今週読んだ絵本です。

「ジャコミニュス・ゲンズボルーのゆたかな時間
:命がきえるときおもうこと」
訳:やまもと みき
(化学同人 2024年11月1日 初版第1刷発行)
現代的で幻想的、写実的でありながら詩的
作品の絵を見た瞬間、そんな印象を受けました。
登場するのは、人間の営みによく似た世界で、服を着て二本足で生活する犬や羊やネズミや猫や様々な種類の鳥たち。
主人公はベアトリクス・ゲンズボルーという名のおばあちゃんに「ジャコミニュス」と名付けられたウサギの子。
物語は乳母車の中でスヤスヤと眠るジャコミニュスの赤ん坊からおじいちゃんになるまで、「アーモンドの木下でおだやかに、永遠の眠りに」つくまでの一生を静かな語り口で描いています。
なぜ、ジャコミニュスの一生を?
表紙の見開きに作者のコメントがありました。
「それは、ジャコミニュスも本のなかで話していたように、充実した人生だったからです。」
どんな人生のことを充実した人生というのでしょうか。
もうひとつ疑問が生まれました。
ゆたかな時間って?
人によってその答えは違うものかもしれませんが
こちらも作者はこのように記しています。
「せっかくなので、わたしからも答えておきましょう。
「ゆたかな時間」とは、だれかの人生をいいあらわすための、詩のように遠まわしないい方です。ひとつのもの(人生)を、いろいろな意味をもつことば(ゆたかな時間)でいいあらわしているのです。」
・・・わかったような、わからないような、ですが、
作者はコメントの冒頭でこんな風にも書いています。
「時間をかけてじっくり読んでみてください。きっといろんなことがわかるでしょう。」
自分で測ったので大体ですが縦約30cm×横約27cmの大きな絵本の、画面大部分を絵が占めています。その世界に生きる者たちの姿や生活が、落ち着いた色合いで、遠くに見える小さな住人の姿や動きまで細やかに描き込まれたイラストです。静かに眺めていると穏やかに時間を振り返るきっかけになりそう。
作者はコメントで、この絵本は大人向けでもある、とも書いています。大人になるとなぜか時間が早く過ぎる、とか、やることがいっぱいあってあわただしく日々が過ぎ去る、と感じている方も多いかと思いますが、そんな方にも、立ち止まって思い切って時間を割いてこの作品に向き合っていただきたいと、最後まで読んだのち、感想を持ちました。
