今週も絵本ではないのですが、図書館の児童書コーナーで見つけました。

「自分疲れ」
ココロとカラダのあいだ
作:頭木弘樹(かしらぎひろき)
(創元社 2023年4月10日 第1版第1刷発行)
本作がシリーズの第一作目となりますが、まずはシリーズについて。このシリーズはいろいろな物事について、その「あいだ」で考えることをテーマとしています。本作は「ココロとカラダのあいだ」。ほかに「翻訳と魔法のあいだ」や「こどもとおとなのあいだ」「見えるものと見えないもののあいだ」など10作品の刊行と以下続刊の予定です。
10代以上すべての人のための人文書のシリーズと銘打たれた「あいだで考える」創刊のことばの中で共感した箇所を抜粋します。
… さまざまな局面で分断が見られる今日、多様な他者とともに自分らしい生き方を模索し、皆が生きやすい社会をつくっていくためには、白でもなく黒でもないグラデーションを認めること、葛藤を抱えながら、「あいだで考える」ことが、ますます重要になっていくのではないでしょうか。…
本作のタイトル「自分疲れ」はネガティブなインパクトがありますが、このタイトルを付けたいという作者の申し出に、編集スタッフも創刊第一作目でいきなりこれはと尻込みされたとか。
作者の頭木弘樹さんは、20歳のときに「潰瘍性大腸炎」という難病にかかり、13年間の闘病生活を経験されました。何事もないときはそのことにあまり意識は向かないものです。体に不調を感じてはじめて体のこと、心のことを強く意識したそうです。確かに。私も腰が痛いときは腰のことばっかり考え、痛みが消えるとケロッと忘れてしまいます。
そんな経験のある作者だからこそ見える見方が本作には詰まっています。闘病生活の中で文学作品のなかの言葉との出会いが救いになったことも語られていて、アニメや漫画も含むさまざまな文学のなかの体と心に関する言葉も多数引用されています。
そしてこのシリーズは、テーマについて「これが正解だ」と提示するものではありません。テーマについて、一緒に考え、「それぞれに合った答えを見つけていこう」というものです。
もくじを掲載しますので、どれかひとつでも興味を持たれたら手に取っていただきたいです。
・はじめに 自分自身がしっくりこない
・1章 「自分」とは「心」なのか「体」なのか?
・2章 体の操縦法、心の操縦法
・3章 体が変わると心が変わる
・4章 心はいくつある?体はいくつある?
・5章 「食べられない」と「漏らす」
ーあなたの心と体を社会はどう評価するのか?
・6章 分けないことで分かる
ーココロとカラダのあいだ
本作のなかで、私が特に関心を持った言葉は「曖昧さ耐性」。この言葉について作者が記している考えには、うなずく部分がとてもありました。
当然のことながら一生付き合っていく必要がある自分。疲れを取ってあげるのも自分自身。本作を読んだら、対処法のヒントが見つかるかもしれません。
