普段、訃報とか暗いことはあんまし書かないことにしてます。それでも田中敦子さんの訃報はショックすぎました。まだ61歳です。死ぬには早すぎる。
わたしがちょっと自慢していることに、映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を映画館で見たって経験があります。
まあ、若い人から「そのころ自分は生まれてなかった!」というカウンター食らったことがあるんですが。
もともとオタクになったきっかけの作品が、『パトレイバー』と『天空戦記シュラト』の2作品でした。最初っからメカとオカルト(しかもインド神話)の2本立て、救われませんね。
その『パトレイバー』の押井守監督が新作を発表するとあって、どうしても見たくなりました。
しかし映画に行ってくれそうな友達がいない。
しょうがないので1人で行くことにしました。わたしが初めて1人で見た映画が『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』だったのです。
アニメ誌で情報を仕入れてはいましたが、主役は田中敦子さんという当時は知らなかった人。
「えー、女性主人公なら榊原良子さんのほうがいいなあ」
とか、不謹慎極まる考えを持ちながら映画館に向かいました。
横浜シネマリンという小さな箱です。伊勢佐木町にありました。
伊勢佐木町あたりはあんまり治安がよくなく、さらに地下にある映画館なんて女性ひとりで行くもんじゃありません。緊張しましたが、周りはどうみても同類のお兄さんばっかりでほっとしました。
向こうは変わったやつがいると思ったかもしれません。たぶん女はわたし含めて数名のはず。
そして映画が始まりました。
攻殻機動隊のあと、『マトリックス』が上映されました。間違いなく『攻殻機動隊』は時代を変えた作品の1つだったと思います。
田中敦子さんの少佐はとにかくかっこよくてしびれました。
中でも、ダイビング後にボートでビールを飲みながら、バトーに話すときのシーンが神がかっています。
『人間が人間である為の部品はけして少なくない様に、自分が自分である為には、驚くほど多くのものが必要なのよ。(中略)
あたしの電脳がアクセス出来る膨大な情報やネットの広がり、それら全てがあたしの一部であり、あたしという意識そのものを生み出し、
――そして同時に、あたしをある限界に制約し続ける』映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』より
ここの長台詞は、素子という人格が『人間』からそうでないものへ遷り変わっていくようで、背筋が震えました。
終わったときには、すっかり頭の中が少佐でいっぱい。プログラム買って、初冬の街を駆けて行きました。
『Innocence』も、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』も、『S.A.C. 2nd GIG』『S.A.C. SSS』も見ました。
『ベヨネッタ』の演技も好きでした。
『スパロボOG』シリーズのヴィレッタ少佐も最高でした。
『ヴァルキリープロファイル』シリーズのアーリィも大好きでした。
いつかアーリィ主人公の続編が出て欲しいと楽しみにしていました。
もっともっと田中敦子さんの演技を、声を聞いていたかった。
年年歳歳 花相い似たり
歳歳年年 人同じからず
新編 中国名詩選 (中)71ページより
つつしんで御冥福をお祈りします。