以下の内容はhttps://tmrowing.hatenablog.com/entry/2025/07/04/223826より取得しました。


some notes to share

最近公開したnoteの記事がこちらになります。

後置修飾に習熟する夏 2025: 前置詞+関係代名詞と関係副詞
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期間限定の大盤振る舞いで、これまでに出していなかった内容を蔵出しです。
例によって練習問題は一切ありませんが、A4で約11ページ。精選用例が40ほど。
読んだ分だけ名詞句の限定表現の理解が深まり、英語のセンス、実感が増す教材です。
関係副詞に悩んでいる高校生もワンコインですので是非。
指導者の方は教え子に還元してあげて下さい。


以前から公開していたものを改訂した記事もあります。

自信を持って「知覚動詞」「使役動詞」を使いこなす:生息域の実感を!(2025年6月改訂版)
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SVOCなどというラベルが一番貼られがちな、いわゆる「知覚動詞」「使役動詞」を取り上げて解説しようと思い立って記事にしたのが2年前。
今回の更なる改訂作業で、特に「知覚動詞」界隈が充実し、用例は80を越えました。
さらに「使役」とは実感しにくい、<have + 目的語 + -ing形>の今時の用法にも目配りをし、最新の生成系AIも援用して、用例と解説も更に追加しました。最新の辞書でも扱いが不十分な用法ですので、ご活用ください。
この約80の精選例文と解説を読み合わせれば、「英語のセンス」が養われ、磨かれ、自信を持って使いこなすことができるだろうと思っています。

この「知覚動詞・使役動詞」の記事は、畏友arishima先生がnoteで紹介してくれたことが追い風になったのでしょうか、6月以降、私の記事では異例とも思えるほど多くの方にお買い求めいただいております。

こちらがそのarishima先生の記事です。ありがたいことです。

  • #328b【英語史クイズ】 不定詞が、動詞の前に "to" をつけるようになった経緯とは?(解答編)

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私のnoteの記事では、知覚動詞でも、使役動詞でも、受け身の文で使われる例は取り上げていませんでした。「問題集」でありがちな無益な書き換え問題や瑣末な分類に入っていくのは本意ではないので、今回の記事では入れていないのです。
「ありがち」な用例の提示はこんな感じですね。

make A doの受け身形はbe made to doとtoがつくことに注意:
They made me wait for about an hour.
→ I was made to wait for about an hour.
彼らは私を1時間ほど待たせた (『エースクラウン英和』三省堂)

能動態の文での主語Theyが何を指すのかが不明なまま、受け身の文に置き換えるのは考えもの。「買い物のお店」、「飲食店」、「劇場」、「公共交通機関や駅」、「役所」、「病院」など、本来は迅速に、または時間通りにサービスを提供する側を主語として立てる際に多く使われると思われますが、これを受け身にしたとしても、動作主としてby themと言うことは稀で、

病院で2時間待たされた
The hospital made me wait for two hours.;
I had to wait for two hours at the hospital.;
I was kept waiting at the hospital for two hours. (以上 『ジーニアス和英』)

というような表現をすることが多いでしょう。

私の実践・指導の根幹である「助動詞の番付表」で言えば、受け身は「小結の助動詞be」が主役となる力士で、付き人は -ed/en形となる、というのが原理原則です。

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歴史的にいろいろと流れ流れてスペシャルな動詞としてのパワーを維持してきたのが「使役動詞」なわけですが、その使役動詞もそのスペシャルなパワーを発揮できるのは能動態のときだけになっています。受け身になると、その前の小結が主役となり、そのせいで-ed/en系になった「元使役動詞」はその特別なパワーを失い、普通の動詞と同じ役割に「降格する」とでも考えてみてはどうでしょう?

以下、一般動詞の受け身の用法で、to原形が続くもの。
a. I was told to wait for an hour. 一時間待つように指示された;命令された
b. I was asked to wait for an hour. 一時間待つよう頼まされた;要請された 
c. I was forced to wait for an hour. 一時間待つのを無理強いされた;強制された

受け身を使わずに似たような内容を言うとすれば、

d. I had to wait for an hour. 一時間待たなければならなかった

と、助動詞的な “have to 原形” の過去形で “had to 原形” を使うこともあるでしょう。使役動詞のmake を受け身に書き換えられることが重要なのではなく、このa-dなどの表現と見比べて、最適なものが選べることが重要になるでしょう。

教材での用例の提示も、それ自体で自然なものをお願いしたいと思っています。

待たされている間テレビでトーク番組を見ていた
While I was made to wait, I was watching a talk show on TV. (Wisdom和英)

