早4月、色々なものが終わり、新たに始まります。
年度末に、出講していた高校の生徒から、珍しく学内のシステムを通じて質問があり、年度内に回答をしてあげました。
このシステムは便利は便利ですが、進級してクラスが変わったりすると結構面倒ですよね。
今回の質問は
- 天秤AI
についてでした。生徒が生成系AIをどんどん活用するのは良いことだと思いますが、勝手に期待して、思うような回答が得られず、勝手に落胆したり幻滅したりするのは健全ではないので、いくつか助言をしておきました。
フィギュアスケートの世界選手権も終了。紋切り型の形容ですが、悲喜交交です。
坂本選手のショートプログラム、鍵山選手のフリープログラムを見て、五輪枠のかかる世選は、物凄い重圧とも戦ってしまうのだろうなぁ、と感じました。シングルは男女とも3枠、ってとてつもないことなんですけどね。一方での「りくりゅう」ペアの金メダル、世界チャンピオン返り咲きのメディアでの扱いが小さ過ぎないか、とも感じています。
終わってしまった、といえば、地上波TVを録画してまで見ていた『暗行御史(アメンオサ)』(テレビ東京) が終わりました。
所謂学校の春休み期間で、最終回をリアルタイムで見られたのは良かったです。
ドラマで「馬牌」を取り出して見せるところは、水戸黄門の印籠っぽさがありますが、期待して見ていました。馬は何頭刻まれていたっけ?
追記: 馬は二頭でした!
https://youtu.be/qsOO3vq4YUY?si=ALC8BbA-PPJd5ntG
主役のエル(キム・ミョンス)さんを見た妻は
- 綺麗な顔してるね。
とイケメンぶりに反応していましたが、このドラマの直後に兵役で海兵隊入隊だったとか。
日本では某局の大河くらいでしか新作の時代劇をやらなくなりつつあり、私は個人的に大河は見ないので、韓流時代劇の方でどんどん新しい作品を世に出してほしいと願っています。
新年度のオンライン個別指導は若干名募集中です。ご検討中の方は、まずは相談してみて下さい。
講座の内容や、対応可能な曜日等は、過去ログでも書いています。
先月末に「英語辞書&オンラインコーパス活用法」のセミナーをやったばかりですが、「物書堂」さんの春のセールが始まりましたので、そのセールが終わる前に緊急開催で、辞書関連のみでセミナーを。
「英語辞書の活用法&辞書指導での留意点」4月20日(日曜日)14:00 -16:30
passmarket.yahoo.co.jp
まだ物書堂のアプリ辞書を使ったことがない方、検討中の方、迷っている方などなど、このセミナーの内容を必要としている人に、一人でも多く届けば、と願っています。
3月は広島大学の前期入試の出題ミスに関連した大学とのやりとりですっかり疲弊していました。「出題ミス」に関しては、3月24日から、大学からも文科省からも何の反応もなかったので、そのような愚痴をこぼしていたら、何と4月1日の17:36に、文部科学省の「入試不正対策窓口」経由で広島大学の見解が再度通知されました。
- 敢えて、この日に届ける意図がある?
