谷川俊太郎氏が亡くなってから早一年。
このブログでの昨年の追悼記事はこちら。
the distance travelled by light in one year
tmrowing.hatenablog.com
タイトルは「(1)光年」の定義。谷川氏の処女詩集 『二十億光年の孤独』へのオマージュ。
お亡くなりになったのは13日。私が訃報を知ったのは19日の朝でした。
私の追悼記事の前日にnoteにアップされたこんな記事があります。
著者は天文学者。
- 銀河の誕生と進化、そして超大質量ブラックホールの誕生と進化。宇宙史の中でこれらの出来事がどのように起こったのか調べています。
とのこと。
天文学者のひとり言(3) 谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』 なぜ二十億光年なのか?
note.com
単純に、キロ換算して済ませようとしていた己の不明を恥じます。
あらためて合掌。
谷川氏は日本ではチャールズ・M・シュルツ氏の描く『ピーナッツ』のシリーズの訳者としても知られています。
左の原著は1979年の再販。初版は1965年。右は2023年の復刊の新刊。
こちらは1971年当時の連載をまとめた1981年角川版からの2024年のデジタル版での復刊
こういった一連の谷川訳が、後々の『ピーナッツ』関連の書籍に役立っているのだと思います。
こちらの訳書でも、谷川氏への謝辞がありました。
『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』 (古屋美登里 訳、亜紀書房、2019年)
原著は
- David Michaelis (2007). Schulz and Peanuts, A Biography, Harper Perennial
気になるのは、本の綴じ方・開き方。この訳書は、右綴じ・左開きということ。縦書きなんですね。
英語は文も漫画のコマ割りも左から右へと動きますから、この訳書のスタイルでは視線、思考の流れが…。
上述の谷川氏の訳書は左綴じ・右開き。当然横書きでした。
さて、
先日、ツイッターで「何かを見て」、こんな投稿をしていました。
「継続的で丁寧な辞書指導をしている教師にあたったことがない/見たことがない」のは不幸だとは思うんですが、有益な情報を提供し、定期的にオンラインでもセミナーを開いて実演までしているので、活用してくださいね。
「継続的で丁寧な辞書指導をしている教師にあたったことがない/見たことがない」のは不幸だとは思うんですが、有益な情報を提供し、定期的にオンラインでもセミナーを開いて実演までしているので、活用してくださいね。 https://t.co/JWfnxQWQIa
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年11月12日
このブログの記事で「辞書」に関わる記述を検索して読んでもらえば、
- どんな辞書で、何をどのように引くのか?
- 何をどのように引き比べ、読み比べるのか?
ということも少しは分かると思いますよ。
ツイッター(現X)では、「英語ニュース引用RT140字紹介&詳解」をここ5〜6年続けていますが、そこでも頻繁に辞書を引く際の目の付け所を示していますし、どう引き比べをしているのも分かると思います。
私のtwilogの過去ツイはオープンになっていますのでまずは一読を。
「英語ニュース引用RT」といえば、この記事は解説をしていませんでしたね。
Massimo Scali: But when they said they wanted to return to competitive skating, it was crazy. Naturally, I didn’t hesitate for a second and immediately said I was thrilled with the idea. For me, the crazier the plan looks, the better.
⛸ FS GossipsMassimo Scali: But when they said they wanted to return to competitive skating, it was crazy. Naturally, I didn’t hesitate for a second and immediately said I was thrilled with the idea. For me, the crazier the plan looks, the better.
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年11月8日
⛸ FS Gossips https://t.co/cKD4SMASWh
これはもう、「the +比較級, the +比較級」の実例を紹介しようと思ってbookmarkして引用RTしていたものです。
先行文脈の “it was crazy” を受けて、
- For me, the crazier the plan looks, the better.
と決め台詞を吐いているところ。
DeepLだと
- 私にとっては、計画が荒唐無稽に見えるほど、かえって良いのだ。
という和訳に。
Kagi訳だと
- 私にとっては、計画がぶっ飛んで見えるほど、むしろワクワクします。
という処理。悟空か!
