今週読んだ2冊のご紹介です。

1冊目は、マッチ箱サイズのゾウがいたらペットにしますか?
「ちいさなゾウ」
作:庄野ナホコ
講談社の創作絵本
(講談社 2023年10月17日 第1刷発行)
こんなに小さくてあどけないゾウがいたら我が家にも迎えたい、とほんわかした幸せを心にもたらしてくれた絵本です。小さなゾウに合わせてか、絵本自体のサイズも21センチと小さめです。ほっと一息つきたい方に贈ったら喜ばれそうな絵本だとも思いました。
大きい葉っぱや小さい葉っぱ、背の高いのもあれば低いものも。そんな様々な観葉植物の深緑色が目に優しい温室の中、少し成長したのか、今まで使っていたマッチ箱のベッドが小さくなってしまった小さなゾウが主人公。
物語の、きゅんとする一節をご紹介します。
ちいさなゾウの ちいさな なやみは、
だいすきな クローバーを たべすぎて
このごろ ちょっと からだが
おおきく なってしまった ことです。
マッチの はこが ギウギウ くるしくて、
まいばん わるい ゆめばかり みるのです。
あたらしい ねどこの はこが ひつようです。
お友だちの小鳥よりも小さくて、フカフカの絨毯を泳ぐように歩いたり、人間の巨大な靴底にびっくりしたり、イラストの小さなゾウの可愛らしさといったらたまりません。
小さなゾウは目的の場所に向かって、一生懸命進みます…
最後のページのイラストは、ちいさなゾウの楽しい夢なのでしょうか。
ほんのちょっとスリリングで、たくさんの優しい時間が流れる小さなゾウの大冒険を、どうぞ優しく見守ってください。
作者の庄野ナホコさんは中央大学文学部卒業のイラストレーター、絵本作家。
2014年に「ルッキオとフリフリ おおきなスイカ」で絵本デビューしました。

もう1冊は、写真絵本です。
「こやたちのひとりごと」
文:谷川俊太郎
写真:中里和人
(アリス館 2023年6月20日 初版発行)
※本書は2007年10月、ビリケン出版より刊行された「こやたちのひとりごと」を底本とし、ページと写真を増やし、文の一部を改訂したものです。
日本全国には実に表情豊かな「小屋」がたくさんあることに、改めて気づかされます。普段何気なく通り過ぎている散歩道にも、意識をしてよく観察すれば、いつからここに建っているんだろう?と風雪にさらされ日光に照りつけられて貫禄たっぷりいぶし銀のような小屋がありました。
この写真絵本は、写真家の中里和人さんが日本各地で撮影した小屋の写真に、詩人の谷川俊太郎さんが言葉をつけたもの。その言葉こそ、小屋たちの独り言です。
全40ページの本作の中には、さまざまな小屋が登場します。色とりどり、とてもカラフルな小屋もあれば、扉の木の色もトタンの壁の色もすっかり色あせた小屋、四角い形もあれば、テント風の三角屋根がかわいい小屋も、実に多種多様です。
それぞれひとつとして同じものはありません。
その写真一枚一枚に谷川俊太郎さんがつけた小屋たちの独り言は、短くて心に刺さるものばかり。
孤独を愛する小屋もあれば、にぎやかさを好む小屋もあるようです。
そのひとつひとつに耳を傾け、写真の小屋を見つめていたら、小屋が前より身近な存在になってきました。
最後の小屋の独り言は、とても前向きで爽やか。みなさんなら、どの小屋の独り言が一番心に響くでしょうか。

