今週読んだ絵本です。

「郵便局員ねこ」
訳:あしの あき
(ほるぷ出版 1979年12月15日 第1刷発行)
イギリスで本当にあったことが、このお話の元になっています。
そして、作者が大切にしていた2匹の猫への思いが込められた作品でもあります。
田舎の農場で生まれた一匹のサバトラねこ「クレア」が、たったひとり、街へ向かうミルク運搬車に乗り込んで、様々な経験のすえ、王室お墨付きの郵便局員となる冒険譚。
クレアは行く先々で、1800年代のイギリス・ロンドンの世相をいろいろな角度から切り取って見せてくれます。クレアの身に起こることは、うれしいこともあれば厳しいこともあります。出会う人間は優しくもあり冷たくもあり、考えようでは身勝手でもあり?
横長の見開きページの3分の2を割いたイラストがとても魅力的です。活き活きと動きを感じる絵です。当時のイギリス、ロンドンの様子を写し出して細部まで丁寧に表現されています。
石畳の上を馬車が行き交う賑やかな雑踏
港に水揚げされたかごいっぱいの魚を運ぶ漁師
裏通りの片隅にひっそり存在する貧民街など。
当時ロンドンではいたるところでネズミの被害に大変困っていたそうです。ばい菌を運んで病気蔓延の原因になったり、家の中の物を齧ったり。
クレアがたどり着いた郵便局も手紙が齧られたとお客さんが大騒ぎ。困った郵便局長さんが思い付いたのが、猫職員の採用でした…
実際にロンドンで1868年、王立郵便局の局員が3匹のねこを要請したことをはじまりに、郵便局員ねこの採用は1980年代まで続いたそうです。ちゃんとお給料が支給されて、雌猫には妊娠手当もあったとか。
