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理念先行

一気に夏の陽気になりました。
歳を取るといくらやる気があっても流石に身体がついていきません。
焼け石に水ではないですが、取りあえずの策として、私の持っている一番涼しげなスチアンコルのリネンのシャツを着て、少しでも気持ちを上げてみました。

現在出講中の私学へは電車での長旅になりますが、非常勤講師の私も含めて指導内容に関する情報交換をこまめにしてくれるので助かっています。

私は文法・語法関連で表現の適否を訊かれることがよくあるのですが、最近話題に上がったのが「不定詞」に関わる表現。
教材からそのまま抜き出すことは避けますが、表現形式でいうと、次のようなものです。

1. It was careless of you to leave the door unlocked.
2. You were careless to leave the door unlocked.

英作文を出題すると、別解とか部分点の割り当てなど、採点での悩みが尽きないわけです。上記2例は全く問題なく正答とするでしょうが、例えば、次の3を書いてきたときにどうするか?

3. To leave the door unlocked was careless of you.

個人的には、「英語ネイティブはこう言う」「英語ネイティブはそうは言わない」だけを基準にはせず、各種資料に当たってはいるのですが、「何を見るか」によって、その次のステップも変わってきます。

  • 加賀信弘・大橋一人(編) 『授業力アップのための 一歩進んだ英文法』(開拓社、2017)

では、p.110の用例と解説で、

(19)

  • a. John is foolish to have brought such a thing.
  • b. For John to have bought such thing is foolish (of him).
  • c. It is foolish of John to have bought such a thing.

が併記されているのですね。これなどは、1970年代には既に英語学で言われていた知見等に基づいているのだろうとは思うのですが (安井稔 編『例解 現代英文法事典』(大修館書店、1986年、pp.217-221) でも、安井稔・安井泉 『大改訂新版 英文法総覧』 (開拓社,2022年、pp.595-597) でも1970年のWilkinsonを典拠としています。)、私は、冒頭で示した3の英文や、上記 b. の英文を高校生が表現するものとして薦める気にはなれません。

  • 「形式主語を乱用しない」

という私のエッセイライティング指導の重点やフィードバックの指導実例をご存知の方や、私のライティング関連のセミナーを受講された方は、私の重点としては 2 ≧ 1であることを理解していただけると思います。

今回気になったのは、

  • そもそも、このofを不定詞の意味上の主語と見做す文は、どの程度使われるのだろうか?

というところです。

感謝を伝える表現であれば、言われた方は

  • It’s very kind of you to (have) help(ed) me.

でも

  • You’re very kind to (have) help(ed) me.

でも、大体は嬉しいものでしょう。

でも、面と向かった相手を「嗜める」ような場面では、ちょっと気を使うかと。

  • 2. You were careless to leave the door unlocked.

で、相手となる人を主語にすることで、評価対象が行為であっても、その人がまず話題に上がりますから、ダイレクトな物言いにはなるでしょう。それに対して、

  • 1. It was careless of you to leave the door unlocked.

であれば、形式主語の分、ワンクッション入って、「圧」が減る、とは言えるかも知れません。

ただ、日常の運用では、感謝を伝えるなら、

  • Thank you for helping me. That’s very kind of you.

と言えば、不定詞を全く使わずとも感謝の気持ちは伝えられるものだし、嗜めるとしても、

  • You shouldn’t have left the door unlocked. That was careless of you.

などと言えば、こちらも不定詞は使わずに済む、ということは指導者だけでなく、学習者の皆が知っておいて損はないでしょう。

そんなことを考えてから、文明の利器にお伺いを立ててみました。

以下の3文の容認度、使用頻度、場面などを生成系AIに訊ねた結果です。

1. It was careless of you to leave the door unlocked.
2. You were careless to leave the door unlocked.
3. To leave the door unlocked was careless of you.

Claude 4.0 Sonnet

容認性の判定
1. It was careless of you to leave the door unlocked. ✓ 完全に容認可能
2. You were careless to leave the door unlocked. ✓ 容認可能
3. To leave the door unlocked was careless of you. △ 文法的には可能だが不自然

あなたのご指摘の通り、3番目の文は英語として不適切で実際にはほとんど使われません。
3番目の文が不自然な理由

  • 語順の問題: 英語では重い主語(長い不定詞句)を文頭に置くことを避ける傾向がある
  • 情報構造: 評価される行為よりも評価そのものを先に提示する方が自然
  • 慣用性: この構造での of you の使用は定着していない

"of + 動作主"構文の使用頻度について
現代英語における "It is + 評価形容詞 + of + 人" 構文の実態:

