2026年度入試の国公立大学前期試験が2月25日に始まりました。今日、26日(さらには27日)まで試験がある大学・学部もありますが、私がこの1年間、注目していた大学の出題がありますので、ここで取り上げます。
- 広島大学・前期日程・英語
です。
そのうちの英語ライティングの出題から「グラフ」を用いた設問を取り上げ、考察し、解答例を示したいと思います。
まずは出題を見てみましょう。
2025年度のグラフ出題のミスにもめげず、今年度も折れ線グラフで作問してきました。天晴れです。
- "Whoa! Yeah!"
と歓喜の声をあげたいくらい。
私はこんなツイートをしていました。
今日は国公立大の前期試験日。
昨年度の苦い経験を。
今年の広島大がグラフの出題をやめたら面白いけど。
・意地でも(doubling down)グラフでいくか?
・グラフは辞めて表にする程度の衣替えか?解答に影響がないわけがないじゃない!
- 英語教育の明日はどっちだ!
今日は国公立大の前期試験日。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2026年2月24日
昨年度の苦い経験を。
今年の広島大がグラフの出題をやめたら面白いけど。
・意地でも(doubling down)グラフでいくか?
・グラフは辞めて表にする程度の衣替えか?
解答に影響がないわけがないじゃない!
- 英語教育の明日はどっちだ! https://t.co/IkX34Blgg0
昨年度の「出題ミス」の背景をご存知ない方は、上記リンク先を辿って下さい。
以下2026年入試の解説です。
着眼点
このグラフでの変数は2つ。
・魚介類と肉類の年間個人消費量の経年変化出題が求めているのは、
・trends((不)変化・趨勢)の記述
と
・その理由・背景と考えられる要因の説明
です
グラフで得られる情報は、消費量のキログラムと、1989年から2023年までの期間のみで、その「重量」の意味するものや、その「期間」の意味するものは全て解答者が想起したり推測したりする必要があります。
まず「重量」。個人消費量で魚介類のピークが約40kg。ボトムが約21kg。肉類のボトムが約25kg。ピークが約34kg。これは年間の重量ですから、1日の摂取量は365で割ればいいので、魚介類のピークで約110g、ボトムで約58g。肉類のボトムで約68g、ピークで約93g。
単体で見ればその変化の記述で良いでしょうが、実際には年間で肉も魚も食べるわけですから、合算で考えてみましょう。
ピークの2001年には二つの合計で年間約68kgの消費量だったものが、消費量が逆転する2010年頃には約58kgになり、ボトムの2023年には約55kgで、最大値から約13kg減少している計算になります。では、日本人はその分だけ少食になったのか、それとも、魚介や肉以外の食品でその減少分を補っているのか、はこのグラフからは不明で、推測の域を出ません。次にこの「期間」に起こった大きな出来事を考えてみます。このグラフに拠らず、一般的な常識や知識の範囲で想起できるものを列挙してみると
・バブル崩壊の始まりが1989年。
・日本での狂牛病(BSE)の確認が2001年。
・リーマンショックが2008年。
・東日本大震災での原発事故による海洋汚染が2011年。
・コロナ禍の始まりが2020年。
辺りでしょうか。・受験生が持ち出しそうな要因は「漁獲量の減少」や「魚の価格の上昇」ですが、このグラフ以外の資料を持ち出さずに、漁獲量の増減や価格の変動を説明するのは難しいでしょう。
また、消費者物価指数や消費税率の変化の影響を時系列で整理できる人も少ないでしょう。
説明のポイント
・消費量の逆転を記述するか?記述するならどのような表現を使うか?
・肉類の消費量漸増の背景となる要因は何か? 明言するか否か?
・2001年以降の魚介類の急減の背景となる要因は何か? 明言するか否か?
解答例1
The graph illustrates changes in Japan’s per capita seafood and meat consumption. Meat intake rose steadily. Seafood consumption fluctuated until around 2000, then declined sharply, and by 2010 meat had overtaken seafood. The 2011 nuclear accident may have accelerated the fall due to concerns about ocean contamination, but it cannot fully explain the decline already seen in the 2000s. Combined seafood-and-meat consumption dropped by about 13 kg, from a 2001 peak of 68 kg to 55 kg in 2023—about 35–36 g less per day. It remains unclear whether people replaced protein with other foods or simply ate less.
(100 words)このグラフは、日本の1人当たりの魚介類と肉の消費量の推移を示しています。肉の摂取量は着実に増加しました。魚介類の消費は2000年ごろまで変動し、その後急減し、2010年までに肉が魚介類を上回りました。2011年の原発事故は、海洋汚染への懸念から減少を加速させた可能性がありますが、2000年代にすでに見られていた減少を完全には説明できません。魚介類と肉の合計消費量は、2001年のピーク68 kgから2023年の55 kgへと約13 kg減少し、1日当たりに換算すると約35〜36 g少なくなりました。人々がたんぱく質を他の食品に置き換えたのか、単に食べる量が減ったのかは依然として不明です。
解答例2
This graph shows changes consumption of seafood and meat per person in Japan. While meat consumption has consistently increased, seafood consumption varied until 2000 and has since steadily declined. The 2011 nuclear accident likely accelerated this trend due to ocean pollution concerns, but the reasons for the decrease in the 2000s are unclear, though a shift toward meat is suspected. Total consumption of seafood and meat fell from a peak of 68 kg in 2001 to 55 kg in 2023, a drop of about 13 kg. This equals a daily reduction of 35-36 grams. It is unknown if people are finding protein elsewhere or simply eating less.
(107 words)このグラフは、日本における一人当たりの魚介類と肉の消費量の変化を示しています。肉の消費量は一貫して増加している一方、魚介類の消費量は2000年まで変動し、その後は着実に減少しています。2011年の原発事故は海洋汚染への懸念からこの傾向を加速させたと考えられますが、2000年代の減少理由は不明です。ただし、肉への移行が疑われています。水産物と肉類の合計消費量は、2001年のピーク時68kgから2023年には55kgへと約13kg減少した。これは1日あたり35~36グラムの減少に相当する。人々が他の食品でタンパク質を補っているのか、単に摂取量を減らしているのかは不明である。
以下、雑感。
グラフで気になるところが一箇所あります。
- 「魚介類の消費量」のうちの、2019年のプロット
です。
減少のスロープが続く中で、ここだけ「ピョコ」っと上昇し、また2020年から下降傾向になります。
「既視感」がありませんか?
そうです、昨年度の出題ミスで作られたグラフのここ!
俗にいう「確信犯」的なグラフの作成ですかね?
今年は大丈夫だと信じたいです。
関連資料を示しておきましょう。
水産庁のサイトから。
(2)水産物消費の状況
www.jfa.maff.go.jp
ここで示されているのは次のグラフ(図表1-3)。
ここからリンクで、エクセルの表に飛べます。スクショの画像を貼っておきます。
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r06_h/trend/1/other/f1-03.csv
水産庁の公開している資料には、生産量≒漁獲量の推移を示すものもあります。
この資料によれば、生産量の下降・減少は1990年以降で加速しているので、「漁獲量の減少が消費量の減少を生んでいる」という推論では、今回の広島大学が示したグラフの2000年までの消費量の変化を説明することができません。
背景となる要因を説明させたいのであれば、更なる資料との組み合わせが必須要件だったと思いますね。
このように設問・作問が少々雑ですから、解答の英文の「論拠」もそんなに神経質になる必要はないでしょう。
この記事を予備校サイトの解答速報と読み比べて下さいね。
本日はこの辺で。
本日のBGM: 魚ごっこ (2014 Mix) / Bo Gumbos





