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当事者主権

前々回の記事

  • ing形? -ed/en形? それとも…

tmrowing.hatenablog.com

では、

  • relaxingとrelaxedの語義と生息域、さらにはその関連表現を取り上げました。

前回の記事

pass out = fall asleep とすると ... was passed out は?
tmrowing.hatenablog.com

では、

  • pass out の語義と生息域、さらにはbe passed out のような形容詞相当の用法を取り上げました。

まあ、いつものことながら、英語表現そのものを考察する記事は、ツイートと同様に「読まれない」のですが、この2つの記事は一部でそれなりに評価してもらえたようで、読む人が読めば分かるのだな、とあらためて思いました。

その前回の記事で取り上げた

  • (be) passed out
  • (be) passed out drunk

のような、句動詞としては「自動詞用法」しかないものから派生した、所謂「過去分詞」(=分詞形容詞)の扱いに関して、最後の最後に、生成AI三者とのやり取りの結果を転記していました。
まだお読みになっていない方は是非前回の記事の「本日のBGM」のさらに下へとお進み下さい。

彼らの言い分を整理すると

見た目は be passed outだが、対応する能動態の用法があるような受け身ではない。
自動詞の過去分詞は「受け身ではなく完了」を表す。
その行為や動作の結果生じる状態を示す用法

ということのようで

  • drink → be drunk
  • go → be gone
  • finish → be finished

と同様の考え方で

  • pass out → be passed out

となるというのですね。
これは一見、もっともらしいのですが、同じように「自動詞用法しかない句動詞」から派生した分詞形容詞を形容詞として用いる例は少数派だと思います。
多くの場合は、「現在完了形」によって、変化の結果とその後の状態を示すことになります。

以下、いくつか自動詞的に用いられる句動詞の例を示しますから、そこからの派生の形容詞が成立しない、または、形容詞的に使われると「意味そのものが変わってしまう」ことを確認して下さい。

出現・到着

show up (姿を現す)

  • It was getting late when she finally showed up. 彼女がやっと到着した時にはもう遅くなっていた. (OALD英英和)

※ (X) She was shown up とは言えない。「現れてそこにいる」場合は、完了形で (△〜○) she has shown upなら容認度は上がる。
turn up / pop up (不意に現れる)
drop by (予告なく立ち寄る)
も同様で、 (X) she was turned up / (X) she was popped up / (X) she was dropped by は不可。

鎮静・減衰・消滅

die down (静まる;弱まる) 

  • The flames finally died down. 炎はとうとうおさまった. (OALD英英和)

※ (X) the flames were died down とは言えない。「鎮火」の場面では (○) the flames have died down は可。
※be動詞に続けて「状況」を描写するのなら、むしろ進行形。  

  • The fire is dying down—would you throw on another log? (Oxford コロケーション)

peter out (徐々に消える;先細りになる)

  • The campaign petered out for lack of support. その運動は支持の欠如により先細りになって終わった. (OALD英英和)

※ (X ) the campaign was petered out とは言えない。
※be動詞に続けて「状況」を描写するのなら、むしろ進行形。  

  • The six-month strike seemed to be petering out. 6か月のストは先細りになって消えたようだった。(COBUILD米語英英和)


成長・生活

grow up (成長する)

  • She grew up in Tokyo. 彼女は東京で育った。 (COBUILD米語英英和)

※ be動詞に続けて She was grown up. という場合には、単に「成長」というよりも、「(分別ある)大人になる」とか「成人する」という意味で用いられることが多い。

  • When I was nine or ten someone explained to me that when you are grown up you have to work. 私が9歳か10歳の頃、大人になったら働かなければならないと誰かが説明してくれた。 (COBUILD米語英英和)

※名詞で使うなら (a) grown-up。

  • If you're good you can eat with the grown-ups. いい子にしていれば大人と一緒に食べられます.(OALD英英和)

get by (何とかやっていく)

  • I’m a survivor. I’ll get by. 私は逆境に強い。何とかやっていく。 (COBUILD米語英英和)
  • How does she get by on such a small salary? そんな低い給料で彼女はどうやってやっているんだ? (OALD英英和)

※ (X) I’ll be got(ten) by や (X) how is she got(ten) by? は不可。意味を成さない。

感情・神経

freak out (酷く動揺する;パニックになる)