使用頻度の傾向

  • 減少傾向: 20世紀後半から使用頻度が徐々に減少
  • フォーマル性: より formal な文脈で使われる傾向
  • 世代差: 若い世代では使用頻度がさらに低い

よく使われる形容詞

  • 人格評価: kind, nice, good, bad, wrong, right
  • 知的評価: clever, smart, stupid, foolish, wise
  • 道徳評価: careless, careful, thoughtful, selfish

現代の傾向
多くの場合、より直接的な表現が好まれます:

  • It was careless of you → You were careless
  • It was kind of you → You were kind (ただし意味が若干変化)

ただし、 It's kind/nice of you のような感謝表現では依然として頻繁に使用されています。

OpenAI o4 mini

ご指摘のとおり、1 と 2 はいずれも自然に使われる言い方ですが、3 は少なくとも口語・文語ともに非常に不自然になります。以下、簡単に整理します。

1. It was careless of you to leave the door unlocked.
– 英語では最も典型的な構文。
– 「it は形式主語 (expletive)」+ be + 形容詞 + of + 行為者 + to-不定詞(真の主語)
– COCA などの大規模コーパスで数千例単位でヒットします。

2. You were careless to leave the door unlocked.
– 形式主語 it を使わず、行為者を主語にしたパターン。
– 「人 + be + 形容詞 + to-不定詞」で,「…するとは君は不注意だね」と評価。
– 1 に比べるとややフォーマル寄り、あるいは書き言葉寄りですが、日常でも普通に使われます。
– “You’re foolish to…/You’re wise to…” のように他の評価形容詞でも頻出。

3. To leave the door unlocked was careless of you.
– 技術的には文法違反ではありませんが、実際にはほとんど使われません。
– 英語では長い to-不定詞を文頭にそのまま主語にすると読みにくいため、ほぼ必ず it を形式主語にして後ろに「to-不定詞」を置きます(=外観上「it … to …」構文にする=extraposition)。
– もし主語を非人称形式にしたいなら、むしろ動名詞を当てて “Leaving the door unlocked was careless of you.” としますが、これも still marked(<100例程度)で、やはり “It was…” に取って代わられています。

【現代英語における「形容詞評価+of+行為者+to-不定詞/動名詞」の使用頻度イメージ】
“It is Adj of NP to-inf” パターン
– 種々の評価形容詞(kind, nice, careless, foolish, wise, generous, typical …)で非常によく使われる
– COCA 例数:数千~数万

“NP be Adj to-inf” パターン
– “You’re foolish to…/We’re lucky to…/They’re wise to…” など、一定の形容詞に限り頻繁
– COCA 例数:数百~数千

“To-inf be Adj of NP” パターン
– 文法的にゼロではないにせよ、ほとんど見かけない(〈100例未満〉)
– 動名詞なら若干増え “Leaving … was careless of you” のように数十~百例程度

以上より、
– 1 は最も普通の構文、
– 2 もよく使われる変形、
– 3 は実質的に廃用に近い非常に稀な言い方
とお考えください。

Gemini 2.5 pro

1. 提示された3つの例文の容認性について
結論から申し上げますと、1と2は容認可能で自然な表現ですが、3は文法的に誤りではないものの、一般的ではなく、やや不自然に響くことが多いです。

  • 1. `It was careless of you to leave the door unlocked.`

判定:容認可能、自然、一般的。これは非常に一般的で自然な言い方です。仮主語の `It` を使い、実際の主語である `to leave the door unlocked` を文末に置くことで、文のバランスが良くなり、情報がスムーズに伝わります。`careless` のような人の性質や行為を評価する形容詞の後に `of 人` を続けて行為者を示すのは標準的用法です。

  • 2. `You were careless to leave the door unlocked.`

判定:容認可能、自然、一般的。これも非常に一般的で自然な言い方です。行為者である `You` を主語にし、その人が `careless` であったと述べ、その具体的な行為を `to leave the door unlocked` で示しています。1の文と意味はほぼ同じで、どちらもよく使われます。

  • 3. `To leave the door unlocked was careless of you.`

判定:文法的には可能だが、不自然で、使用頻度は低い。文法的には、to不定詞句 `To leave the door unlocked` が主語になることは可能です。例えば、"To err is human."(過つは人の常)のような格言的な表現では使われます。しかし、ご指摘の通り、この文は1や2に比べて不自然に聞こえ、実際の会話や文章で使われる頻度は著しく低いです。その理由はいくつか考えられます。

