア的批評のできる映画アカウントたちの力の入った(批判的な視点も込みの)分析や解釈に比べて、ジャンル映画ばかり観ている男たちのなんという底の浅さよ、と嘆息したが、この分断の可視化も込みで製作陣の意図通りだったら大成功だよ、とお伝えしたい。ちなみに浅すぎる感想を述べている男性陣は老若問わずだったので、それにも絶望した。お前らにはがっかりだよ!!!!

宣伝のダメさもちょっと話題になっていたが、炎上狙いかと思ったらそうでもなくて素でダメなだけだった、ていう話は上記の分断の縮図だったのかもしれない。は~~批評性がある~~(これは広報担当への悪口です)。

個人的には、岩井志麻子に感想を聞きに行って欲しかったです。ホラー小説でデビューしてテレビ業界にも長く身を置いていて、どう考えても適任だろ。どっかで真面目に喋ってたら教えてください。ゾンビみたいになったエリザベスがスーを殺しかけて、でもやっぱりこの子を生かさなくちゃ、ってなるシーンの感想とか聞いてみたい。ちなみにわたしは泣いた。

エリザベスの攻撃性の話、エリザベスの怒りや悲しみは容易に攻撃性に転嫁するけど、それがすべて(スーも含めた)自分自身へ向かうのが本当にしんどくて……、どれだけ自分を憎めば社会から許され、認められるのか、もうさあ、こんなパーティ抜け出して(以下略)。

クライマックスもさ、エリザベス(とスー)をその場に押し上げたすべて(スーのファンである少女とその母親もね)に血飛沫を浴びせて、自分は退場するんだよ……えーん。べつに関係者全員を死なせても良かったじゃん、あんな世界なんか滅ぼしてもいいじゃん、なのにただただ傷付けられ、自分の全てを捧げて、いなくなっちゃうなんてさあ……ホラー映画のヒロインなのに、こんなことってあるか。なんでこんな悲しい話なの。

ずっとエリザベスがかわいそうでたまらなくて、ラスト、ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムみたいなところでエリザベスが曇りのない笑顔を見せた瞬間に涙腺が決壊し、大泣きしながらエンドロールを迎えたのでした………………うわーん!!!!

で、あまりにも悲しくて怖いので冷静になろうとして考えていたことは「ボディ・ホラーの主人公はフィジカルが強い」です(そりゃそう)。わたしだったらもう死んでるな、みたいなところでしぶとく生き延びる必要があるからね。スーをあんなに長いこと生かせたのも、エリザベスのフィジカルあってこそよ。老人になっても死体を抱えてダッシュできる脚力!!

それとは別に、エリザベスをつまらんパーティから連れ出して世界を滅ぼし新たな千年王国を立ち上げるためにもフィジカルの強さは必要なので、とりあえず健康の維持増進に努めようと決意を新たにしました。まあそれはそれでいわゆる「健康ファシズム」っぽいのでちょっとアレですが……そのあたりは今からちょっと考えますね……。

ここからは『サブスタンス』と直接は関係ない話なんですけど。

ボディ・ホラーといえばデヴィッド・クローネンバーグで、本作もオマージュシーンがあり、わたしでさえ観たことがある『ザ・フライ』とかが引用されていたり、あとは『裸のランチ』をかなり意識したであろうルカ・グァダニーノクィア/QUEER』を観たりして、なんか意図せずクローネンバーグに行き当たる昨今なんですけど。いや身体変容系は苦手なのでその2作しか観てないんですけど。しかしこれだけ参照・引用されているならたぶん意識しないうちに観てるオマージュもたくさんあるんだろうし、評判がいいやつだけでも観念して観るか…ていう気分になってきました。配信とかあるんかね?さあ………(勇気が出ない)。

ということで、泣きながら書いた『サブスタンス』の感想でした!!!

世界、滅ぼそうぜ!!!!!(Take care of yourself☆)

では!!!




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