今週読んだ2冊のご紹介です。

今週は心の浄化に間違いない刀根里衣さんの絵本を2冊
まず1冊目は
「ぴっぽのたび」
作:刀根里衣
(NHK出版 2014年11月10日 第1刷発行)
原題:El viaje de PIPO
作者の刀根里衣さんは、2013年、日本人としては初めて「国際イラストレーション賞」を受賞しました。その翌年、スペインの出版社より出版した絵本が、本作の原作となる「El viaje de PIPO」です。
「国際イラストレーション賞」とは。
毎年、イタリアのボローニャで開催される国際絵本原画展にて入選した35歳以下の作家を対象に授与される賞のこと。受賞者には奨学金とスペインのEdiciones SMから出版する権利が与えられ、翌年のフェア会場で新作絵本が発表されます。
物語の主人公は一匹の青色のカエル、名前は「ぴっぽ」
物語のはじまりはこんな一文から始まります。
カエルのぴっぽは いつも ひとりぼっちでした。
最初のページを開くと、280㎜×245㎜の、大きな絵本の見開きいっぱいに、淡く霞みがっかた薄いブルーグレーの幻想的な風景が現れ、その世界の左下の片隅に、小さなカエルのぴっぽが空を見上げて佇んでいます。大きな2つの目は、どことなく寂しそう。斜め掛けにしたこげ茶色のショルダーバックがちょっと重たそうです。真っ白いお腹に青色の細い手足が、なんとなく心細げ。
水泡を葉っぱにしたような小さな無数の円を茂らせた木立は、水の中のようにも、ぴっぽの涙が溢れたあとのようにも見えます。
ある日出会った小さな白いヒツジと一緒に旅に出るカエルのぴっぽ。
旅のはじまりは5月、輝くクリーム色の光の空間に、一面に浮かぶように咲くたくさんの赤いポピーの花たち。
ページをめくるたびに月が替わっていき、その度にハッとするような、それはそれは美しい光景が描かれていきます。
カエルのぴっぽと共に、5月から4月までの幻想的で美しい旅に出かけてみませんか。

もう1冊は、
「わたし、お月さま」
文:青山七恵
絵:刀根里衣
(NHK出版 2016年11月10日 第1刷発行)
月はいつも見上げればそこにいてくれるって、思い込んでいたかも。この物語は、お月さまがあることを思い立って、お出かけしちゃうお話です。
私たちが日々あれやこれやと感じたり思い出したりするように、お月さまにだって「ああしたい、こうしたい」って希望や願いがあることに思い至らなかった私。もし晴れ渡った澄んだ夜空を見上げたときに、そこにもしお月さまがいなかったら?
お月さまがお出かけしたのは地球。お月さまの願いは地球上で見つけることができるでしょうか。
文章を書いたのは「ひとり日和」で芥川賞を受賞した作家の青山七恵さん。絵を描いた刀根里衣さんとは同世代のふたり。
青山七恵さんの描くちょっとお茶目なお月さまと、お月さまの目線で映る地球の人びとや風景を、刀根里衣さんはどこまでも優しいイラストで表現。濃紺の深い色合いのなかに月明かりがほんのり照らされた夢のような世界には、心が自然と落ち着いて気持ちよく引き込まれてしまいます。ずっと見ていたいような蒼い夜の世界。
おしまいの、お月さまがお出かけに満足して、いつもの場所へ戻ったラストシーンには、心が清々しく照らされました。こちらも必見です。