オーバーツーリズム、つまり「観光客来すぎてうざいんじゃボケ」みたいな話はなんとなくわかります。
わたしは昔、川崎大師の隣に住んでたことがあります。正月時期は鬱陶しいことこの上ありません。
まず初詣客が並んでるんで、近所のコンビニ行くのも「地元民です横入りしてません」と警官に断らなきゃなりません。
そして街宣車。ああいう人が多いところではよく放送が流れてると思います。
あれを1日聞く羽目になります。
気が狂うかと思いましたよ。
ただ鎌倉の親戚によると、「それはまだ正月だけだからマシなほう」だそうで。あっちはほぼ年中ですもんな。
これから日本でもオーバーツーリズム問題が盛んになってくるんじゃないでしょうか。
『人喰い』は、オーバーツーリズムというか、「観光客だからって好き放題してるとしっぺ返しを食らう」みたいなノンフィクションです。
ざっくり説明すると、世界でも有数の大富豪ロックフェラー家の御曹司がニューギニア奥行って金を使いまくってたら行方不明になった、という事件のあらましです。
御曹司は19歳。これから大学入って財閥のために勉強して働かなきゃならない人生が待ってます。だもんで卒業旅行とばかりに「ちょっとニューギニアまで行ってくるぜー」って感じで出かけました。
ニューギニアったって1960年代です。まだアメリカからだと日本経由して行かなきゃならないレベル。ロックフェラーなんて誰も知らない、そんな世界だからこそ御曹司は憧れたのかもしれません。
で、彼はそこで見つけた芸術品、つまりは住人たちが作った柱やらなんやらを買い漁ります。なんせ御曹司ですから、パパに頼めば300万円くらいすぐ送金してもらえます。
300万円ったって、1960年代ですから1ドル360円の時代です。金は湯水のように使われ、民芸品はどんどん売られて行きました。
そして御曹司は、近所の人が改造した適当極まるボートにのってたら転覆。行方不明となりました。
当地は人喰いの伝統があったもんで、御曹司は食われたんじゃないかと疑念が出ました。
御曹司はどうも殺されたっぽいんですね。ノンフィクションの作者は頑張って遺体を探したんですがみつかりません。食べたという証拠もでてきませんでした。そりゃみんな口つぐみますね。
読んだときはそんなもんかと思いましたが、オーバーツーリズムとか見てると、そのうち日本の神社の鳥居とか狛犬とか、商店街の看板とか、アニメの原画とか、そういう大事なものが大金で買われていって二度と戻らないことがあるのかもと思うようになりました。
さてそんなとき、湯水みたいに金を使ってる御曹司がいたら、恨まないでいられるもんでしょうか。
さてわたしは、海外旅行に出た時、金を払えばなんでもしていいと思ってなかったでしょうか。
観光も人のすることです。マナー以前に人として、相手を傷つけずに行きたいものです。