スライ・ストーンが亡くなった悲しみに追い討ちをかけるかのようにブライアン・ウィルソンが亡くなりました。個人的には、スライ・ストーンの喪失感の方が大きくて、自分でも少し驚いています。
合掌。
O-LEX英和にこんな用例があるのをご存知ですか?
James Brown is often referred to as the Godfather of Soul.
ジェームズ=ブラウンはしばしばソウルのゴッドファーザーと呼ばれる
よく収録したものだと思います。
これに関連して、スライ・ストーンについては次のように称されることがありますが、まだ辞書には収録されていません。
James Brown may have invented funk, but Sly Stone perfected it.
ファンクの生みの親はジェームズ・ブラウンだろうけれど、それを完成させたのは間違いなくスライ・ストーンだ。
助動詞と過去形のコントラストが効いていますね。
物書堂でこの春リリースのOALDの英英和でrefer toを引き比べ。
refer to の句動詞の項目で、全体としてはCEFRのA2レベルとされてしまい、 「…に言及する」という訳語に縛られがちですが、この写真での最後の用例のように、適切な和訳がつくことでかろうじて救われている印象です。英英和版は和訳のスペースが必要ですから、OALDの全ての用例が示されているわけではありません。この用例をカットしなかった編集部に拍手!
英英和としては先輩のCOBUILDの米語英英和でも、このrefer toは取り上げられています。
V-I 呼ぶ
If you refer to someone or something as a particular thing, you use a particular word, expression, or name to mention or describe them.
• Marcia had referred to him as a dear friend. マーシャは彼を親友と呼んでいた。
別な語の用例でもヒット。
• Her Chinese friends referred to the empress as their venerable ancestor.
彼女の中国人の友達はその女帝を立派な祖先だと言った。
冒頭で引いたO-LEXだけでなく、英和辞典でも用例は見つかります。
They are referred to as troublemakers. 彼らは問題児と呼ばれている (Wisdom英和)
彼女は女性版タイガーウッズと言われている She is referred to as the female version of Tiger Woods.(Wisdom和英)
G6にも用例はあるのですが、次の例を除くと、十数例ある用例の全てが「デジタル+」周りなので、紙版を使っている人は「暴動」を起すんじゃないでしょうか?
The Big Dipper is referred to as the Great Bear. 北斗七星は大熊座と呼ばれる.
このrefer toの語義は、近年の大学入試対策指導界隈では、所謂「見なし動詞」の類型で整理されているようです (動詞は通例「見做す」と書きますね)。
ただ、この表現自体は随分前から入試では見かけたものですよね?
New York is sometimes referred to as a melting pot of races.
ニューヨークは人種の坩堝と呼ばれることがある。
Most of us probably feel “depressed” at some time in our lives. The pressure at work, a domestic crisis, the loss of a loved one---these and many other life events can make us feel as if we were not in control of our destinies. We refer to the resulting “down” mood as depression. This is known as “reactive” depression, and while it may give way to feelings of great sadness at a loss, or to strategies for coping with a change of job, the depression itself does not normally linger.
私たちの多くは人生のどこかで「落ち込んだ」と感じることがあるでしょう。仕事のプレッシャー、家庭の危機、愛する人を失うこと――これらや他の多くの人生の出来事は、運命を自分でコントロールできていないような気分にさせることがあります。このような「落ち込み」の気分を抑うつと呼びます。これは「反応性」抑うつとして知られており、喪失による深い悲しみや仕事を変えるための対処策へと変化することはあっても、抑うつそのものは通常長くは続きません。
refer to の語義に関しては、関連する表現とともに「センター試験」の解説で書いたこのブログの過去ログでも取り上げていますので、この機会に是非。
さて、ここからが本題。
今日の「気になる語法」は、この所謂「見なし動詞」です (「」を敢えてつけている意味・意図を感じて下さい)。
受験対策教材では、動詞型を類型化して、関連語の一覧を示していることが多いと思います。
私も高校生には教えますが、次の情報辺りが確かな足場となるでしょう。
左:Oxford類語 右: Wisdom英和
現代英語の使用頻度から言っても、このregardとconsiderの2語を押さえるのが優先順位です。
- ところがどっこいぎっちょんちょん!
日本の大学入試対策教材では、次のような言い換えが求められるようで驚きです。
My cousin doesn’t like his new project, but he seems to regard it as a learning experience.
1. look after 2. look in 3. look for 4. look upon
出題者は恐らく、「私の従兄弟は新プロジェクトが好きではないが、これも勉強だと思っているようだ」というような意味で、regard /asとlook upon/ asが同意となると考えているようです。
裏返しもあります。
I’ll always look on Arisa Mizuki as one of the best actresses in the world.
1. love 2. regard 3. feel 4. find
「私にはいつも、いつまでも、観月ありさが世界一の女優だ」というような、「推し大絶賛」の一文ですが、ここでも look on/asとregard /as が同意ということのようです。
日本の大学入試でいつからこのlook on /asが頻出なのか、はっきりとは確かめていませんが、随分長いこと、この「見なし動詞」間での言い換えは求められているようです。
Until he showed his real strength, everybody had looked on him as a good-for-nothing.
1. respected 2. found 3. regarded 4. despised
次のように語群からの空所補充で同意関係を成立させる問題もありました。
They looked (on) this as most important. = They (considered) this as most important.
そうかと思うと、look on/upon単独での空所補充完成や整序完成もあったりします。
私たちは親類ではないが、私が彼を兄弟のように思っている。
We are not related, but I (look) upon him as a brother.
