今週読んだ絵本です。

「トラといっしょに」
文:ダイアン・ホフマイアー
絵:ジェシー・ホジスン
訳:さくまゆみこ
一枚の名画が物語の大切な鍵になっています。
美術館に展示されている、大きなトラが描かれた絵画を、主人公の少年トムがじっと見つめているところから物語ははじまります。
家に帰ったトムも、大きな紙に色鉛筆で大きなトラを描きました。緑色の目をしたとても大きなトラです。
その夜のこと。絵から抜け出たのか、大きなトラがトムに近づくと、のどをゴロゴロ鳴らしながら「散歩に行こう」とトムを誘いました。
少年トムはちょっと怖がり。散歩に行く先々のいろいろなものが怖いのです。森の中のキツネや、川で泳ぐこと、遊園地のブランコに乗るのまで怖い。
けれどその度に大きなトラがトムに言ってくれるのです。「〇〇〇なんかこわくない。」と。
トムは、今まで怖かったことをひとつひとつ、大きなトラと一緒に乗り越えていくのでした。
作者のダイアン・ホフマイアーさんは南アフリカ生まれの作家。南アフリカの様々な学校で美術教師を勤めたそうです。
絵を描いたジェシー・ホジスンさんはイラストレーターで音楽教師の方。蒼い夜空に浮かぶ丸い月の光に照らされた森の中の植物や動物たちが、ほのぼのとしながら美しいイラストです。
さて、少年が美術館で見た一枚の絵とは。
フランスの画家アンリ・ルソーの「不意打ち」というタイトルの絵。別名「熱帯嵐のトラ」とも呼ばれているそうです。
風吹き荒れるジャングルの前面に目を見開き白い牙を剥きだしにした一頭の大きなトラ。揺れる草木の茂みに潜み、今にも目先の何かにとびかからんとするところに見えます。
実はルソーは一度もフランスから出たことがなく、実際にジャングルを見たことはありません。たくさんの亜熱帯風の絵画を描いていますが、本や雑誌やパリで見た自然を元に想像力で描いたそうです。
「不意打ち」は現在、ロンドンのナショナル・ギャラリーに所蔵されています。
それにしても、ふと、私もトラを描いてみようかな、と思いました。いつもドキドキハラハラしてしまう通院日の前夜にでも。