I was supposed to meet him at five, but was made to wait an hour.
5 時に彼に会う予定だったが 1 時間待たされた (G6)

その大学病院では何時間も待たされて診察はたった 3 分だった.
At the university hospital I was made to wait for hours, and the consultation was over in three minutes. (研究社和英大)


「知覚動詞」の受け身の扱いにも注意が必要です。

ここでも「ありがち」な用例の提示の仕方が気になっています。
能動態の目的格補語が原形の例に対応する受け身の文では原形ではなく、to 原形になる、という教材や辞書の説明が多いことに注意が必要でしょう。

知覚動詞らしさを発揮し、原形を続けることができるのは「能動態」のときのみ、というのは使役動詞のときと同じなのですが、次のような説明は詰めが甘く、考えものです。

I saw Bob enter the building. [V+O+C (原形)]
ボブがその建物に入るのが見えた.
語法
⑴ 上の文を受身の文にすると原形の代わりに次のように to 不定詞を用いる
Bob was seen to enter the building. ⦅改まった言い方⦆.
⑵ C として現在分詞を用いると, まさにその動作をしている瞬間をとらえたニュアンスとなる. 一方, 原形にはそのようなニュアンスはない
I saw Bob entering the building.
ボブがその建物に入っていくところが見えた. (『コンパスローズ英和』 研究社)

このように対比するのであれば、最後の例の受け身まで示すべきでしょう。
実際の英語では、 -ing形が圧倒的に多いのです。

2025/07/05追記:
Ngram Viewerで1960年からの概況

より古く 1800年からの通時的概観

以下、『Wisdom英和』(三省堂)の解説を見てみましょう。

Two men were seen leaving [to leave] the scene of the crime.
2人の男が事件現場から立ち去っていく[立ち去る]のが目撃された
(see A doの受け身形A is seen to doは通例「Aが…する[した]ようだ」といった間接的な事態の報告の意味になり, 能動態の文とはseeの意味が異なる)

このWisdomの注記ももう少し生息域を踏まえたものに改善して欲しいとは思いますが、このような注記をつけていることをまずは評価したいと思います。

報告=目撃談でも -ing形が自然。

A bicycle was missing and Ted was seen riding it.
自転車が1台紛失しテッドはそれに乗っているところを見られた (O-LEX)

We've had a report that the suspect was seen entering this building.
容疑者がこのビルに入るところを目撃されたという報告を受けた (◆不定冠詞の a は報告の内容が聞き手の知らない新情報であることを表す) (G6)

被害者は路上で友人たちと激しくやり合っているところを目撃されている
The victim was seen quarreling with his friends on the street. (G和英)

She was last seen going to work.
仕事に出かけるところを見られたのが最後だった (研究社英和大)

「目撃談」で用いられる場合でも、to原形の頻度はそれほど高くありません。

2025/07/05追記:
だからといって、次のような問題を課して、英語力を診ようというのは、重箱の隅をつつくどころか、「電球を割って光源を確かめる」ようなものだと思います。勘弁して欲しいです。

昨晩、アンディは、そのレストランから運び出されるところを見られた。

  • ア Andy was seen to carry out of the restaurant last night.
  • イ Andy was seen carrying out of the restaurant last night.
  • ウ Andy was seen being carried out of the restaurant last night.
  • エ Andy was seen to have carried out of the restaurant last night.

目撃談なら、少なくとも「アンディは昨夜、そのレストランから運び出されるところを目撃されています」というような日本語を示せば間違える人も少なくなるでしょうに。

Wisdomの注記にあった「間接的な事態の報告」以外の <be + seen + to 原形>の生息域で注意が必要なのは「評価・解釈」です。
「見做し動詞」としてのseeや、ことがらを目的語にとり、「わかる」という意味になるseeの受け身ですね。


コーパスから実例を引きましょう。

In the late 1960s, heroin use was seen to be a major problem in New York City, and the New York City Narcotics Register was developed to better inform city government about the number of narcotic addicts that came in contact with treatment programs, law enforcement, emergency rooms and other medical care facilities, and the medical examiner.
journals.sagepub.com
1960年代後半、ニューヨーク市ではヘロイン使用が重大な問題と見なされていました。市当局が治療プログラム、法執行機関、救急室やその他の医療施設、および検視官と接触した麻薬中毒者の数をより正確に把握できるようにするため、ニューヨーク市麻薬登録制度が開発されました。

