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【今週の絵本】山、好きですか?

今週読んだ絵本です。

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「山に登る」

作:星野秀樹

(アリス館 2025年5月20日初版発行)

四方を山に囲まれた盆地に住んでいます。

東西南北、どこを見回しても近くから遠方まで視界の行き止まりは山。

山山山の山並みが続いています。

そのせいか、山を特別なものと思ったことがありません。

そのへんの日常にあるもの。

それでもその日常は四季折々に美しい姿を見せてくれます。

ただし、山に登ることは滅多にない日常です。

 

この作品は山を愛す登山家で写真家の星野秀樹さんによる写真と文章で成されたもの。

山に魅せられた方が山の様々な顔を写真と文章で読者に見せてくれます。

キラキラと輝くような優しい笑顔のときもあれば、誰もが畏れる荘厳な表情のときもあることが写真から見て取れます。

遠くから眺めるのではわからない、山に登り山の中にいるからこそ見える風景です。

その様々な写真と共に作者の山に対する想いが綴られます。

「なぜ山に登るのか」

私もですが、多くの山に登らない人が抱くであろう疑問についても、頂きから朝日を迎える美しい光景と共に作者の気持ちが綴られていました。

 

写真はとても魅力的です。自然の中の見たこともない風景の数々。

思わず行った気になってしまいそうですが、実際に自分の身体をその場所に置いてみたら、見るだけでは得ることができない風や光や匂いを感じて、自分の中に新しい変化が訪れるのではないかと思いました。

そしてそれは、山だけではなくどんなことにも通じるもの。食でも旅でも仕事でも。一度経験していても、その日その時で山の気候に変化があり同じではないように、どんなことにも変化があり自分にも変化があるので、経験のたびに、きっと新しい何かを得られます。

山登りはともかく、どんなことでも、行った気にならないで、実際に行ってみるのもいいかもしれないと本作に触れて感じました。

 

【今週の絵本】「わたし」は誰のこと?

今週読んだ絵本です。

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「わたしの森に」

文:アーサー・ビナード

絵:田島征三 

(くもん出版 2018年8月5日 初版第1刷発行)

一人称「わたし」で語られる文章

この作品の一番の魅力は「わたし」という主人公のインパクトだと思います。「わたし」は一体何者なのか?

その「わたし」の目線で語られる、とある森の冬春夏秋冬。

 

アーサー・ビナードさんはアメリカ・ミシガン州に生まれ大学卒業後に来日し、日本語での詩作や翻訳を始めとして、エッセイや絵本を創作している方。広島県在住。

 

この作品の文章の、もうひとつの魅力に独特のオノマトペがあるとも思いました。

「まあんまあんまあん」とか

「むんむんむん」とか

言葉で説明しにくい全身から湧き上がるような強い感情を、オノマトペの響きで活き活きとダイナミックに表しています。

 

そして、その感情に合わせた力強い絵が、文章に輝きを与えていると思いました。

太い筆で自由奔放に勢いよく表現された森のなかの生命の営み。

彩度の高い赤や青、荒々しく真っ黒に塗りこめられた画面に浮かぶ小さな生命は、体内の血が迸っているような朱色で跳ねるように形作られています。

文章の中に込められた生命の息吹を、画が見事に的確に捉えた作品です。

 

絵を描いたのは、田島征三さん。

新潟県十日町市には、絵本作家の田島征三さんが作った「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」があります。こちらは元小学校の木造校舎を使った空間絵本美術館。ホームページの写真を見ると、体育館や教室に作家の制作した立体的な作品が、今にも動き出しそうな様子で展示されています。山里にあるのでしょうか、冬期はお休み。今年も夏の季節にオープンするなら、訪れて実際に見てみたいと思いました。

 

 

【今週の絵本】小さな大冒険

今週読んだ絵本です。

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「こすずめのぼうけん」

作:ルース・エインズワース

訳:石井桃子

画:堀内誠一

(福音館書店 1976年4月1日 月刊「こどものとも」発行/

1977年4月1日「こどものとも傑作集」第1刷)

こすずめのぼうけん (こどものとも傑作集)

