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Never say never.

前回の「不定詞」と「意味上の主語」と「前置詞 of」と「形容詞」の話しは、殆ど反響がありませんでした。気になっているのは私を含めて少数派なんでしょうかね。

関連する内容は、noteの記事で言うと

「形容詞の型」: 不定詞との共起を中心に
note.com

所謂「準動詞」の地図(その1):不定詞を旅する
note.com

がありますので、英語表現や語法に関心のあるかたは是非。

今日の「私の気になる語法」は不定詞とその意味上の主語で

  • <for + 名詞 + to 原形>

の生息域です。

私が高校入試の準備をしていた頃に読んだ学参(『英語ニューハンドブック』研究社、1960年)では、

その本はあまりむずかしくてぼくには読めない。
a. This book is too difficult for me to read.
b. This book is so difficult that I cannot read it.

のペアで理解を図ろうという目論見でした。
その後、私が高校2年のときに手にした

  • 河上道生 『英語参考書の誤りを正す』(大修館書店、1980年)

では、意味上の主語がある場合には、目的語をいうことがあるという言語事実の指摘を読んでいたので、その後の受験生時代も、大学生時代も、そのように理解していたし、教師になってからも、そのように教えてきました。
因に、この項目は、その後河上氏によって、『英語参考書の誤りとその原因をつく』(大修館書店、1991年)の、pp.365-367)でさらに実例を挙げ考察されています。

21世紀になってからも、『詳説レクシス プラネットボード』(旺文社、2004年)
では、

65 The bag was too heavy for me to lift it. は誤りか?

という項目で、次の2つを比較し、インフォーマント調査の結果を示しています。
訊ね方は、次のそれぞれの文で、(1) / (2)の表現を使うか、というものです。

(a) The bag was too heavy for me to [ (1) lift it/ (2) lift].
(b) She was too young for me to [ (1) marry her / (2) marry].
(c) He spoke too fast for me to [(1) understand him / (2) understand].

同書、p. 147 の「成果と展望」では、

不定詞の意味上の主語を表すfor + 名詞句がなければ目的語をつけないが、調査した文のように for + 名詞句がある場合はつける人もかなりいる。学習者は目的語をつけない形を覚えておくのがよいが、for +名詞句がある場合には目的語をつける形も誤りとすることはできないであろう。

という記述にとどまっています。これが20年前の教育的配慮ということでしょうが、使うと答えた人の割合は、1:2の%表示で、

a. 43 : 99
b. 61 :90
c. 73 : 99

と3つの文で、その結果には開きがあったことを忘れてはいけません。
この『プラネットボード』は旺文社の英和辞典『オーレックス』の売りの企画で、第2版、第3版でも独自の100項目を立てています。
第2版 (2013年) では、3文は同じですが、インフォーマントへの訊ね方が変わりました。

88 The bag was too heavy for me to lift it. は可能か.
問題設定 too ... to ... 構文で,不定詞の目的語が文の主語と同一の場合,不定詞の目的語をつけるかどうかを調査した.

Q 次の表現のどちらを使いますか.
(1)(a) The bag was too heavy for me to lift it.
  (b) The bag was too heavy for me to lift.
  (c) 両方
  (d) どちらも使わない
(2)(a) She was too young for me to marry her.
  (b) She was too young for me to marry.
  (c) 両方
  (d) どちらも使わない
(3)(a) He spoke too fast for me to understand him.
  (b) He spoke too fast for me to understand.
  (c) 両方
  (d) どちらも使わない

a:b:c:dの割合を示しておきます。

(1) 5 : 75 : 20 : 1
(2) 17 : 54 : 26 : 3
(3) 18 : 39 : 40 : 3

となっていて、これまた3文での差があらわれています。

最新の第3版では、この項目はプラネットボードでは扱われず、tooの項目で

This box is too heavy for me to lift (it).
この箱は重すぎて私には持ち上げられない
(◆ for me がなければitは必ず省略する)

という記述があるだけになりました。

  • 今時の学参は?

というと、

to do の前に for Aがある場合、to do の後に目的語が示されることがある。
This bag is too heavy for me to carry (it). このかばんは重すぎて持ち運べない。
→ This bag is so heavy that I can’t carry it. (←こちらは itが必要であることに注意)
(『コーパス・クラウン総合英語』初版、 三省堂、2022年)

と適切な記述になっています。

私があれこれ言うよりも、先人が適切的確にまとめてくれたものがありますから、こちらのリンク先をお読み下さい。

27. He ran too fast for me to keep up with him. の him は省略しなくてもいいのでしょうか。(上)
https://www.biseisha.co.jp/lab/qa/27

28. He ran too fast for me to keep up with him.のhimは省略しなくてもいいのでしょうか。(下)
https://www.biseisha.co.jp/lab/qa/28

  • 関西外国語大学教授 岡田伸夫が英文法をQ&A方式で教えます!

と謳った美誠社のサイトでの連載でした。
このページには

  • 大阪大学教授 岡田伸夫 2005年2月28日

というクレジットがついているのですが、私もこの連載をリアルタイムで読んでいたわけではないので、詳細な執筆日時は分かりません。

先ほどは「プラネットボード」関連で『オーレックス』を取り上げましたが、学習用英和辞典で定評のある『ジーニアス』と『Wisdom』での扱いは次のようなものになっています。

『Wisdom和英』ではこんな記述が。

  • もうそろそろ潮時なんじゃないの?