Indeed, most ICT higher education programs endeavor to prepare graduates for a designated set of career roles. To that end, this study has shown that a significant contribution of SFIA in curriculum design and management is that the framework facilitates interaction and dialog between industry professionals and academics. This was seen to be particularly true with respect to differentiating between levels of responsibility and accountability for the SFIA skills that characterize a given career role.
www.researchgate.net
実際、ほとんどのICT高等教育プログラムは、卒業生を特定のキャリアロールに備えるよう努めています。この目的において、本研究が示したのは、SFIAがカリキュラム設計と管理において重要な貢献をしている点です。このフレームワークは、産業界の専門家と学術関係者との間の対話と相互作用を促進します。これは特に、特定のキャリアロールを特徴づけるSFIAスキルにおける責任と説明義務のレベルを区別する際に顕著でした。

この例は辞書にも入っているので、既に出会っているかもしれません。

Their son's arrest was seen to be a humiliation for the whole family.
息子が逮捕されたことは家族全員にとって恥だと考えられた (O-LEX英和)

2025/07/05追記:
大学入試の読解素材文にも出てきます。

As early as the 18th century, English was seen to be on course to become a world language.
18世紀にはすでに、英語は世界言語となる道を歩んでいると見なされていた。

However, a stronger theme to emerge was the disillusion many people felt about the view of history that museums present. This was seen to be constructed from a white perspective that made little acknowledgment of the achievements of people or communities from ethnic minority populations.
しかし、より強く浮かび上がったテーマは、博物館が提示する歴史観に対する多くの人々の幻滅であった。これは白人視点に基づいて構築されており、少数民族の人々やコミュニティの功績がほとんど認められていないと見なされていた。


「目撃談以外の実例」があり、しかもより高頻度である、ということは、少なくとも指導する側は知っておいて損はないと思いますね。

この延長線上に、次の成句を位置づけられると思います。

  • S + be (とその仲間) seen to be -ing形

「人が尽力していることを知ってもらう;分かってもらう」ですね。

辞書から実例を。

The government must not only act impartially, but they must be seen to be acting impartially.
政府が公平な行動をとるのはもちろんのことだが, 公平な行動をとっているのだということを知ってもらう必要がある. (W)

It is important that we are seen to be doing something about passive smoking.
受動喫煙に関して私たちが対策を取っているということを知ってもらうことが重要だ. (G6)

(figurative) The government not only has to do something, it must be seen to be doing something (= people must be aware that it is doing something).
政府は行動を起こすだけでなく, その行動を人々に見せる必要がある.(OALD英英和)


眼力(メヂカラ)に対する「耳力(ミミヂカラ)」はさらに厄介かも知れませんが、そもそも教材で示されることも稀ではないか、という印象です。

『アルティメット総合英語』(啓林館、第2版、2022年)では、p.195のコラムで、

  • see, hear以外の知覚動詞は普通、<be動詞 + 過去分詞 + to do>の形にならない。

として次の例を示しています。

(2) The man was seen to get out of the car.
  (その男は車から出るところを見られた。)
(3) John was heard to complain about the team.
  (ジョンはチームについて不満を言うのを聞かれた。)

一文のみでの用例提示なので、これだけではなんとも言えませんね。

学習用英和の中では「書き換え」に重点を置いているのが『コンパスローズ』。

They heard him say so. [V+O+C (原形)]
彼らは彼がそう言うのを耳にした.
語法
この文を受身の文にすると次のように原形の代わりに to 不定詞を用いる
He was heard to say so.
We could hear the girl singing in the bathroom. [V+O+C (現分)]
女の子が浴室で歌っているのが聞こえた.
語法
この文を受身にすると次のようになる
The girl could be heard singing in the bathroom.

この “could be heard” の自然な用例と生息域に関しては、回り道ですが、過去ログのこちらを是非。

so as to be heard and understood
tmrowing.hatenablog.com

学習用辞書での

  • <be + heard + to 原形>

に関しての適切な注記は、やはりWisdom英和のものでしょう。

I heard Margaret say, “...” ≒ Margaret was heard to say, “...”
マーガレットが「…」と言うのが聞こえた
(受け身形のtoに注意; 受け身形は(ややまれ)でto不定詞はsay, remark, mutter, complainなどと共に用いられる)

流石は独自コーパスを構築して辞書を作っているだけありますね。

OALDには次の例がありますが、英英和では拾ってもらえませんでした。

He was heard to remark to his wife that the behaviour of some of the guests was appalling.

