今週読んだ絵本です。

「かがみとチコリ」
文:角野栄子
絵:及川賢治
(講談社 2019年10月21日 第1刷発行)
チコリは主人公の女の子の名前、
かがみは本物の鏡。
100年以上も前に建てられて、ずっと住む人のいなかった大きな古い家の
リビングらしき部屋の壁一面に備え付けられた大きな鏡です。
その家に、久しぶりに住む人が現れました。
それは若い夫婦。
ふたりの間に生まれたのがチコリでした。
この絵本は、チコリがゆりかごの中の赤ちゃんだった時から
大人になり結婚して家を旅立つまでの
かがみとチコリの日々を描いた物語です。
登場するかがみには心があります。
しばらく住む人もなく誰の姿も映すことのなかった時期、かがみはこう思っています。
「・・・こうでもしないと、じぶんがいるんだか、いないんだか、わからなくなってしまうのです。・・・」
嬉しいときは、ぴかぴかに光り、寂しいときは曇ってしまうかがみです。
明るくてポップなイラストで描かれる、鏡に映るチコリの何気ない成長の日々。
ビビットカラーの画面の雰囲気からは楽しさや優しさが溢れていました。
だから、最後の最後で訪れた結末は、私にはちょっと意外なものでした。
「めでたしめでたし」では終わらなかった物語。
この結末に何を受け取るかは読む側次第。
かがみに映るのがその人自身の姿なように、
結末に感じることも人それぞれの心模様を映すおわり方です。
読む側に様々なことを考えさせて、おしまいの余韻がずっと続く、
私にとっては印象深い物語となりました。