最後の一文だけでなく、先行文脈も含めてGeminiに頼んだら、最終文も、「クレイジー」というカタカナ語を使わない次の2つの訳例を示してくれました。
パターン1:挑戦を歓迎する力強い一言
「無謀なくらいが、ちょうどいいんです」
(解説:「クレイジーなくらい無謀な方が、かえって自分にとっては好ましい」というニュアンス。「ちょうどいい」という言葉が、達観したプロフェッショナル感を醸し出します。)
パターン2:情熱が伝わる一言
「突拍子もない計画ほど、燃えるんですよね」
(解説:「better」を「自分の創作意欲や情熱が掻き立てられる」と解釈した訳です。「燃える」という言葉が、コーチとしての熱い魂を感じさせます。)
辞書もAIも主体的に使わないとダメですよね。
本日の「気になる語法」は、次の『エコノミスト』の記事に含まれている
- as and when
です。
As and when China moves away from cleaner coal to less coal, further warming can be expected. But this is not an argument for keeping the fossil fuel
As and when China moves away from cleaner coal to less coal, further warming can be expected. But this is not an argument for keeping the fossil fuel https://t.co/o1XrHLmLx3
— The Economist (@TheEconomist) 2025年11月12日
ツイッターに付随のGrokでの訳は、
中国がよりクリーンな石炭から石炭の使用を減らす方向に進むにつれて、さらなる温暖化が予想されます。しかし、これは化石燃料を維持するための議論ではありません
DeepL訳
中国がクリーンな石炭から石炭そのものの削減へと移行するにつれ、さらなる温暖化が予想される。しかしこれは化石燃料を維持すべきという主張ではない。
Kagi訳
中国が「よりクリーンな石炭」から「石炭の使用量自体を減らす」方向に移行するにつれて、さらなる温暖化が予想されます。とはいえ、これは化石燃料を使い続けるべきだという主張にはなりません。
この “as and when” に馴染みの無い人は多いかも知れませんが、学習用辞書でも成句扱いされています。
Wisdom英和は訳語だけで用例は検索できず。
às and whén (...)
(1)[節を伴って](いつもではなく必要になって)…するときだけ(!不確定な未来に言及).
(2)[副詞的に]できるだけ早く.
O-LEX英和も同様の扱い。
às and whén
(不確定な未来を表して)…するとき;いつか,できるだけ早く
Random House英和も同じ。
as and when
(1) ⦅不確かな未来の事柄を指して⦆ …するとき.
(2) ⦅話⦆ いずれそのうち,いつかは.
ただし、こちらの項目には用例と注記があります。
if and when/when and if
⦅話⦆ もし…するときは(◆主に商業英語で用いる)
- If and when he arrives I'll pay.彼が着いたら約束のお金を払います.
クラウン英語イディオムは用例も載せています。
as and when
…するように; …する時〘官庁用語的で, asまたはwhenだけで十分〙
- You may eat as and when you like. 君は好きな時に食べてよい
- The committee deals with applications for relief as and when they arise. その委員会は救援申請に応じて処理する.
ただ、この用例は典型例なのか「?」という感じもします。同じ辞書の次の項目では、(米)の対応表現が示されています。
as and when/⦅米⦆if and when
(通常ではなく)もし…するときは
- We can just pick up some food as and when we need it. 必要なときにはちょっと買って食べればよい.
他方、英英辞典ではどのような扱いかというと、OALD(英英和)では、
ˌas and ˈwhen
〜するときは
used to say that something may happen at some time in the future, but only when something else has happened
- We'll decide on the team as and when we qualify. ふさわしい時が来ればチームを決めます.
- I'll tell you more as and when (= as soon as I can). 分かり次第もっと詳しく話します.
と定義は明快ですが、用例は今一つな印象。
同じOxford系でも、アカデミックでは、
ˌas and ˈwhen used to say that sth may happen at some time in the future, but only when sth else has happened
- Outsourcing permits organizations the opportunity to use specialist services and experts as and when required.
と、より「かたい」用例を示しています。
Cambridgeでは
as and when
idiom UK (US if and when)
at the time that something happens:
- We don't own a car - we just rent one as and when we need it.
