今週読んだ絵本です。

「ピエールくんは黒がすき!」
文:ミシェル・パストゥロー
絵:ローランス・ル・ショー
訳:松村恵理
(白水社 2023年6月20日発行)
よく行く図書館で、色について描かれた絵本を集めたコーナーがつくられていました。赤、緑、黄色、青・・・いろいろな色の絵本の中から私が選んだのは、この一冊。
作者のミシェル・パストゥローさんは、「色彩をはじめ、紋章、縞模様、動物や植物をめぐる歴史人類学の第一人者」とあります。邦訳されている著書は「縞模様の歴史」や「ヨーロッパの色彩」「色をめぐる対話」など。多数の著書がありますが、本作は著者が子ども向けに文章を書いたはじめての絵本だそうです。
絵本の主人公ピエールくんは小学1,2年生くらいの小さな男の子。実は最初ピエールくんは黒が好きではありませんでした。それは夜の暗闇や真っ黒いオオカミに追いかけられた夢を見たりと、黒には怖いイメージがあるから。
それでも、黒について、色について考え、パパの話を聞いたり、学校の校庭で空を見上げたり、おじいさんと一緒に公園に遊びに出かけたり、いろいろな体験をするうちに、ピエールくんの黒に対する意識は変化していきます。
作者はこの作品を書こうとしたきっかけのひとつをこう述べています。
・・・色に関して、私が専門研究で明らかにしてきた考え方のいくつかをシンプルな形で伝えたいという気持ちもありました。たとえば「黒と白は色ではない」といったまちがった見方があまりにも広く行きわたっているからです。・・・
また訳者のあとがきには、作者の持論としてこうも記されていました。
・・・「黒は一般に思われているほど単一でも絶望的な色でもないし、実はそれほど黒くもない」・・・
物語が進むにつれて、変化していったピエールくんの黒に対する気持ちですが、あるひとつの体験にも大きな影響を受けました。それはパパに連れて行ってもらった美術館の展覧会で、一人の画家の絵に出会ったことです。
その画家とは、ピエール・スーラージュさん。フランス生まれ(1919-2022)の、「黒の画家」と呼ばれる方。
遠くから見ると真っ黒に見える絵ですが、近づいてみるとそのなかには沢山の色が散りばめられていて、光が射しているようにみえるというその画家の絵を、私もこの絵本で知り本物をこの目で見てみたいと思うようになりました。日本でも東京国立近代美術館や大原美術館、アーティゾン美術館、富山県美術館などに収蔵されています。