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佐藤信夫著「レトリック認識」を読んだ

どちらから読んでも問題はないが、公開順としてはtomato3713.hatenablog.com の続編と言える書籍とされている。

レトリック感覚では、直喩や隠喩、換喩などの、作者によれば比喩的感覚に基づいて特異な動きを示す表現形式を扱っていた。 本書、レトリック認識では自らの知っている語彙では正確に表せない事象に遭遇してしまったときや、言語の思いがけない側面に直面したときなどに、人がどのように対処してきたのかを解説している。

扱われている言葉のあやは、「黙説」「ためらい」「転喩」「対比」「対義結合と逆説」「諷喩」「反語」、そして「暗示引用」らである。

言葉が持つ表面上は表現されていない意味も表現されてしまうという性質を消極的に利用する戦略から積極的に使おうとする言葉のあやに向かって紹介されていた。

この中で一番面白かったのは「諷喩」だった。 諷喩とはざっくりと纏めると「ひとつの隠喩から次々に同系列の隠喩をくり出し、たとえで話を進める表現形式」のことを指す。 諷喩が用いられた作品には、例えば「リズと青い鳥」や「1984」が当てはまるだろう。

ある複雑な事象について、そのまま語るだけでは伝えたい側面を明確にできないので、同時に、よりシンプルで構造がはっきりとした物語を並列に語る。並列に語られた複雑な事象を構造化された事象で例え、重ねることにより、複雑だった事象が含むある側面を明らかにする表現だと理解した。

この諷喩の特異な点は、前述の説明にある事象や物語の部分を単語に置き換えると、ほぼそのまま比喩の説明になるところだ。 単語でも効果的だった表現形式を文章に対しても同じように効果的であった、ということは面白い。

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