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【 読み聞かせ用大型絵本 】こすずめのぼうけん

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巣のなかの小さな小さな子すずめ。

傍らにはお母さんすずめが優しく寄り添っています。

 

この物語は、子すずめがお母さんに飛び方を教わって、

初めて飛び立った日の出来事を描いています。

 

小さな子すずめが、目いっぱい羽を伸ばし、

思いっきり胸を張って顔を斜め上に上げ、

今にも飛び立とうとする姿がとても可愛らしい画です。

 

羽をパタパタしていたら上手に宙に浮かぶことができた子すずめ。

お母さんすずめは近くまでと言っていましたが、

なんだかどこまでも飛べそうな気がして、どんどん先へ。

 

巣から飛び立った子すずめの目に映る世界は広くて美しく、

そして行く先には、ちょっと困ったことや心配もあったりします。

 

「初めて」の経験がもたらす喜びやドキドキを

美しい自然の風景とともに、優しく描いた作品です。

 

【今週の絵本】私もトラと。

今週読んだ絵本です。

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「トラといっしょに」

文:ダイアン・ホフマイアー

絵:ジェシー・ホジスン

訳:さくまゆみこ

一枚の名画が物語の大切な鍵になっています。

美術館に展示されている、大きなトラが描かれた絵画を、主人公の少年トムがじっと見つめているところから物語ははじまります。

家に帰ったトムも、大きな紙に色鉛筆で大きなトラを描きました。緑色の目をしたとても大きなトラです。

その夜のこと。絵から抜け出たのか、大きなトラがトムに近づくと、のどをゴロゴロ鳴らしながら「散歩に行こう」とトムを誘いました。

 

少年トムはちょっと怖がり。散歩に行く先々のいろいろなものが怖いのです。森の中のキツネや、川で泳ぐこと、遊園地のブランコに乗るのまで怖い。

けれどその度に大きなトラがトムに言ってくれるのです。「〇〇〇なんかこわくない。」と。

トムは、今まで怖かったことをひとつひとつ、大きなトラと一緒に乗り越えていくのでした。

 

作者のダイアン・ホフマイアーさんは南アフリカ生まれの作家。南アフリカの様々な学校で美術教師を勤めたそうです。

絵を描いたジェシー・ホジスンさんはイラストレーターで音楽教師の方。蒼い夜空に浮かぶ丸い月の光に照らされた森の中の植物や動物たちが、ほのぼのとしながら美しいイラストです。

 

さて、少年が美術館で見た一枚の絵とは。

フランスの画家アンリ・ルソーの「不意打ち」というタイトルの絵。別名「熱帯嵐のトラ」とも呼ばれているそうです。

風吹き荒れるジャングルの前面に目を見開き白い牙を剥きだしにした一頭の大きなトラ。揺れる草木の茂みに潜み、今にも目先の何かにとびかからんとするところに見えます。

 

実はルソーは一度もフランスから出たことがなく、実際にジャングルを見たことはありません。たくさんの亜熱帯風の絵画を描いていますが、本や雑誌やパリで見た自然を元に想像力で描いたそうです。

「不意打ち」は現在、ロンドンのナショナル・ギャラリーに所蔵されています。

 

それにしても、ふと、私もトラを描いてみようかな、と思いました。いつもドキドキハラハラしてしまう通院日の前夜にでも。

 

【今週の絵本】身近な植物がより身近に。

今週読んだ絵本です。

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「きみはなんのつる?」

いろいろな つるしょくぶつの そだつ にわ

作:大野八生(おおのやよい)

(福音館書店 2025年5月25日発行)

きみは なんの つる? いろいろな つるしょくぶつの そだつ にわ (福音館の科学シリーズ)

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造園家でイラストレーターの大野八生さんの作品。

小さな一枚一枚の葉っぱまで丁寧に描かれた、緑いっぱい優しい色合いのイラストです。その絵を眺めているだけで、気持ちが落ち着きます。

 

お話のはじまりの言葉も優しい。

あるいえの にわで

しょくぶつが のんびりと くらしています。

植物にも、のんびりとかせかせかとかあるんですね。

 

