すっかりクリスマスの定番菓子となりましたシュトーレン。
薄くスライスして食べるのが常道ですが、「うますぎてすぐたべてしまう」という意見が続出します。
そんなあなたに名回答。
「自分で作れば、もったいないからそんなに食べられない」
ね、簡単でしょ。セットだって売ってます。
作ってみて思ったんですよ。なんでシュトーレンが高いか。そして誰も作ってないのか。
めっちゃくちゃ手間がかかります。
なにせ中種法とかいう、中世の闇のどこかに消え果てたのかってくらい古の製法が出てきました。シュトーレンってのは一応パンの仲間です。
パンを作るにはいろいろ方法があるんですが、膨らむパンはだいたいイースト菌を使います。
ぶっちゃけると、パン作りってのは以下にイースト菌をこき使うかってことでもあります。
最近のイースト菌は性能がいいため、適当に材料を用意して混ぜれば働いてくれます。
昔のイースト菌は気難しかった。まずお湯と砂糖を用意して、イースト菌を入れて、働く気になるまで待ちます。ここで失敗すると、イースト菌くんは機嫌を損ねて働いてくれません。
シュトーレンの場合、イースト菌くんの労働環境が極めて劣悪です。なんせ砂糖がない。いやマジで。砂糖入れるレシピもあるんですが、私が買ったキットのレシピにはシュトーレン本体に入れる砂糖はありません。
これは、イースト菌くんにとって給料がないくらいの非常事態です。退職代行ものです。
その上、小麦粉も大してありません。パソコンないから電卓使ってくれくらいの話です。しかも、職場の仲間はアーモンドプードルとスパイスとドライフルーツ。ラム酒に漬けたやつです。
ちなみにイースト菌くんはアルコールで死にます。スパイスにも殺菌作用が。
イースト菌くんの楽しい仲間たちが下の画像です。理科の実験キットみたい。

このめっちゃくちゃな労働環境で、イースト菌くんは働いてパンを発酵させなきゃならいのです。
そのため、中種といって、1回労働環境を整えてやる必要がありました。小麦粉とあたためた牛乳とイースト菌でパン生地を作り、発酵させてあげるわけです。
自衛隊でいうと、『お客様期間』というやつですね。ぬくぬくとマシな労働環境で育ったイースト菌くんたちは、とつじょちぎられ、こねられて、とんでもない戦場に放り込まれます。
曰くバターとアーモンドプードルと小麦粉と卵を混ぜたよくわからんところです。まずスパイスくんがイースト菌を殺しにかかります。必死に抵抗しながらこねられ混ぜられて、一息ついたところに本命が来ます。
ラム酒付けのドライフルーツです。
正直、わたしも作ってて、
「ここまでしてパンにする必要があるのか。フルーツケーキで良くないか」と思いました。材料がマジでフルーツケーキです。
しかも生地をこねて発酵させる手間が倍。焼き時間入れて5時間かかりました。
その上大して膨らまないんですよ。ちゃんとレシピにもそれほど膨らまないってかいてあります。そりゃあれだけイースト菌をこき使えば膨らむはずがありません。
膨れないならなんのためにイースト菌使ってるのか。ドイツ人はシュトーレンを作りながら疑念を抱かなかったのか。
焼き上げる手前がこんな感じ。

なんとか形にしながら、焼きあげます。180度のオーブンの中でイースト菌くんたちは焼死しました。
ここからがガチで正気を亡くしたドイツ人チックです。マジで海にいったら穴を掘るレベルで意味がわからない。
60グラムの溶かしバターをシュトーレンにぶっかけます。
シュトーレンは2本できるんですが、はけでぬりつつ、「ほんとうにこれ消費しきれるのか」と思いましたね。裏まで塗るとなんとか使い切れました。
そして50グラムのグラニュー糖をまぶします。
シュトーレンの中で焼けて死んでいったイースト菌くんたちがあの世で聞いたら激昂しそうな話です。なんでその糖分を生地に入れなかったのかと。俺達にメシもよこさずこき使っていまさら外に塗るとか人間のやることかと。
わたしも正直まぶしたくないんですが、この生地、砂糖が入ってないので砂糖を少しはまぶさないと味が保証できません。
最後に粉砂糖50グラムをふりかけますが、みなかったことにしました。
そんで食べてみました。
美味い。フルーツとアーモンドがみっしり詰まった味がします。さすが質実剛健のドイツの食べ物。
確かにフルーツケーキでこの重厚感というか、詰まった感じを出すのは難しいと思います。イースト菌くんたちをこき使った甲斐は……あるんですかね。イースト菌抜きで作れば済むような気もするんですけど。
そしてシュトーレンというのはバカ高いものです。パンのくせして1つで千円超えてきます。
高い理由が身にしみてわかりました。
時間と手間と労力がアホほどかかります。普通のパンやケーキの3倍くらい。
1回作ってみるといいです。ぱくぱく食べられなくなりますから。
わたしはシュトーレンを22日に作ったんですが、まだ1本残ってます。
透き通るほど薄く切って、年始まで食べ続けようと思います。