  • I remember the first time I went onstage. I freaked out completely. (COBUILD) (Kagi訳:初めて舞台に立ったときのことを覚えています。完全にパニックになりました。)

※freak outの場合は、他動詞用法も一般的なので、そこからの受け身も認められる。

  • I think our music freaks people out sometimes. (Kagi訳:うちらの音楽、たまに人をビビらせちゃうと思うんだ。)
  • It sort of frightens me. I guess I am kind of freaked out by it. (Kagi訳:俺もちょっと怖いよ。まあ、自分でもちょっとビビってるんだよね)

stress out (緊張でまいる;緊張させてまいらせる)

  • I try not to stress out when things go wrong. 私は物事がうまくいかないときにストレスでまいらないようにしている. (OALD英英和)

※stress outにも他動詞用法があります。

  • Planning this wedding is really stressing me out. (COBUILD句動詞辞典)(Kagi訳:この結婚式の準備、ほんとにストレスたまる。)

※当然、受け身もあり、と考えられますが、既に「形容詞化」していて、世相・時代背景も後押ししてか、かなり高い使用頻度です。
同じくCOBUILD句動詞から。
If you are stressed out, you feel very tense and worried.

  • I’m so stressed out I can hardly concentrate. (Kagi訳: ストレスが強すぎて、ほとんど集中できません。)

※OALDでは形容詞stressedの項に併置。
stressed (also informal stressed out) [not before noun] too anxious and tired to be able to relax

freak outやstress outには他動詞用法があるので、そこからの派生でfreaked out/stressed outが形容詞として使われることは自然に受け入れられるでしょうが、同じ「感情・神経」のカテゴリーに入れられそうな、前々回の記事で取り上げた、句動詞のchill out は自動詞用法がデフォルトであるにも関わらず、chilled outの形で形容詞として使われます。似たような意味を持つ、clam downには他動詞用法があることを考えると、chill outの特殊性が際立つでしょう。

calm down (落ち着く;落ち着かせる)

  • Calm down for a minute and listen to me. 少しの間落ち着いて私の話を聞いてよ。
  • I’ll try a herbal remedy to calm him down. 彼を落ち着かせるため薬草を使ってみよう。

(以上、COBUILD米語英英和)
※受け身で使われる場合は、「落ち着かされる;宥められる」ということになります。
NOWコーパスで見つかる例がこちら。あのアカデミー賞授与式での事件ですね。
Smith was calmed down by Bradley Cooper after he assaulted Rock. Denzel Washington was also seen speaking to him. The actor later revealed Washington, who appeared tearful himself, had told him:' At your highest moment, be careful. That's when the devil comes for you'
https://www.dailymail.co.uk/news/article-10660087/Hypocritical-Hollywood-elite-party-Smith.html
(Kagi訳: スミスはロックを攻撃した後、ブラッドリー・クーパーに宥められた。デンゼル・ワシントンが彼に話しかける様子も目撃された。後にスミスは、涙ぐんでいるようにも見えたワシントンから「一番高みにいる時こそ気をつけろ。そういう時に悪魔はお前のもとへ来る」と言われたことを明かした。)
「落ち着いた」状態を表すのであれば、形容詞のcalmが完全に定着しているので、そちらを使うことになるでしょう。be calmed down の形で「状態」を表すことは稀で、辞書の用例で採録されているのも見たことがないです。

chill out (リラックスする)

  • They sometimes meet up to chill out and watch a movie. 彼らは時々集まってはくつろいで映画を観る.
  • Sit down and chill out! 座って冷静になりなさい.

(以上、OALD英英和)

この2例目にあるような「命令文」が基本の用法とする辞書もありますが、実際には命令文に限らなく使われているので注意が必要でしょう。

2025年12月6日追記:
chill単独で自動詞扱いすることもあります。以下、今は無きマクミランのMED米語上級者版 (2002年)から。
chill or chill out [I] informal
to relax and stop being angry or nervous, or to spend time relaxing:

  • I'm just going to chill this weekend.

他動詞用法はありませんが、(be) chilled(-)out で形容詞として使う用法は認められています。
ハイフンのない用法をWebsterのWeb版から。

And someone who is a great listener, respectful, caring, chilled out, someone who supports my dreams – and is cool with my chaos! --- Tracy Wright, FOXNews.com, 26 Oct. 2025
www.merriam-webster.com
それから、よく話を聞いてくれて、礼儀正しく、思いやりがあって、肩の力が抜けていて、私の夢を応援してくれる人——そして私のドタバタも受け止めてくれる人!