いや、「この項目を文法語法問題で問うて、英語が出来る出来ないを測ろうというテストがその先にある指導法」がです。
それよりも、その表現形式を使う生息域に連れていって、見て、触れて、食べて…という方がよくないですか?

今、「食べる」と書いていて、思いついたもの。

When I was little, eels looked too disgusting for me to eat. But now I found it delicious to eat them as unaju, and I've come to love it.
私は小さい頃、うなぎは見た目が気持ち悪くて食べられませんでした。でも今は鰻重として食べると美味しいと気づき、大好きになりました。

I used to think natto was too slimy for me to eat. But now I found it nutritious to have it with rice for breakfast, and I've come to appreciate its unique texture.
私は小さい頃、納豆はネバネバしすぎて食べられませんでした。でも今は朝食でご飯と一緒に食べることの栄養価に気づき、その独特な食感を評価するようになりました。

のような英文に、所謂「不定詞」で学ぶべき表現形式がいくつも入っているわけです。

ということで、出講先の高1では、このような例に倣って、新たな「気づき」や「変化」を記述する英作文を課題としています。
生徒が参照するモデルとなる英文例は、5タイプの生成系AIの支援で、合計50例を作成してみました。5例でも、10例でもなく50例です。

  • 多すぎないかって?

いや、以前、文科省で指導的な立場にあった人が

  • モデルの示しすぎはよくない。

みたいなことを言っていたんですよ。
でも、そのような指導法のモデルを、文科省が教員に示していたという笑えない話しです。

  • モデルを示すとそれに縛られる。

などと嘯くくらいなら、「これでもか!」というくらい多くのモデルを浴びてみたらいいんですよ。モデルの海で泳ぐでもいい。ひところ「イマージョン」って流行ったじゃないですか。もういっそ、「モデル浴」ですよ。
自分が言いたかったものと同じネタがそこにあったら、それをそのまま言えばいいじゃないですか。

こちらでその50例全部は示せませんが、次のような条件を踏まえるようAIにお願いしています。

使用する表現形式は、
・I used to feel/think やWhen I was little など明らかな過去の時点での自分の思い込み。
・too 形容詞または副詞 + for me to 原形 でのできなかった行為や体験。
・Now I found it to原形 での直接経験を経ての気づき
・現在へと至る認識の変化。

その先で得られるモデルから抜粋。本当に、全部で50例示していますが、異なるAIが、ほぼ同じ例を拵えてくることもあるんですよ。AIだから無限の創造力というわけでもないんです。
プロンプトを受けて、その多くは何かを参照しに行って、帰ってきて、出力を返すわけですから。

ChatGPT 4.1
1. When I was little, coffee tasted too bitter for me to drink. But now I found it enjoyable to have a cup in the morning, and it has become part of my daily routine.
(私は小さい頃、コーヒーは苦すぎて飲めませんでした。でも今は朝に一杯飲むのが楽しいと気づき、日課となりました。)

2. I used to think classical music was too boring for me to appreciate. Now I found it relaxing to listen to when I study, and I really enjoy it.
(私はクラシック音楽は退屈すぎて楽しめないと思っていました。でも今は勉強中に聴くとリラックスできて楽しめると気づきました。)

3. When I was a child, vegetables were too tasteless for me to eat. But now I found it satisfying to cook and eat healthy dishes with them.
(子供の頃、野菜は味気なくて食べられませんでした。でも今はそれらで料理し食べるのが満足できると気づきました。)

Gemini Pro 2.5
12. I used to think spicy food was too painful for me to handle. But now I found it exhilarating to eat dishes with a good kick, and I actively seek out spicy options.
(以前は、辛い食べ物は刺激が強すぎて手に負えないと思っていました。でも今は、パンチの効いた料理を食べるのが爽快だと気づき、積極的に辛いものを選ぶようになりました。)

13. When I was a student, public speaking was too nerve-wracking for me to attempt. But now I found it surprisingly empowering to share my ideas with an audience, and I even volunteer for presentations.
(学生の頃、人前で話すのは緊張しすぎて挑戦できませんでした。でも今は、自分の考えを聴衆と共有することが驚くほど力になると気づき、プレゼンテーションにも自ら進んで参加するようになりました。)

Claude 4 Sonnet:
22. I used to think foreign languages were too difficult for me to master. But now I found it rewarding to communicate with people from different cultures, and I've become passionate about learning them.
私は外国語は習得するには難しすぎると思っていました。でも今は異文化の人々とコミュニケーションを取ることの価値に気づき、学習に情熱を注ぐようになりました。

25. When I was little, vegetables tasted too bitter for me to enjoy. But now I found it satisfying to eat fresh salads, and I've come to appreciate their natural flavors.
私は小さい頃、野菜は苦すぎて美味しく感じられませんでした。でも今は新鮮なサラダを食べることの満足感に気づき、自然な味を評価するようになりました。

26. I used to think reading novels was too time-consuming for me to enjoy. But now I found it enriching to immerse myself in different stories, and I've become an avid reader.
私は小説を読むことは時間がかかりすぎて楽しめないと思っていました。でも今は様々な物語に没頭することの豊かさに気づき、熱心な読書家になりました。

一見「不定詞」がターゲットなんですけど、結局は話題にする「名詞句」の面白さと形容詞のコントラストが肝になっています。深い思考力とか個人の意見は全く求めていません。感じでは同じ「思」でも、私が求めているのは「思い違い」とでもいうべきもの。
どんな英文が出てくるか、楽しみですね。

本日はこの辺で。
本日のBGM: love somebody (Garden)

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