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つくられたもの,つくるひと,愛 - Scrum Fest Niigata 2025

2025 年 5 月は新潟月間(n=1)でした.このブログでも触れる Scrum Fest Niigata 2025 が 5/9(金)-10(土) に,PHPカンファレンス新潟2025 が 5/30(金)-31(土) に開催されました.特に,PHPカンファレンス新潟2025 に関してはコアスタッフをしっかりやってきました(し,なんと登壇もありました).
 
www.scrumfestniigata.org  
fortee.jp  
この記事は Scrum Fest Niigata 2025 の参加記です.その帰りの KIJ→CTSFDA 機内で書き始めましたが,次の経路の札幌→旭川の特急カムイの中で続きを書き,さらに伸ばし伸ばしで今に至ります.
 

二次会一本勝負

参加記であることは間違いないのですが,あまりにも濃度の高い満喫を決められたので,公式懇親会の後にあった二次会の話の一本勝負でいこうと思います.
 
二次会は,キーノートをつとめられた藤原さんPHPカンファレンス新潟2025 実行委員長の @nicozetsche さん,ぼくの 3 人で 3 時間越えの最高雑談飲み会となりました.自分としてはめちゃくちゃおもろい話が聞けたし,できたしでほくほくです.
 
大体,キーノートをつとめられた方をこんなに占有してよかったんでしょうか(今更).自分が主催したカンファレンス以外ではなかなか起き得ないシチュエーションに感謝です.
 
ここで自分の満足が爆発したテーマをあえて言葉にするならば,「"つくる" ことがふつうの暮らし」と「局所的ひらめきとこだわりを愛でる」でしょうか.言葉にするのは難しいですね.これだけで 2 本ブログになりそう.  

"つくる" ことが遠いふつうの暮らし

今回キーノートをつとめられた藤原さんは,t0ki brewery(トキブルワリー) というブランドのクラフトビールを作りつつ,エンジニアとしても働かれている方です.個人的な共通点に北海道出身勢というのもあり,勝手に親近感を覚えていたのでした.さらにお話してみて,工業系の学校出身としての ”つくる” ことに対する思いの部分でも,近いものを感じました.
 
藤原さんはキーノートの中で「手触り感のあるものづくり」をしたいからクラフトビールにたどり着いたとおっしゃっていました.話してみてもその発想というか,熱量というか,異様に "つくる" 人ならではの観察量とこだわりが伝わってきました.
 
クラフトビールも珍しいものではなくなってきましたし,かなりたくさんのものが世に出ていると感じます.それから考えても,そのあたりに作り手なんてゴロゴロいそうなものですが,案外,知り合いにビールを作っている人っていなくないですか......? モノは見れども,作っている人は意外と近くにいないなんてこと,いくらでもありそうです.
 
同様に我々のような電気電子情報技術の世界で "つくる" 人間も,同様にかなり増えたように思います.しかしそれでも,身の回りに我々のような人種がいない方もたくさんいるはずです.
 
大昔は欲しいものが出てきたときに,自分あるいは知り合いにつくれる人がいないと,欲しいものを手に入れることはできなかったことでしょう.しかし,流通と商店が発展することで,これがリーチできる範囲で暮せば何でも手に入れられるようになりました.
 
我々の業界でいえば,スマートフォンそのものもそうですし,アプリだって別に誰が作っている何なのかを知らなくても使うことができます.
 
便利な一方で「悪意のあるものをつかまされたらどうするんだ」といった,"生産者を知らないことによる心配" はあるわけですが「よっぽどのことがない限り悪いことはされないし,便利だからいいよね」という感じで,世間一般は誰が作ったかを意識することなく,既にあるものを便利に使う世の中になりました.
 
こうして自分たちでつくれないものは "誰かがつくるもの" から "買うもの" となり,探すのは "つくれる人" から "買えるところ" になりました.自分の手元に置いておくという一点に着目すれば,状況はかわりません.でも,"つくる" という選択肢までの距離は大きく離れてしまいました.
 

局所的ひらめきとこだわりを愛でる

自分は各地に存在するそこにしかないローカルフードや食堂に目がなくて,極力そこにしかないお店に行こうとします.食べ方についても任されない方が好きなので「調味料はいついつかけてください」と言い切るお店が好きです.
 
ぼくはそこに「俺たちのベストを喰らってくれ」を感じていて,世間的にベストかどうかはさておき,この食堂や地域の中ではベストであり,自分たちの,この地域の誇りであると思っている人がいることに心が動かされます.
 
これに関連する話題として二次会では,藤原さんが訪れた地域の小さなアパレルブランドが例に上がりました.服を自分でゼロから作って売れるだけの人なんて,今の社会ではなかなか想像もしにくいし,ましてや自分で服をゼロから作るなんて考えもしないと思います.
 
