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「ウホっ‼ イワジュンの男色文献セレクション」第2回堤青柳斎の「消え行くもの」

大泉黒石が主宰した雑誌『象徴』に岩田準一も参加したためか、『男色文献書誌』に『象徴』掲載の小説がぽつぽつ見受けられる。


しかし、この『象徴』、現在散逸しており、1巻1号~2巻1号がすべてとするならば、それら全部を所蔵している図書館・文学館はなく、半ば幻めいている。

 

『象徴』2巻1号は神奈川近代文学館に所蔵があり、複写が可能なので、その中から『男色文献書誌』掲載の「消え行くもの」(堤青柳斎)を紹介する。

まず出だしはこうだ。

蒼い暗い密林のおくに、銀板を瑠璃紺でみがいた沼の水が、ふかく静息してゐた。

もう、一文目から文章が耽美であり、流麗である。
さて、物語は、若い画家が、沼を前にして、その沼を絵に写そうとするが、なにか足らない。そこで沼の水の面に沼の象徴のような邪念に顔を鬱鬱となやむ、凄艶の美少年をかきたそうとする。
するといつの間にか画家の背後に男とも女ともつかぬ少年が立っている。

女とも男とも見わけのつかぬ、ひと目には、心と云ふものを未生の昔にわすれてきたかとばかり、たとへば歌舞伎若衆の素顔のつめたさに似て、表情がすこしもないが、煉白粉のやうな顔のしろさのなかに、妖しく青びかりする瞳は、なんの動きもない面に陰姦の相がほのめいて、風にゆられる青柳よりもなよやかな體のしなへにも、悪血のなやましさが幾重にもをりこまれてゐるのが悟られる美形。これが胸だかに献上博多の帯でしめた黄八丈の小袖に、黒い七子の羽織をつけ、白足袋に雪駄をふんでゐる

 

とまあ、美辞麗句に飾られた美少年が目の前に現れたので、画家は、「美しい人だ」口にし、この美少年こそ、絵に描こうとしていた人だと、沼の絵にその美少年をかきたしたいと思う。
画家は少年に沼の上に人間が魔物みたいに飛んでる絵なぞあるものかと言われるが、少年を説得し、絵のモデルになってもらう。
画家が絵を描いているとそばにいるはずの少年がどんどん遠く離れ、沼の上に立っているように感じられる。
そして、沼に少年が沈んでいくようにも感じ、自分の所に戻ってくるように言うものの、逆に魔法をかけられたように体を起こし、少年を追おうとして、沼の中に入っていった――。

という話である。
最初から最後まで優美で美麗な言葉で物語が紡がれており、それだけで100点満点だが、
妖のような黄八丈の小袖に羽織を羽織った美少年(歌舞伎若衆みたいな美少年の気がする)に、惑わされて沼に囚われる若い画家などという絵面がもう最高である。

『男色文献書誌』は男色! という作品ばかり扱うのではなく、惚れずにおれない美少年が出てくる話も結構取り上げている。
なので、美少年が出てくる作品を探すのもまた一興である。

然しこの話、だれか絵に起こしてくれないかしら。




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