ツイッターでの相互フォローをしている方々には英語の達人、英語指導のエキスパートが数多いるのですが、その方々のツイートから学ぶこと、気づくことが日々数多くあります。
そんな中から英単語をひとつ紹介。
- fathom
です。
英語猛者にはお馴染でしょうが、平均的な英語力の高校生には「お手上げ」かと思います。
「難単語」に含まれるでしょうか?
私が最初に気がついたツイートがこちら。倉林秀男先生です。
fathomは『老人と海』を読んでいるとある場面に集中して出てくる単語。そこでは名詞として「ひろ」の意味で使われてます。なので私はこの単語を見ると、『老人と海』やマークトゥエインという筆名という全く違う方向にイメージが広がっていってしまいます。 https://t.co/ohqa3ObSav
— KRBYS; (@Kurab_H) 2025年10月1日
その元ツイがこちら。「たっく先生」こと、石原健志先生。
ネタで言ってるだけだと思いますので、アレなのですが、京大や阪大などの難関国立ではLEAPは力不足なので注意が必要ですな。fathomは動詞も名詞も入試英文では割と出てきます。LEAPから切り替えて単語帳を選ぶときはfathomの載っている単語帳を選ぶのも一つの手だと思います…といいつつ、鉄壁などには… https://t.co/NDqELahg7j pic.twitter.com/VIKbj75Chu
— an たっく (@Takeshi_jpn) 2025年9月29日
「単語集」の過信・盲信は禁物ですね。
fathomの語義・由来に関しては、倉林先生のこちらのツイートに。
もともとはOEのfæðm「伸ばした腕の長さ」からはじまり、腕を伸ばしたところから動詞fæðmian 「抱きしめる、囲む、包み込む」が派生して、水深を測る→推測するというところになったという単語。
— KRBYS; (@Kurab_H) 2025年10月1日
「お手上げ」でも同じ
- 「手を上げる」
動作ですが、 “fathom” では、「頭の上、天井、空に向かって」ではなく、「水平方向」に上げて拡げるわけですね。「単位は文化である」をまさに体現するものです。
その後の私のツイートがこちら。
動詞の「測定する」の派生形容詞に遭遇。
ほぼほぼ否定の方しか見ませんけど。
No such concern existed with Yamamoto, even in circumstances unfathomable to other pitchers. He is unbothered. He made himself for this moment.
山本投手が別格であることを讃える記事。動詞の「測定する」の派生形容詞に遭遇。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年11月3日
ほぼほぼ否定の方しか見ませんけど。https://t.co/QmkgganLgE
No such concern existed with Yamamoto, even in circumstances unfathomable to other pitchers. He is unbothered. He made himself for this moment.
山本投手が別格であることを讃える記事。
英文の意味は次のようなものになるでしょうか。
山本投手には、他の投手には想像すら及ばないような状況でも、その種の不安はまったくなかった。彼は動じない。まさにこの瞬間のために自らを仕上げてきたのだから。
元記事そのものは、MLBのワールドシリーズで活躍した山本由伸投手がオリックス時代からトレーナーを務める矢田修さんの教え、仕事ぶりに焦点が当てられているものですので、是非一読を。
Inside the night Dodgers became back-to-back World Series champs
espn.com
ここで私が取り上げた派生形容詞が
- unfathomable
辞書の扱いでは、肯定のfathomableは追い込みで否定のunfathomableは見出し語。
米語の使用状況を見ても頷ける扱い。
Collinsの類語の扱いでdeep/profoundなどは慎重に見る必要があるでしょう。tooをつけた方がいい気がします。
Wisdom
RHと大英和
![]()
OALD英英和とCollins
ODE(英)と MW’s の一般用
COCAでの使用頻度比較。圧倒的にun-の方が高頻度ですね。
語彙の習得や発達段階を考えると悩ましいところ。
動詞としてのfathomには対応する (X) unfathom という語は存在しないので、
- fathom → fathomable
という派生を経て
- fathomable ⇔ unfathomable
という対義語の関係性を掴むことが求められるわけですが、実際に、fathomableに遭遇する機会よりも先に、unfathomableという語との遭遇や習熟が求められるという。
Ngram Viewerで形容詞 unfathomableに続く環境を概観。
unfathobleの前に来る環境。
以下COCA系での検索結果。
NOWでunfathomableと結びつく名詞の例
今回の記事で使われた “circumstances” の類語との結びつき。
まだまだ一般的ではない数値ですが、2020年以降で少し増えている印象。
COCAは2019年までのデータですが、殆どヒットせず。
NOWで後置修飾。最新のデータですが、後置修飾になるとNOWでも殆どヒットせず。
COCAで後置修飾。2019年までのデーターですが、後置修飾は殆ど見られません。
この後置修飾のパターンでの “unfathomable” は、今のところは、まだまだ
「あっ!雨降ってきた?」
「えっ?全然。気のせいじゃないの?」
というような状況にあると見ればいいでしょうか。
そんなことを考えていたら、山本投手ネタで直ぐにこの語に出会いました。
unfathomable
またしても山本由伸投手の話題で登場!unfathomable
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年11月3日
またしても山本由伸投手の話題で登場! https://t.co/msU3tLmy7m
元ツイの英語はこちら。
He is reaching unfathomable aura levels.