2025年12月6日追記:
一語の形容詞 chillout も見られます。以下、マクミラン句動詞辞典 (2005年)から。
chillout adj
chillout time, space etc is time or space when you can relax and be calm:

  • A long working week and two young daughters leave me very little chillout time.

この chilled out と同様に少数派な形容使用法が、前回取り上げた

  • passed out

です。
前回の追記で生成AIが言うような、「自動詞で完了用法の過去分詞由来」で、「状態を表す分詞形容詞」として用いられるのだ、という理由が当てはまるのなら、 句動詞 “pass out” の対義概念とも言える、次の自動詞扱いの句動詞にも、同様の用法が当てはまるだろうと思うのですが、実際にはまず使われません。

come around [round] (意識を取り戻す;我に返る)
意識を回復する (also ˌcome ˈto) to become conscious again

  • Your mother hasn't yet come around from the anaesthetic. お母様はまだ麻酔から意識を回復していません. (OALD英英和)

※この語義・用法から派生させた、(X) was come around は不可。

その用法が認められるかの判定や、その容認の基準を「英語学的」に分析しても、結局自分で「使うか使わないか」の選択では、その語義と生息域での慣用表現として、どの程度「こなれているか」になると思うのです。過度の単純化をせず、ひとつひとつの表現を丁寧に捉えることの積み重ねです。

日本で大学入試レベルの「テスト」を経験したことのある人は、たとえば、次のような「問題」や、その「解説」を見たことがあることでしょう。

自転車が故障したので,授業に間に合わなかった。
I couldn’t arrive at class on time because my bicycle had broken (down).
break down は比較的大きなものが故障する場合に使われる。

所謂「四択」の完成問題ではそれほど悩まないかもしれませんが、本当にそんなに簡単なものなのでしょうか?

以下、辞書の用例と注記を。
まず『ジーニアス和英』から。

テレビがまた故障した The television has broken again.
バスが故障して動かなくなった The bus broke down and wouldn’t start.

このような例で、「故障する」という場合の、breakとbreak down の使い分けを求める問題がしばしば見られるのが「日本のテスト」ですね。

break down PHRASAL VERB 故障する
If a machine or a vehicle breaks down, it stops working.

  • Their car broke down. 彼らの自動車が故障した。 (COBUILD米語英英和)
  • The telephone system has broken down. 電話のシステムが故障した.
  • I guess that the car has broken down. その車は故障したのだと推測する.(以上2例、OALD英英和)

break
[自,他] (装置・小型機器が[を])故障する[故障させる]
My watch has broken. 腕時計が故障した
I think I've broken the video.ビデオを壊しちゃったみたい (以上、Oxford類語辞典)

My watch has broken [× broken down].
時計が故障してしまった <◆時計のような小さい物には break down は使わない;
My watch is broken. の方がふつう>(ジーニアス英和)

自信を持って使い分けられますか?

では「故障中」という「結果としての状態」はどう表すか?

この時計は故障している(=壊れている)
This watch is broken. (! 比較的小さいものにはbe broken downよりbe brokenを用いるのが普通) (Wisdom和英)

My car has broken down.
私の車は故障している(!今もその車が使えないことを暗示; My car broke down. では故障は今では直っている可能性が高いことを暗示) (Wisdom英和)

My computer is broken. 私のコンピュータは故障している.
語法 [「故障している」の言い方]
be broken は通例比較的小さな物について用い, 大きな物については not working [functioning] または out of order を用いる. 特に公の施設にあるものについては out of order が好まれる:The elevator is not working [out of order]. エレベーターが故障している. (ジーニアス英和)

随分長い引用をしていますので、「使い分けが面倒だな」と感じる学習者が多いでしょう。
いきおい、次の解説で「サラッと」書かれている注記は見逃されがちです。

故障する
[車・機械などが] break down (!状態を表すときはbe broken down); [公共性のある物が] get out of order (!(1) 状態を表すときはbe out of order. (2) 電話など主に公共性の高い機械・機器などについて用いる). (Wisdom 和英)

「サラッと」の箇所が分かったでしょうか?

