今日はタイトルの通り。
虎ノ門で犬を見てきました。
Tokyo Prototype
tokyoprototype.jp
での藤堂高行さんの出品作品。
「鎖に繋がれた犬のダイナミクス」
この作品を見るのは昨年に続いて今回で2回目。
今年の会場はタワーの45階!
高所恐怖症の私には、会場に行くまでが試練。心拍数が上がり、頭はクラクラします。
作品「鎖に繋がれた犬のダイナミクス」を見て、さらにハラハラドキドキ。
会期は1月31日(土曜日)までと短いので、お急ぎ下さい。
藤堂氏からの情報もツイッター(現X)で発信されています。
過去のイベントでの動画は、藤堂氏のサイトで公開されているこちらなどを。
Dynamics of a Dog on a Leash
youtu.be
今回も会場の傍らの台にはSEERちゃんもいらっしゃったので、にらめっこしてきました。
さて、
前回の「気になる語法」で取り上げた
- not sustainable / unsustainable
ですが、本当に反応がありませんね。
皆さん、本当に「持続可能な」で理解&運用されているのでしょうか?
それとも、既に日本の教材やテストでも適切な理解&運用がされていて、私だけがそれに気づいていなかったのでしょうか?
大学入試問題から読解素材文をとりあげますので、どのような語義と生息域なのか確認して下さい。
For centuries, we have regarded sleep as a simple suspension of activity, a passive state of unconsciousness, and for centuries we have been wrong. This failure to understand the active nature of sleep is perhaps one of the reasons why our 24/7 society has developed such little regard for it. At best, many of us tolerate the fact that we need to sleep, and at worst we think of sleep as an illness that needs a cure. This attitude, held by so many in business, politics, industry, and even the health profession, is not only unsustainable but potentially dangerous.
Our everyday experience tells us that a night of sleep has considerable benefits, and this subjective feeling is supported by an increasing body of scientific evidence. Aside from making us feel better, sleep helps our brains find creative solutions to everyday problems. History is replete with incidents when scientists and artists have awoken to make their most notable achievements after long periods of frustration.
出典は、Oxfordの “A very Short Introduction” のシリーズから “Sleep”の巻で、なんと第一章の頭から使っています。この第二段落はちょっといじってますけど。
Our everyday experience tells us that a night of sleep has considerable benefits, and this subjective feeling is supported by an increasing body of scientific evidence – some of which we review in this book. Aside from making us feel better, sleep helps our brains find creative solutions to everyday problems. History is replete with incidents when scientists and artists have awoken to make their most notable contributions after long periods of frustration.
Lockley, Steven W.; Foster, Russell G.. Sleep: A Very Short Introduction (Very Short Introductions) (2012) (p.1). OUP Oxford. Kindle 版.
2012年の本ですから干支も一回り以上前。出題も2016年で、約10年前です。
当該の表現を含む一文が、第一段落の最後にあります。
- This attitude, held by so many in business, politics, industry, and even the health profession, is not only unsustainable but potentially dangerous.
国立の個別試験だと、「Thisの指す(受ける)内容を明らかにした上で、下線部を日本語に直しなさい。」などと出題されそうな雰囲気がありますけど、この一文での “unsustainable” を「持続不可能な」としてしまうと、第二段落とのコントラストが生きてこないと思います。
ここでの “unsustainable” は環境関連のSDGs用語の「持続可能」という意味では使われていません。
第一段落は、何世紀にもわたる睡眠への誤解と、現代の24時間社会における睡眠軽視の態度を批判しています。そして最終文では、ビジネス、政治、産業、医療分野の多くの人々が持つ「睡眠を病気のように扱う態度」について述べています。
一方、第二段落では一転して、睡眠の具体的な効能(創造的問題解決など)を科学的証拠とともに示しています。
この段落同士のつながりと、主題へのまとまりから考えて、 “unsustainable” は「もはや成り立たない;通用しない」「看過できない;許容できない」という意味合い、さらには論理的・実証的に「支持できない、正当化できない」という意味を表すものです。
睡眠を軽視する態度は、人間の生理的な限界や、第2段落で述べられている科学的事実と矛盾しているため、論理的にも実益的にも「これ以上その考え方でやっていくのは無理がある(破綻する)」という部分をしっかりと捉まえる必要があります。
“untenable” (支持できない・維持できない)や “irrational” (不合理な)というニュアンスを汲み取り、第2段落への展開(科学的証拠による反証)へとスムーズにつながるように訳すとすれば、以下のようなものになるでしょう。
「こうした考え方は、ビジネスや政治、産業界、さらには医療の現場にまで広く見られるが、もはや到底成り立つものではなく、しかも危険を招きかねない。」
「ビジネス、政治、産業、さらには医療分野においてさえ多くの人々が抱くこうした態度は、もはや正当化できないだけでなく、潜在的に危険でさえある。」
「ビジネス、政治、産業、さらには医療の専門家においてさえこれほど多くの人々が抱いているこうした態度は、もはや通用しないだけでなく、危険性を孕んでいる。」
2012年の時点で、このunsustainableの語義と生息域は、英語で書かれた『自然科学の入門書』で使われるくらいには「普通の」表現だったということがわかります。
巷の「入試問題正解」でもし取り上げられていたら、その全文訳と比べてみてみると面白いのでは?
英語の指導者の方たちは、多くの英語教材をお持ちだし、目を通してきていることでしょう。
実際に教材を執筆作成している方も少なからずいることでしょう。
私は大学入試であれ、資格試験であれ、受験指導を自分の英語指導者としての第一義的な役割とは思っていませんが、それでも、試験対策の単語集・熟語集の類いには目を通しています。
今のところ、前回&今回、私が取り上げて指摘しているような語義と生息域で(not) sustainableやunsustainableを扱っている単語集・熟語集は見当たりませんでした。
英和辞典でも語義項目の下位区分で「容認できない」「擁護できない」などに対応している用例を載せているものはありません。
日本の英語教材や辞書も、そろそろ not sustainable/unsustainableのより適切な扱い、落とし所を探さないと立ち行かないところまで来ているのでは?
本日はこの辺で。
本日のBGM: 犬とベイビー (くるり)

