「絵姿女房」と呼ばれる民話の類話です。

「ももうりとのさま」
松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話
(小学館 2001年4月 初版第1刷)
監修・松谷みよ子
文・小沢清子
絵・宮本忠夫

そういえば…
この絵本は、
松谷みよ子の子どもに伝えたい日本昔話
シリーズの一作です。
全編ひらがな・縦書きで書かれています。
そういえばこのお話し
ずっと前に読んだことがあった気がします。
読み進めているうちに
殿様の滑稽さが
よみがえってきました。
こういう殿様タイプ、今もいそうです。
どんな物語…
こんなふうにはじまります。
とんと むかし。
ももくりやまの わかものが
よめさんを もらったって。
そのよめさんが あんまり
きれいで かわいいもんだから
わかものは、そばにいたくて たまらない。
しごとに いかなくなって しまったと。
そこで、よめさんは…
とても美しい嫁さんをもらった若者。
ずっとそばで嫁さんを見ていたくて
働くこともままならず。
こんな若者も今もいそう。
それではと、
若者が仕事にいけるよう
嫁さんは自分の似顔絵を描いて
若者に渡してくれました。

ところがその似顔絵が風に飛ばされ、
運悪く殿様の元へ。
あろうことか
殿様もこの似顔絵にひとめぼれ。
身勝手な殿様は嫁さんを探し出すと
無理やりお城へ連れて行ってしまいます。
引き裂かれる直前、
嫁さんは若者に桃の種を渡し、
育てて三年後実が生ったら
お城に売りに来てほしいと頼みます。

沢山実った三年後、
若者が桃を担いてお城に現れると
それまで三年の間一度も笑ったことのなかった
嫁さんがニッコリ。
その笑顔を見た殿様は若者の真似をして…
調子に乗った殿様が、しっぺ返しを受けるお話し。
こんな大きな勘違い、自分勝手な殿様だからこそかも。

お話しに添えられた絵は
楽しく自由な筆づかいと
桃の実が赤く色づいたような明るさで
とてもユニークです。
殿様の顔は
あのバカ殿様を彷彿とさせる描き方。
もちろん若者と嫁さんのハッピーエンド。
その後の殿様がどうなったのかも
ちょっと知りたい気がします。

ところで桃…
ウィキペディアによると
昔から邪気を祓い不老長寿を与える
植物・果物として親しまれています。
日本へも相当古い時代に
中国から渡来したとみられています。
長崎県の遺跡から
縄文時代前期の桃核が出土していて、
こちらが日本最古とされているそう。
日本でも邪気を祓う霊力がある
と考えられていて
「古事記」にも登場しています。
「絵姿女房」夏木マリさんの語りで。