という扱い。
ここまでの記述だと「米語では使われないのか?」という印象を受けますが、NOADでは項目があります。
as and when
at the time when (used to refer to an uncertain future event): they deal with an issue as and when it rears its head.
米でも使われないことはないという実例。
Approve the following personnel as listed as the 21st Century Program Paraprofessionals pending certification and background check. Rate of pay to be $17.00 per hour as and when needed during the 2025-2026 school year.
Board of Education Meeting
Zanesville City Schools
www.zanesville.k12.oh.us
下記の人員を、資格認定及び身元調査完了までの暫定措置として、21世紀プログラム補助職員として承認する。2025-2026学年度において必要に応じて、時給17.00ドルで雇用する。
一瞬「時給17ドルって」と思いましたけど、円安の今となっては…。
CCS is now offering FREE unlimited 24/7 academic support for our students through a company called Paper. This new service offers our students in 6th-12th grade access to immediate 1:1 tutoring help for all subjects, as and when they need it.
www.ccsoh.us
CCSでは、Paperという企業を通じて生徒向けに24時間365日無料の無制限学業サポートを提供開始しました。この新サービスにより、6年生から12年生の生徒は、必要な時にいつでも全教科の即時1対1個別指導を受けられます。
ただ、実際に見聞きするものの多くは「英文化圏」のメディアという感じがします。
At Waltham Forest College, Style recommended its popular Multiroll system to divide the teaching hall into two separate rooms as and when required.
At Waltham Forest College, Style recommended its popular Multiroll system to divide the teaching hall into two separate rooms as and when required.https://t.co/7EcHdMsEkT#flexibleworkspace #flexiblespace #moveablewall#partition #architect #interiordesign #architecture pic.twitter.com/1DPceEXQAg
— Style Partitions (@StylePartitions) 2025年8月18日
ウォルサム・フォレスト・カレッジでは、Styleがその人気のMultirollシステムを推奨し、必要に応じて講堂を2つの独立した部屋に分割しました。
次の例はインド。
The Vice-Chancellor encouraged the faculty members to come up with proposals aimed at the development of the university and not hesitate in escalating the issues as and when needed.
Read more here:
https://news.bhu.ac.in/news/vice-chancellor-prof-ajit-kumar-chaturvedi-visits-south-campus-of-bhu-at-barkachha-interacts-with-fa/p99gerd8ym7f4f675lcz589oThe Vice-Chancellor encouraged the faculty members to come up with proposals aimed at the development of the university and not hesitate in escalating the issues as and when needed.
— BHU Official (@bhupro) 2025年9月24日
Read more here: https://t.co/wUHuHneHkp #BHU pic.twitter.com/la2tudeLuH
副学長は教職員に対し、大学の発展に向けた提案を積極的に行い、必要に応じて問題点を躊躇なく上層部に報告するよう促した。
ツイッターでは「求人」の投稿でよく見ます。
We're hiring
Casual Lifeguard
£13.0541 per hour
Hours as and when required
For more information and to apply:
Jobs – North Warwickshire Borough CouncilWe're hiring 🏊🏻♀️
— North Warwickshire BC (@North_Warks_BC) 2025年9月22日
Casual Lifeguard
£13.0541 per hour
Hours as and when required
For more information and to apply: https://t.co/ZTiqNLkc7W pic.twitter.com/138Xgm9tna
採用中
カジュアル・ライフガード
時給 £13.0541
必要に応じた勤務時間
詳細・応募はこちら: https://northwarks.gov.uk/jobs
NCSC Customer Contact Advisors - home-based role (must be prepared to travel to our Newcastle office, as and when necessary) with Care Quality Commission
#WYRemoteHybrid
Click:
https://ow.ly/aSv450WXWXy
NCSC Customer Contact Advisors - home-based role (must be prepared to travel to our Newcastle office, as and when necessary) with Care Quality Commission#WYRemoteHybrid
— JCP in West Yorks (@JCPinWestYorks) 2025年9月22日
Click: https://t.co/TbhzKfptoM pic.twitter.com/vn3lsLdeGR
NCSCカスタマーコンタクトアドバイザー
- 在宅勤務の職種(必要に応じてニューカッスルのオフィスへ出張できる方)
Care Quality Commission (ケアの質委員会) の基準を満たしている
大学入試問題の読解素材文でも時折見かけます。(訳文は自動翻訳)
We are still learning how to be on the Internet, what effect this huge network of computers ― a network we have built ourselves ― has on our sense of self. We are at the moment “tools of our tools.” Disconnecting gives us a chance to turn the tables ― to see the Internet not as something that overwhelms us but as a tool, which we use as and when we need it. Only then can we really understand who we are and what we can give the world. And that, deep down, is the real root of our identity.