それでも各地域には少しずつそういった挑戦を行っている,大きな経済にいては見つけられらないものづくりの名手が潜んでいます.身近な地域に存在するものづくりからどんどん距離が離れてしまった,量産と効率化の生活では黙っていても触れられない,自ら拾いにいかないと知ることさえもできない世界です.
 
思い返せば,勝手にやってくる情報を浴びて,その情報の中だけで暮らしていても,何不自由ない素晴らしい社会が実現されていて,自分たちはその中で暮らせています.でも,そこには画一的な製品に囲まれた,極めて受動的な生活が待っています.
 
もちろん広く流通した製品というのは,素晴らしい面を持つからこそ流通したわけであって,モノ自体が悪いわけではありません.モノもいいし,そこまで流通させた人たちもすごいんです.
 
でもその結果,作り手と消費者の距離が遠くなり,さらには "つくる" という行為と人間の距離も遠くなってしまったのだなと実感しました.ものづくりの工業化と行き過ぎた経済合理性のかけ合わせが,我々の生活から "つくる" という営みを遠ざけてしまっていると感じています.
 

つくる人の温度を感じたい

自分は特に地域の技術コミュニティを作っては,かよってを繰り返して暮らしていますが,残念ながら,この "つくる" という営みから遠ざけられた人の振る舞いを感じることもあります.
 
つくらないが,ユーザーとして声を上げることに慣れすぎた結果,受動的活動のプロみたいな鍛えられ方をして,"つくる" 側の苦労も努力も制約も何も知らないで,「使ってやった自分が不満なんだからいいモンなわけねぇだろ」みたいなコメントを残していくわけです.
 
仮にその指摘が尤もだったとしても,すべての人が 120 % 品質で何かを提供できるわけもないし,それで給料をもらっているわけでもなければ,そんなものは仕方ないわけです.もちろんそれにあぐらをかくのは違いますが,だからといってサンドバッグでいいわけがないんです.
 
小さな輪の中で満足する人がいて,お互いに顔がわかって,合理性の末にある巨大な製品にすべての機能面で負けていたとしても,そこにある情緒的価値は非常に大きく,尊ばれるべきモノなのだと思います.
 
接客品質がどうこうとか口コミを投げ込む "よそ者" がいようと,過剰品質の競争に晒されずに,その地域の食や文化を守っているのなら,それは尊ばれるべきサービスなのではないでしょうか.
 
自分の地元や祖父祖母のいる畑の田舎の定食屋で目にした光景ですが......
 
客「なんだシケた飯出してよ」
店「文句あるなら食うなうるせえな」
客「ここしかねぇんだ,お前だってウチでしか車なおせねぇべ」
店「黙って食ってろ」
 
みたいなハードボイルドなコミュニケーションがあったりして,机もエラい量の領収書が散らばってたりなんかして,通常の感覚ではとてもやっていけないだろうお店も生き残っています.
 
これは極端な例ですが,多かれ少なかれ人口の少ない地域ではこういった景色が見られるのではないでしょうか.
 
人間の営みから物理空間(モノ,地域)を完全に切り離すことは難しく,結局は周囲の環境に頼らなければ生きていけないはずです.
 
こうした暮らしに必要なモノの生殺与奪をデカい工場や一極集中のメーカーに握られていていいのか...... というと思想が強い感じがしますが,もっとラフに不格好でもいいから,たまには自分たちでつくってみようとか,顔のわかる近所の人がつくったものに乗っかってみようとか,そういう生活の変化も楽しいんじゃないかなと思いました.
 

これから何ができるかな

最後の最後,藤原さんとお話している中で「どうして地域の技術カンファレンスのノベルティは地元に発注していないのか?」という問い掛けがありました.今回,スクフェス新潟ではビールや甘酒,お弁当など,提供される飲食物に関して地のものでこだわり抜く力強さを感じました.ただ自分の感性もそこで止まってしまっていて,ノベルティがどこで作られているかなんて考えもしませんでした(もし地元のお店で作られたものが配られていたら,それに気づけてなくてごめんなさいなのですが......).
 
振り返れば,自分が実行委員長をした TechRAMEN 2024 Conference懇親会では,道北をはじめとする指定エリアの食材に限定した料理・飲み物でキメきったので,食べ物には十分こだわりきれたと思っています(2025 もよろしくおねがいします).
 
しかし正直,自分はノベルティまで地域のものにする発想はなかったなとハッとしました.それになんと,知識として RubyKaigi では伝統工芸品をノベルティとして採用していることも知っていたのに,自分がカンファレンスをやるとなると,そこに思い至らなかったわけです.懇親会はさんざんこだわったんですが,他までは気が回っていないことに気付かされました.
 
もちろん,予算の関係もあるので,すぐに全部とはいかないと思いますが,挑戦したいことが一つ増えました.そのためには自分の暮らす地域のよさを受け取る感度を一段上げないとなりません.
 
スクフェス新潟のおかげで,自分自身の姿勢についても一つ宿題が見つかり,これからが一つ面白くなりました.
 




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