  • 状態を表すときは be broken down

の部分です。

“break down” が受け身で使われる場合、その多くは「分解」「分割」の文脈です。

When a television or computer has been broken down and recycled to the best that it can be, some products are then shipped to a refinery where they are melted down, and properly handled. That’s an important thing to think about when it comes to regularly buying tech.
okcfox.com
テレビやコンピュータが可能な限り分解・リサイクルされた後、その一部は製錬所に送られ、溶融処理されて適切に扱われます。これは、日常的にテクノロジー製品を購入する際に考えておくべき大切なポイントです。

これに対して、上述のWisdom和英の注記にある “be broken down” は「受け身」ではなく、“broke down” の結果生じた状態を表すものです。
今日のテーマにつながりましたね。

近年増えている、 “be broken down” の例を眺めて、生成AIとのやり取りの結果を考えて、今日は終わりにしましょう。

The immigration department has also run out of national ID and other passport booklets for nearly four months, implicating more frustration for travellers.
Officials at the immigration department have been informing applicants that the printer is broken down and they must wait longer for their documents.
www.onecitizendaily.com
入国管理局では、国民IDやその他のパスポート用冊子もほぼ4か月にわたって在庫切れが続いており、旅行者の不満はさらに募っています。
入国管理局の担当者は申請者に対し、プリンターが故障しているため、書類の受け取りまでさらに待つ必要があると伝えています。

ツイッターのタイムラインで “phone is broken down” を眺めてみるなら、こちらのアドレスから

https://x.com/search?q=%22phone%20is%20broken%20down%22&src=typed_query&f=live

NOWコーパスでざっくり。「分解」「分割」も含む数字ですのでご注意を。

CLから、「故障」の例を目視で確認。




最後に生成AIとのやり取りを整理したものを載せておきます。
あくまでも参考までという位置づけで。

“be broken” と “be broken down” の違い。
1. be broken (より一般的;汎用性が高く簡潔な表現)
最も広く使われる「壊れている」という状態を表す表現。
単純な物から複雑な機械まで広範囲に使える。
例: My watch is broken. /The printer is broken.

2. be broken down (どちらかといえば口語的・情緒的)
単に「壊れている」というよりも、「機能が完全に停止し、動かなくなってしまった」という側面にフォーカス。
break down という句動詞自体が、車やエンジン、コンピューターのような「複雑な機構・システム」が機能停止するイメージを持つため、be broken down` もそのような文脈で好まれる。
break down (故障する)という「事態・現象」の結果として生じている「状態」であることを、より明確に表したい場合に適している。

3. 用例検討

  • The toy car is broken. おもちゃの車が壊れている。

※部品が取れた、など部分的な破損でも使える。

  • My car is broken down on the highway. 高速道路で車が故障して動かない。

※エンジン停止など、システム全体の機能不全を示唆。

“be broken down” は「(システムとして)完全に機能停止している状態」を指す場合に、よりしっくりくる表現として使われる傾向がみられる。

4. 「定着」の度合い
口語での定着: 日常会話では、特に車や家電の故障について

  • My washing machine is broken down.

のように言うことは全く不自然ではなく、広く理解され、使われている。

フォーマルな文脈: ビジネス文書や技術報告書などのフォーマルな書き言葉では、まだ “is broken” や “has malfunctioned”、あるいは能動態で “has broken down” を使う方が一般的。
“is broken down” はやや冗長、または口語的と見なされる可能性があることに注意。

“be passed out” との比較: “be passed out” の場合、「気を失っている」から「寝落ち」状態までの幅広い意味を適切・的確に表す簡潔な形容詞が他にないため、この “be passed out” の形が、その状態を表す形容詞として確固たる地位を築いている。一方で、 “be broken down” には “be broken” という汎用性が高く、簡潔な代替表現があるため、 “be passed out” ほどの地位には至っていないと言える。

5. まとめ
ご指摘の通り、“be broken down” は機械などが完全に機能停止している状態を表す口語表現として、かなり定着してきている。
より簡潔な “is broken” よりも、「システム全体の機能不全」というニュアンスを強調したい場合に選ばれます。
日常会話では自然な表現だが、フォーマルな文章ではより伝統的な表現が好まれる傾向があることに注意。

いつもながら「興味深いことば」の使い方というか、興味深い「ことばの使い方」というか、自分のものにするのは大変ですね。

本日はこの辺で。
本日のBGM: 大人になったら (Glim Spanky)

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