www.bbc.com
私たちはいまだに、インターネット上でどう在るべきか、この巨大なコンピュータ・ネットワーク――しかも私たち自身が作り上げたネットワーク――が自己認識にどんな影響を与えているのかを学んでいる途中です。今のところ、私たちは「道具の道具」になっています。つながるのをやめることで、形勢を逆転させる機会が得られます――インターネットを、私たちを圧倒するものとしてではなく、必要なときに必要に応じて使う「道具」として捉え直すのです。そうして初めて、私たちは自分が何者で、世界に何を差し出せるのかを本当に理解できます。そしてそれこそが、突き詰めれば、私たちのアイデンティティの真の根っこなのです。
次も入試素材文ですが、出典は分からず。
Face-to-face teams have long been a feature of workplace organization. Today, as organizations have become more fluid and flexible they are often constructed around team-based projects. These have the virtue of bringing together necessary expertise, as and when necessary. A well-run team capitalizes on the skills and strengths of its different members to achieve a synergistic effect, a resourceful meeting of minds.
対面式のチームは、職場組織の長年の特徴であった。今日、組織がより流動的かつ柔軟になるにつれ、チームベースのプロジェクトを中心に構築されることが多くなっている。これらは必要な専門知識を必要な時に集結させる利点を持つ。うまく運営されるチームは、異なるメンバーのスキルと強みを活かして相乗効果、すなわち知恵を結集した創造的な成果を生み出す。
「頻出」とまでは言えませんが、見かけることは見かける、といったところでしょうか。
最後にオンラインコーパスなどで概況を見ておきましょう。
米ではまだまだ少ない印象。いきおい、日本の英語教材では殆ど見かけない、ということになりやすいです。
COCAでベンチマーク
COHAで通時的に均してしまうと本当に少ない。
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では、地域差、文化差は?
GLOWBEは2012-2013のデータ。北米ではゼロ。英に多いことがわかりますが、印はそれよりも多い。
GLOWBEからコンコーダンスラインで。
NOWでざっくりと。この検索だと、2022年以降のデータが不明。なぜ?
ところが、NOWでas and when に続くものを見繕って入れると、2025年までのヒットが示されるだけでなく、ヒット数も格段に増える。どういう理屈だろう?
NOWは均衡コーパスではないので、同じニュースが複数の媒体で流れてもヒット数が増えることになりますから、注意が必要です。
as and when appropriate が溢れた例
とはいえ、英語ニュースでは結構見聞きする表現なんですよ。
BNCの2014年版までを反映した検索で、英用法をざっくりと。
コーパスの新旧比較。100万語当たりの生起指標を確認。
ジャンル比較
コンコーダンスラインから若干紹介。
ここまで見てきてどんな感想でしょうか?
文化差、地域差のある表現ですから、択一式のようなテストで知識や理解を問うには向かないものでしょう。
そして、日本の学習者には「テストに出ないものは覚えない」という学習方略をとる人が少なからずいますので、この表現に馴染みの無いままの人が多いのかなぁ…と漠然とした不安を抱え長等、今回、この表現を取り上げました。
テスト依存の学習から早く脱却して、本当に自らの必要に応じて英語と取組んで、英語力を伸ばしてほしいと願うばかりです。
本日はこの辺で。
本日のBGM: ミスフィッツ (ドレスコーズ)













