表紙絵の女の子、はて、これは帽子なの?

「ジェニーのぼうし」
訳:石津ちひろ
(好学社 2022年5月14日 第1刷発行)
マーブリングやコラージュなどの技法を用いた、色彩豊かな美しいイラストが見る者の目を愉しませてくれる作品です。
作者のエズラ・ジャック・キーツさんは1916年ニューヨーク市ブルックリン生まれ。1983年に逝去するまで、生涯のほとんどをニューヨーク市で過ごしたそうです。本作にはベンチや立木のある公園らしき緑地や、人々が集う教会前のシーンが描かれていますが、その色合いや構図がどことなく洗練された雰囲気。ニューヨークのどこかに実際に同じ景色が見られるのでは?と思わせられました。
物語は、主人公のジェニーが大好きな叔母さまから送られたプレゼントを受け取る場面から始まります。プレゼントの中身は「帽子」。どんな素敵な帽子が届くのだろうと、あれこれ想像し期待に胸が膨らむジェニーでしたが・・・
ジェニーの年頃は小学校の高学年くらいでしょうか。オシャレな帽子を心待ちにしていたジェニーでしたが、プレゼントの箱を開けてみると、現れたのは飾り気のないシンプルな白いつば広帽子。期待が大きかっただけに落胆も大きいジェニーは、そのまま帽子を箱に戻してしまいます。そうして代わりに被ったのが表紙絵のかごなのでした。
かごだけでは収まらず、ジェニーはいろいろなものを被ってみます。蝶柄が美しいランプシェードやピンクの小花が咲いている小さな植木鉢、長~い二本のアンテナが真っ直ぐ伸びたテレビのアンテナ、更には磨き上げられた大鍋まで。なんでも被れば帽子と言われれば帽子になる?かな?
箱に戻されてしまった白いつば広帽子は、どうなってしまうのでしょう?
造形的に描かれる鳥たちや多種類の花々で飾られた数々の帽子たち、教会に向かう女性たちのドレスにも様々な幾何学的な模様があしらわれ、細部にまで装飾が施された面と、反して真っ白な背景とが何よりも印象的な作品でした。
さてさて、大鍋を被った後の物語は次の展開へ。ジェニーはしぶしぶ白い帽子を被ることになります。この白い帽子、ページを追うごとに鮮やかに変化していきます。どんな変化をしたのかは実際に作品を見てのお楽しみに。