彼らは彼のことを立派な学者と思っているが、私の意見は違う。
They look upon him as an eminent scholar, but I think otherwise.
確かに、look on/uponは現代英語で句動詞として使われています。
マクミランの句動詞辞典から
to think of someone or something in a particular way = THINK OF, REGARD AS
- We’re not related but I look on his as a brother.
- I look on it as a challenge.
あれっ?何だかまるっきり同じ例文が上述の入試出題例にあったような…。
Cambridgeの句動詞辞典から
to consider something or someone in a particular way
(usually + as)
- You shouldn’t look upon this as a failure.
COBUILDの句動詞辞典から
If you look on something or someone in a particular way, you think of them in that way.
[+ as]
- If she went out with Mark, John would look on it as a great insult..
- I look on her as a friend.
私が気になるのは、
- 「こと」「状況」の判断や評価の文脈でlook on /as をそんなに使うものなのか?
という部分です。
個人的には、「こと」「状況」で思い浮かべるのは、look at の方ですね。
私が授業で高校生に見せているのがこちらの物書堂の検索結果。
物書堂での用例検索でも、このくらいしかヒットしないのが悩ましいところ。
ただ、左のOxford類語でのregardの仲間たちで、look on/uponではなく、look atが入っていることの意味を考えてみて下さい。
Wisdom英和の扱い
1d[~ at A as C]A <人・物・事>をCと見なす (!Cは名形)
- I don't look at him as a bad guy. 私は彼を悪い人だとは思っていない.
G6の扱い
c) SV at O as C O <人・物・事>をCとみなす (◆Cは名詞・形容詞)
- look at her as a role model 彼女を手本とみなす.
句動詞としての扱いも見ておきましょう。
Cambridge
to consider something in a particular way
- I suppose if I’d been a mother, I might have looked at things differently.
asが続く用例はありません。
COBUILD
If you look at a situation in a particular way, you judge it or consider it in that way. = SEE
[+as]
- She looks at life as a series of challenges.
look at/asは今一つ扱いが薄い印象です。
今は忘れ去られた、マイナーな部類の書籍ですが、次のような扱いをしてくれているものもありました。
look at (a matter) (何事か)を思う、判断する、観察する、みる、…ととる。
1. I look at it this way. 僕はこれをこう見るのだ。
2. I look at this Weaver case as a national nonsense. 私は、このウィーバーの件は、国家的な笑い草だと見ている。
金重三子雄 『英語慣用語句ハンドブック』(培風館、1958年)
でも、大学入試では既に問われているんですね。
私が嫌いな「誤箇所指摘」問題で。
(a) のwhoを消すのが一番簡単ですが、(d) のlook at them as …を見て、look on に直さなきゃ、と思った受験生がいなかったことを願います。
読解素材。
さあ、ノイズも含まれますが、以下ざっくりと検索した結果を。
COCAで look + on/upon + 代名詞 + as
![]()
2000年代以降、減少傾向という印象。COCAで look + at + 代名詞 + as
ケタ違いとはこのことか、というくらい先ほどとは異なる分布。
COHAでも見てみました。
COHAでon/uponを。asの後は不定冠詞縛りで。
今は昔… ですね。COHAで at
2010年代では、 on/upon : at = 2: 20 = 1 : 10 でケタ違いにまでなっています。
TVコーパスで、台本のある話し言葉の実態を推測。
TVでon/upon
UK/IEでのヒット数がありますね。TVでat
均衡コーパスではないので、単純なヒット数の比較は出来ませんが、全然違うな、ということはわかるでしょう。
as以降を単数形の名詞に絞って、 a/anで並べて検索。
COCA
ケタ違いですね。アカデミックではほぼ使われず、とりわけspokenでは圧倒的にat。on/uponの多くは90年代のものです。TV
英国でon/uponのヒット数が増えますがatが優勢です。GLOWBE
英文化圏で若干upon/onのヒット数が増えますが、6大メジャー以外でも広く使われているのはatですね。NOW
2016年、2017年, 2022年の upon/onの一時的増加は気にはなりますが、atの方はケタ違いにも程がある印象。
COCAで aの先をもうちょっとだけ見ておきましょうか。
look on/upon でasの続き。33例中、spokenとTV/Movieを足して10。アカデミックは1例のみ。
![]()
look at /as でaの続き。
中略
![]()
アカデミックは1例で同じですが、spokenで56例、TV/Movieで26例となっていて、その差は歴然でしょう。
なぜ、日本の教材やテストはこのlook atを取り上げないのでしょうか?
私は高校生相手の授業で、「look on / asばかりが取り上げられるテストや教材は『異常』だ」とまで言っています。
NOWコーパスのCLから。
COCAから
コロケーションもみておきましょう。asに続く名詞の特徴ですね。
GLOWBE
opportunityが群を抜いて多い印象。
COCA
こちらはissueを見ておきましょうか。
ざっくりとした検索では、“as a whole” や "as +SV" などはノイズとして除去する必要がありますが、それを差し引いても、このような情報に照らし合わせれば、英語ということばの「現状」とか「実態」を理解することは可能でしょう。
- 神のみぞ知る
などとは言わせません。
ただ高みを目指せばいい、というものではありませんが、それでも、学習者も指導者も、英語の実態に見合わないテストや教材から早く脱却して欲しいと思います。
本日はこの辺で。
本日のBGM: I want to take you higher (Sly and the family stone)
























