今週読んだ絵本です。

「花をさかせたがらない小さなキャベツ」
女の子の昔話えほん
フランスのおはなし
再話:中脇初枝
絵:うえのあお
(偕成社 2022年3月 初版第1刷)
図書館から借りてきた時に、もっと古い年の発行だと思っていたら、2022年初版と意外に新しい絵本でした。
小さなキャベツにお水をあげてほしいと、おかあさんは小さな娘のアントワネットに頼みます。でも言うことをきかないアントワネット。そこでアントワネットに言うことをきかせようと、近くにいた小犬にあることを頼みますが、小犬も言うことをききません。それではと、おかあさんは小犬に言うことをきかせようと、大きな木から伸びている一本の小枝にあることを頼みます。ところが小枝も言うことをきかなくて・・・
次から次へとおかあさんは頼みごとをしますが、断られてしまいます。そのうちに、おかあさんの頼みごとの内容も、頼む相手もどんどんエスカレート。「ぶつ」だの「もやす」だの「ころす」という言葉まで出てきます。
イラストがシンプルで明るい色合いなのと、青い目に民族衣装を纏ったおかあさんの表情が淡々としているのとで、頼みごとの内容がごく当たり前のことのようにも見えるところも、そこでそんなお願いになっちゃうの?とドッキリするい話の筋運びとのギャップがあり面白さを感じました。
再話の中脇初枝さんの解説によると、こういう展開の話を「だんだん話」や「累積譚」というそうです。ヨーロッパに多いとか。話の内容から意味を見つけるというより、思いがけない展開が続く形式を楽しむ物語です。
さて、どうして作品のテーマにわざわざ「女の子の…」と付いているのかと思ったら、こちらも解説に記されていました。昔話の主人公といえばほとんどが男性、女性が主人公でも「シンデレラ」や「白雪姫」のようにどちらかというと受け身なタイプが主です。ところがこのお話のおかあさんは、自分の意志で行動し、ついにはとんでもない存在にまで会いに行き頼みごとまでしてしまう。作者は今を生きる子どもたちに向けて、そんなアクティブなおかあさんに、女性の生き方にも様々なかたちがあることを見てほしいと考えられたようでした。
「女の子の昔話えほん」はシリーズで刊行されていて、他に「日本のおはなし ちからもちのおかね」や「ハイチのおはなし わたしがデピンギー」などがあります。