  • 情報構造 (End-weight principle): 英語では、新しい情報や複雑で長い要素を文末に置く傾向があります。この文では、長い不定詞句が主語として文頭に来ているため、やや頭でっかちな印象を与えます。1の `It` を使った構文 (extraposition) は、まさにこの問題を解決するためのものです。
  • 焦点: 通常、このような文では「誰が不注意だったのか (`of you`)」や「不注意だったという評価 (`careless`)」に焦点が当たることが多いです。文末に近い方が焦点化されやすいため、1の形がより自然です。
  • 冗長性: 1や2という、より自然で簡潔な言い方があるため、あえて3の形を選ぶ必要性が低いと言えます。

したがって、「不適切」とまでは断言できませんが、「一般的ではない」「好まれない形式」であり、特に日常会話ではほとんど聞かれないでしょう。書き言葉で、特定の文体的効果を狙う場合など、限定的な状況では用いられる可能性はゼロではありませんが、まれです。


2. `careless` などの形容詞で評価される行為の動作主を `of` で示すことそのものの使用頻度について
この `of 人` を使って行為の動作主(その行為に対する評価が向けられる人)を示す構文は、現代の英語でも非常に一般的で、頻繁に使われます。

  • 対象となる形容詞: `careless` のように、人の性格、性質、または特定の行為に対する評価を表す形容詞(例: `kind`, `nice`, `good`, `generous`, `stupid`, `silly`, `clever`, `wise`, `foolish`, `brave`, `polite`, `rude` など)と共に用いられます。
  • 構文の形:

・ `It is/was + 形容詞 + of 人 + to do ...`
・ `人 + is/was + 形容詞 + to do ...` (この場合、`of` は現れませんが、意味的には関連しています)

  • 意味合い: この `of 人` は、その行為がその人の「性質」から発したものである、あるいはその人の「人となり」を示すものである、というニュアンスを含みます。

・ `It was kind of you to help me.` (手伝ってくれるなんて、あなたは親切だった。)
・ `It was stupid of him to say that.` (そんなことを言うなんて、彼は愚かだった。)
結論として、`careless of you` のように `of 人` を使って行為者を評価する表現は、古風になったり廃れたりしているわけではなく、現代英語において標準的かつ頻繁に使用される、生き生きとした構文です。 むしろ、この構文を知らないと不自然な英語になったり、相手の意図を誤解したりする可能性があるほど基本的なものです。
ご質問の例文3が不自然に感じられるのは、`of 人` の部分ではなく、文全体の構造に起因すると考えられます。


以下、オンラインコーパスのCOCAでザックリ検索した結果を参考までに
もの/こと主語 行為評価の形容詞 + of + 代名詞

  • * is/was kind/careless/good/stupid/wise of PRON


不定詞が続くものまでを絞り込み。

  • * [be] kind/careless/good/stupid/wise of PRON to _v?i


of の後の代名詞にsomethingなどのノイズも含まれているので注意。
小説とTV映画に顕著。実際の会話ではそこまで多くはない。2000年以降で増加傾向なのはthat主語。

続いて、人主語 行為評価の形容詞 不定詞 を検索。

  • You/I/He/She/We [be] kind/careless/good/stupid/wise to _v?i


上述の、「もの/こと主語」よりも高頻度。
TV/映画が群を抜いて最頻。会話での頻度も高い。全体として、2000年以降で増加の傾向。

単純な使用頻度を指導の優先順位の考慮の材料とするなら、私の指導の重点が 2 ≧ 1 であることが裏付けられた、という感じでしょうか。

古くは

  • レナート・デクラーク 著 (安井 稔 訳)『現代英文法総論』 (開拓社、1994年、pp. 666-667)

で扱われていました。該当する部分のみ引用。

A. You are silly to do that. の型.
このパタンには次の特徴がある.
1. 主節のSは,不定詞の意味上のSでもある.
2. この構文は,It is silly of you to do that. 型の構文に書き換えることができる.この書き換えられた構文は, For you to do that is silly. という構文に外置化が適用されてできたものである(この場合に限って, 外置化を適用すると, for を of で置き換えなければならないことに注意).
3. 変形文法の用語を用いて言うと, You are silly to do that. の型の構文は,外置化の適用された構文に,補部節の主語を主文の主語の位置へ繰り上げる変形(subject raising) を適用した結果得られる文である.
4. 補部節の主語を主文の主語の位置へ繰り上げることができるのはなぜかというと, 形容詞によって表される評価が不定詞節が示す場面に対してのみならず, are sillyのSが指示する対象 (人) にも当てはまるからである。

  • 「この場合に限って」というところは、まあ、そういう説明で納得しろ、ということなんでしょうけど、もやもやしますね。

教室現場としては、形式主語が不定詞を導く英文で、不定詞の意味上の主語を表すforと人の属性を表す前置詞 of とを殊更対比して教えたり、テストしたりすることの適否、是非も考えておきたいものです。

本日はこの辺で。
本日のBGM: foolish (渚のポストマン)/須藤 薫

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