怖がり末っ子の成長物語。

「まいごのマイロ」
(あかね書房 2005年10月 初版)
文・絵 大島妙子

どんな絵本…
表紙絵のちょっと自信のなさそうな
困ったようなマイロの顔に吸い寄せられました。
今の季節にぴったりの冬のある日のお話し
ベンジャミン湖のほとりの
ミーシャおばさんの家で生まれた
子犬のマイロが主人公です。
マイロは7匹兄弟の末っ子
一番小さくて怖がりで甘えん坊。
兄弟たちの遊びについていけず
おかあさん犬のポーポーにぺったり。

ある雪の積もる日、
ミーシャおばさんはみんなを連れて
お散歩にでかけることに。
兄弟たちは元気に外に駆け出しますが
マイロだけは別。怖がって出てきません。
ミーシャおばさんは斜めがけしたふくろに
マイロを入れて連れて行くことにします。
ところが途中でふくろから落っこちてしまうマイロ。
ひとり森の中に置いてきぼりになってしまいます。
みんなを探そうと
マイロは慌ててあちこちの穴をのぞいてみます
するとそこに不思議な大きな緑色の生きものが…
おすすめの場面は…
とにかく子犬たちが可愛いです。
小さな体で元気いっぱい
遊びまわる様子もユニーク
なかでもマイロの表情がとっても豊かです。
ドキドキしたり怖がったり大泣きしたり
迷子になったマイロが出会った
緑色の大きな生きものは
こちらも迷子のベッシ―
お互い迷子と知ったふたりは意気投合し
かけっこやかくれんぼをして沢山遊びます。
するとあたりは薄暗く雪も降ってきました。
急に心細くなったふたり…

どのシーンも可愛いのですが
私のお気に入りはふたりが家に帰りたくなって
大きなベッシ―と小さなマクロが
同じように泣き出すシーン。
その後ふたりは無事にお母さんのもとへ。
ある日の迷子経験で、少しだけ成長したマイロ
今まで怖かったことが気にならなくなり
これからはみんなと一緒に遊べそうです。
それにしてもマイロと一緒に遊んだベッシ―は
いったいどんな生きものだったのでしょう。
それは絵本を見てのお楽しみ?
ヒントは表紙絵の中にもあります。

作家さんについて…
この独特の愛嬌のあるちんまりした感じが
最高に可愛い絵を描いた作家の大島妙子さんは
1959年東京生まれ。
出版社に勤めたのち創作活動へ。
絵本のアイデアは身近なところから。
犬や猫の作品が多いのも
子どもの頃から身近に犬や猫がいたから。
独自の視点でユニークな描写が特徴の作家さん
「ブチョロビッチョロはどこ?」や「ジローとぼく」
「最後のおさんぽ」とタイトル読みしたくなる作品も。

物語のおしまいのワンシーン
可愛い子犬たちと母犬とミーシャおばさんが
暖かそうなリビングでひとやすみ
窓の外のは大粒の雪が降っています。
優しく楽しくそして
ちょっぴり勇気をもらえる絵本です。