He is reaching unfathomable aura levels. https://t.co/3oe0F5YzCh pic.twitter.com/CZgghxk2rz
— Chad Moriyama (@ChadMoriyama) 2025年11月3日
彼は計り知れないオーラの域に達しつつあります。
今後とも観測を続けたいと思います。
"fathom" のように見るからに難単語、とは思えないのに使いこなせていない人が多いなぁ、と私が感じる語に
- privilege
があります。
こんなツイートをしていました。
頑張ってiOSもアップデートせずに、Split Viewの機能を堪能させてもらっています。
privilege
ってとかく「特権」という、おそらく最初に覚えたであろう訳語が邪魔をしがちな印象。
私は「眼福」の文脈で使ったりもします。
あ、2枚目のヴィカ様の写真とかですね。
アプリも頑なにtwitterのままです。頑張ってiOSもアップデートせずに、Split Viewの機能を堪能させてもらっています。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年11月4日
privilege
ってとかく「特権」という、おそらく最初に覚えたであろう訳語が邪魔をしがちな印象。
私は「眼福」の文脈で使ったりもします。
あ、2枚目のヴィカ様の写真とかですね。
アプリも頑なにtwitterのままです。 pic.twitter.com/uCBWIFFOoo
1枚目は辞書の引用で privilege。
Oxfordの類語辞典で、左が小学館版、右が本家です。
2枚目は私のMBPのデスクトップ画面。
ヴィクトリア・シニツィナ (Victoria SINITSINA) 様。
元ロシア代表のアイスダンスの選手です。ジュニア&シニアの世界チャンピオンでもありました。
多くの受験用の単語集では、privilegeが載っていても、ほぼほぼ「特権」の意味しか取り上げていません。
もう一つの語義が載っていたとしても、それにも「名誉;栄誉」という訳語がつけられていて、日常のどんな場面で使われるかの実感とはあまり結びつかない嫌いがあります。
ツイッターを雑に検索しただけでも、次のような例を拾うことができます。
Ohtani is already a first ballot baseball hall of famer. What a privilege to watch him play our national pastime.
Ohtani is already a first ballot baseball hall of famer. What a privilege to watch him play our national pastime. https://t.co/KKzDHQue7N
— BP 🍎 (@BP4Politics) 2025年10月18日
Prayers up to Alex Vesia and his family. It's been a privilege to get to know Alex a little through the years. He's a top tier human. Couldn't be friendlier and more thoughtful on camera and off. He absolutely loves and embraces everything about being a Dodger.
Prayers up to Alex Vesia and his family. It's been a privilege to get to know Alex a little through the years. He's a top tier human. Couldn't be friendlier and more thoughtful on camera and off. He absolutely loves and embraces everything about being a Dodger. https://t.co/12kQG3yzvl
— Doug McKain (@DMAC_LA) 2025年10月23日
“I’m happy that I had the privilege to play against him briefly, but to watch him has been a true honor.”
From one legend to another, @derekjeter has the utmost respect for Clayton Kershaw“I’m happy that I had the privilege to play against him briefly, but to watch him has been a true honor.” 🤝
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) 2025年10月28日
From one legend to another, @derekjeter has the utmost respect for Clayton Kershaw pic.twitter.com/JI3PNBQeE6
これらの例も、自動翻訳にかけると、とかく「特権」で訳されがちなので、「特権」という訳語は忘れて、語義の実感をお願いします。
上述の私自身のツイートで「眼福」の文脈でも使う、と書きましたが、そちらを最後に示しておきましょう。次のような日本語に対応するものです。
- こんなに舞台に近い席で、彼女の美しい踊りを見ることができて眼福でした。
この「眼福」の語義・定義も国語辞典で確認しておきましょうか。
『日国』から
がん‐ぷく【眼福】
〘名〙 貴重なものや珍しいもの、美しいものなどを見ることのできた幸福。また、そういう幸福に会うこと。目の保養。
「斯様かういふ奇品に面した眼福ガンプクを喜び謝したりして帰った」骨董(1926)〈幸田露伴〉
『明鏡』から
がん–ぷく【眼福】
[名]素晴らしいもの、珍しいものなどを見ることのできた幸せ。
「眼福を得る」
『三国』
がん ぷく[眼福]⦅名⦆
〔文〕すぐれた物を見るたのしみ。
「━を得る」
このように語義を踏まえた英訳例としては、
Watching her beautiful dance from a seat so close to the stage was a real privilege.
What a privilege it was to be seated so near the stage and witness her beautiful dancing!
It was such a privilege to watch her beautiful dancing up close - what a feast for the eyes!"
あたりが考えられるでしょうか。「喜び」「幸福感」「有り難み」を感じられると良いのですが。
本日はこの辺で。
本日のBGM: 眼福 (米津玄師)
2025年11月7日追記:
後半の unfathomableの話しで、無理やり山本投手を取り上げたと思っている方がいるかもしれませんが、あのジャベリック・スローのトレーニングの姿勢を思い起こして下さいね。
まさに
fathom = ひろ
の確認作業の繰り返しではないですか!
静止画はこちらの動画より切り出し。
www.youtube.com
privilegeの例も追加しておきます。
名詞のjoyとペアになっている部分を確認。