この家の植物たちは、居心地の良い庭で、思い思いの方向に自分のツタを伸ばしています。

ノウゼンカズラやナツヅタ、クレマチスにバラ、ツルコケモモやスイートピー。ツルニチニチソウもいます。

ここまでのツル植物は名前を聞いたことがありましたが、もう一つ、ネペンテスという名前は私は初めて聞きました。

 

さて、その庭の土の上に黒い小さな種がひとつ。この種が、この作品の主人公です。やがて小さな種から小さな芽が出てきます。

近くのスイートピーが、その小さな芽に話しかけます、「はじめまして!おなまえは?」。

小さな芽も「はじめまして」と応えますがその後が続きません。自分の名前がわからないようです・・・

 

穏やかな気持ちで作品を読んでいると、ツル植物たちに親しみを感じます。それぞれ伸び方にも個性があることもわかります。

小さな芽もツタ植物の仲間。ほかのツタ植物たちに名前を聞かれても答えられないまますくすくと上へ伸びていきます。そしていつしか、美しい青色の花をたくさん咲かせました。その花の名前は・・・

【今週の絵本】アンデスの民話

今週読んだ絵本です。

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「コケーナとであったチャンゴ」

再話:やなぎや けいこ

絵:野口忠行

「こどものとも」70周年記念出版

こどものとも世界昔ばなしの旅Ⅱ

(福音館書店 1990年1月1日 月刊「こどものとも」発行)

再話のやなぎやけいこさんは、ブエノスアイレスのサルバドール大学に留学、絵の野口忠行さんは、1981年から35度ペルーに行かれたことのある方々。

 

物語は、ヤギ飼いの男の子チャンゴが5匹のヤギとともに、柔らかい草ときれいな水を求めて遠くの山まで出かけていくところから始まります。そして、その先々で遭遇した数々の出来事について語られていきます。

タイトルにあるコケーナとは、大きな白い山高帽を被った、小さな小さな山の神さま。人間の行いの良し悪しによって怖ろしくもなれば優しくもなると、人々に言い伝えられている存在です。

険しい山道や強い風雨、大切なヤギのうちの一匹の子ヤギの迷子、そんな大変な体験をしながら辿り着いた先で、さらにまた心配な出来事が。そこでチャンゴが出会ったのが山の神コケーナでした・・・

 

独特な風合いの柔らかな線と色合いで描かれたアンデスの風景は味わいがあって、その場の雰囲気を見事に表現しています。茶色屋根に白壁の家が並ぶ街並みを覆う乾いた空気。淡い黄緑色の柔らかで美味しそうな草がどこまでも続く広々とした野原。実際にアンデスに行くことはなかなかできなさそうですが、絵を眺めることで旅するような思いになりました。

 

コケーナがチャンゴにどんな対応をしたかって?チャンゴはヤギのためにそれはそれは一生懸命な働き者の小さな男の子、それは言わずもがな、でしょうか。

【今週の絵本】いくらなんでも多すぎる。

今週読んだ絵本です。

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「100まんびきのねこ」

文・絵:ワンダ・ガアグ

訳:いしい ももこ

福音館書店 1961年1月1日発行)

縦20cm×横27cmの絵本。

開いてみると、シンプルな白黒の絵が縦横無尽に画面の中に配置され

その間を縫うように、ほぼひらがなで記された横書きの言葉で物語が紡がれていきます。

原作は1928年、今からおおよそ100年前に描かれた作品です。

ストーリーにも絵にも、可愛いだけではない、今にはない味わいがあるように思いました。

 

あるところに住んでいるおじいさんとおばあさん。綺麗な家、美しい花壇、でも寂しい、なにかが足りない。それは・・・「ねこ」!おじいさんは、猫を探して野を越え山越え、歩いて歩いてようやくたどり着いたのが、猫まみれの丘でした・・・

 

丘いっぱいにズラリと勢ぞろいした猫たちの光景も、現実にはなかなか見ることのできない貴重な光景です。

 

お話の展開も、イラスト同様に一筋縄ではいかない、読み手によっては意外でシュール過ぎるかも?私には後半のある重要な場面が予想外のものでした。

 

キーワードは「いちばん きれいな ねこ」。100万匹の猫が一体どうなるのか、ぜひ読んでいただきたい作品です。

 




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