今週読んだ絵本です。

「ロージーのおさんぽ」
作:パット=ハッチンス
訳:わたなべしげお(渡辺茂男)
(偕成社 1975年8月1刷 2012年12月101刷)
原作「ROSIE'S WALK by PAT HUTCHINS」1968年
さて、改めて、絵本の見方ってどういうものなのでしょう。
訳者の渡辺茂男さんが表紙袖の部分に記されている本書紹介文が、ひとつのヒントになりそうです。
本書の文章で語られていることはとてもシンプル。
めんどりのロージーがお散歩する、ただそれだけです。
訳者の渡辺茂男さんはこんな風に語っています。
絵本をたのしんで”見る”習慣のある母子なら、たちまちこの絵本の魅力にとりつかれてしまうでしょう。ところが、絵本のたのしみ方がよくわからないで、文字ばかり読むくせのある母子だと、この絵本のせっかくもっている魅力を見すごしてしまうかもしれません。
忙しく過ごしていると、先に先に、展開が気になって慌てて文字ばかり追いかけ、じっくり絵を眺めないことがあります。
この作品は、文章によるストーリーにばかり気を取られていると、絵本の楽しみを半分も味わってないことになりそうな、心をゆったりさせながら見たり読んだりする大切さを伝えてくれます。
本当に、主人公のめんどりロージーは、真っ直ぐ真っ直ぐ目当ての場所へ向かいながら、ひたすら歩いていくだけ。
ところがそのロージーの背後には、ロージーを上から下から斜めからずっと見つめ続けているキツネがいて、ドキドキハラハラ、スリリングで愉快な光景が繰り広げられていくのです。
黄色やオレンジ色で描かれた明るくのどかな田舎の風景には、稲刈りの終わった田んぼがあったり、たわわに実ったリンゴや梨(と思われる)の木が並んでいたり。
のんびりした風景の中をどんどん前へ進むロージーは後ろを全く気にしていない様子。ロージーに飛びかかろうとするキツネの悪だくみは、思いがけない展開で、ロージーに気づかれることもなく悉く失敗に終わります。
ロージーは最初から最後までいつものルーティーンを普段通りに過ごしているだけなので慌てることも驚くこともありませんが、絵を見ているこちら側は、気を揉んだり焦ったり、時にはクスッと笑ったり。
・・・もしかしたら人生にも、意外とこんな場面があるかもしれません。通り過ぎた直後に、ちょっとしたドラマが起こっているなんてこと。知らなくてよかった?知ってたら自分の身にもなにかが起こっていたのかも。
この絵本は今も沢山の版を重ね、各国で出版され続けています。めんどりのロージーがお散歩するだけのシンプルさのなかに、絵をよく見ることで豊かな物語に出会う、言葉を超えた楽しさの発見があるからだと感じました。