Kagi訳だと次のような和訳にしていますね。

  • 「彼は妻に、一部の客の振る舞いがひどいとこぼしているのを聞かれた。」

“was heard to sayなど” で近年注意が必要な生息域は、報道、放送や動画での「発言」に言及する例です。これも所謂「間接知覚」に近づいた例と言えるでしょうか?

英国はBBC発。2024年の記事で、まだ米国はバイデン大統領でした。

Later on Wednesday, he was seen moving slowly and cautiously up the steps to Air Force One. He was not wearing a mask. As he boarded the plane, he was heard to say: "Good, I feel good."
www.bbc.com
水曜日の後、彼(=バイデン大統領)はゆっくりと慎重にエアフォースワンへの階段を登る姿が目撃された。彼はマスクを着用していなかった。飛行機に乗り込む際、彼は「いい感じだ、気分がいい」と述べた。

次もインデペンデントなので英国メディア。

As a high-profile Premiership director of rugby was heard to say as recently as a fortnight ago: " My gran could have coached the Saxons. "
www.independent.co.uk
つい先日、2週間前にもある高名なプレミアシップラグビー監督がこう語っていた:「うちの祖母だってサクソンズをコーチできただろうに」

The Times も英国メディア。

She was said to be " absolutely mortified " when she realised she had been in collision with the four-times Olympic gold medal winner. As Wiggins sat on a verge, she was heard to say: " Everybody will hate me. " Wiggins's wife, Catherine, turned up soon after with their two children, Ben and Isabella, and was said to have been " very upset and angry ".
www.thetimes.com
彼女は、4度のオリンピック金メダリストと衝突したことに気づいた時、「絶望的なまでに恥をかいた」と伝えられています。ウィギンスが路肩に座っていた時、彼女は「みんなが私のことを大嫌いになるだろう」と呟いたとされています。 ウィギンスの妻、キャサリンは、その後すぐに二人の子供、ベンとイザベラを連れて現れ、「非常に動揺し、怒っていた」と伝えられています。

アンディ・バーナムは英国の政治家。

Culture and Media Secretary, Andy Burnham, was heard to remark: " We have to start talking more seriously about standards and regulation on the internet... I don't think it is impossible that before you download something there is a symbol or wording which tells you what's in that content.
www.theregister.com
文化・メディア担当大臣のアンディ・バーナム氏は次のように発言したと伝えられています:「私たちはインターネット上の基準と規制について、より真剣に話し合う必要があります...ダウンロードする前に、そのコンテンツに含まれる内容を示す記号や文言が表示されるようにすることは不可能ではないと思います」

英国メディアの例が多い印象です。
COCA系でざっくり検索してみましょう。

NOW

不定詞部分は、圧倒的にsay。Wisdomにあったように、remark, mutter, tellなどの「発話」に関わる動詞が多いことが見て取れます。

GLOWBE

明らかに英国に多く見られますね。

COCA

小説の色が濃いですが、全体的に近年のヒット数は減少傾向。

TV

COCAとは対照的に近年のヒット数が多いのですが、英国に多く見られる印象。

この最後に見た「談話・発言への言及」の be heard to say などの用法は、単純な知覚動詞での直接経験を表す能動態を受動態に書き換えて目的格補語が原形からto原形に変わった、という説明では上手くいかないような例だと思います。
高校のテストや大学入試でこの表現を英作文・ライティングで求められることはないように思いますが、日常で実際に使われている表現であることは確かです。

2025/07/05追記:
大学入試の、所謂「自由英作文」のお題提示部分の英文で使われている例がありました。

Many medical students find the six-year study program both challenging and stressful. One student was heard to say, “My performance throughout the year is really good. But when my exams approach I start feeling so frustrated and under stress.”
多くの医学生にとって、6年間の学習プログラムは挑戦的でストレスの多いものです。ある学生はこう語っていました。「年間を通しての成績は本当に良いのですが、試験が近づくとイライラしてストレスを感じ始めます。」

伝聞=間接知覚の例と言えるでしょうね。

分類主義も行きすぎると、その言葉・表現のダイナミズムが薄まってしまう嫌いがありますが、だからといって過度の単純化で分かったつもりになるのは拙いと思うのです。
一つ一つの言葉・表現をその生息域でしっかり、じっくり観察し、実感を育むのが、遠回りのようですが、確実・着実な道のりでしょう。
では、使役動詞・知覚動詞の受け身が英語表現で不可欠なものとして、その道のりのうちのどの辺りに位置づけられますかね?

本日はこの辺で。

本日のBGM: I was made to love her (Stevie Wonder)

open.spotify.com




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