とも思いましたが、一応こちらでもお見せしておきます。
結局、最後まで「大学側の公平な採点には影響ない」の一点張りで、「受験生の解答に際して影響が」本当に無かったとなぜ言えるのか、に関して何も検証しない姿勢には正直凹みますね。
この一連のやり取りが影響して、「英語そのもの」の話しを、こちらで書けていませんでしたが、新年度も私の心身の健康を優先しつつ続けて行きますので、ご活用下さい。
先日のオンラインの個別指導で取り上げた語に
- distress
があります。名詞でも動詞でも使いますが、名詞の方が馴染みがあるかも知れません。
CEFRのランクでは コウビルドは名詞でB2、OALDはC1、ケンブリッジはC1・C2 ですので、習熟度が高いといえば高いけれど、類語ではその中心にいるグループリーダー的存在でもあるので、「難語」としてではなく、中級レベルでは押さえておきたい語だと思っています。
次の『Oxford英語類語辞典(小学館版)』 の類語スケールを見て下さい。
まさにグループリーダーですよね。
次は和書で、上本佐一『英語同意語小辞典』(研究社、1970年)から。
日本の英語教育界隈ではあまり高く評価されていないっぽい、上本父子の著作ですが、私は随分とお世話になってきました。
因に、distressという語は、大学入試対策の「単語集」ではあまり重要な語としては取り上げられない印象です。
私の手元の用例には、こんなものがありますけど。
These positions still fail to come to grips with the question of how to deal with the pain and distress of real beings, plants and animals, as real as suffering humanity and how to preserve natural variety.
これらの立場は依然として、苦しむ人類と同じように現実の存在である植物や動物といった存在の苦痛や苦悩にどう対処し、自然の多様性をどう維持するかという問題に取り組めていない。
Women are more likely than men to seek social support, particularly from other women. Men are more likely to believe that any expression of distress shows their weakness, so they are more likely to turn to substances.
女性は男性よりも、特に他の女性からの社会的支援を求める傾向があります。男性は、苦痛を表に出すことは弱さを示すことだと考えがちなので、薬物に頼る傾向があります。
Whatever the carer does, harm may be done to the person with dementia: withdrawing food will lead to starvation but offering food may lead to distress. It should be borne in mind that efforts to impose treatment on a person who does not want that treatment---and this includes feeding---are being made against that person's will. Therefore, any effort to force-feed a person with dementia could be illegal and may also be unethical.
介護者が何をしても、認知症の人に害が及ぶ可能性がある。食べ物を与えなければ飢餓につながるが、与えることが苦痛につながるかもしれない。治療を望まない人に対する治療の強要(これには食事を与えることも含まれる)は、その人の意思に反して行われていることを念頭に置くべきである。したがって、認知症の人に強制的に食事を与えることは違法となり、非倫理的となる可能性もある。
これらは全て2000年代の大学入試で使われたもの。
20世紀の大学入試を語る資料として大きな意味を持つ、『クラウン受験英語辞典』(三省堂、2000年)には次の出題例があります。
訳語が多すぎて用例に対応し切れていませんが、文例があるだけマシですね。
大昔の英検対策の、実質は辞書という教材にはありました。まあ、例によって絶版ですけど。
『実用英語サクセス小英和』(日本英語教育協会、1985年)
(準1級のない時代の)2級相当という表示に隔世の感がありますが、用例は大事。
イマドキの大学入試対策の「単語集」に収録されているか、その場合はどのように取り上げられているか、お手持ちの教材を見てみて下さい。
私はアプリでしか持っていないのですが、定番という評価らしき『ターゲット1900』(6訂版、旺文社、2020年)には、No.1048で入っていますね。句の用例は叙述で用いる形容詞句をつくるものと、文用例で他動詞causeの目的語の二つがあるので、まあまあ、使い方にも意識が及ぼせるかな、という感じ。
大学入試ではなく英検対策として需要があるのであろう『でる単語だけ大特訓 英検準1級TOP 800』(オープンゲート、2019年)では、0835で取り上げられています(p.144)。 用例で「遭難信号」を入れているのは良いのですが、注記は今一つという印象です。
私が出講している私学の教室でも、ときどき堂々と内職している人が広げている『鉄壁』(KADOKAWA, 2020年)は、このdistressという語を、比較的前のほうのページで収録している(p.53)だけ偉いのですが、この語に関しては語根(幹)、接頭辞、接尾辞などが真に生かされているとは思えない、
- ★「ストレス」(stress)が溜まりすぎると…
という注釈とよくわからないイラストがついています。
いや、語源的解説がウリなのであれば、そうじゃないだろ、と正直思いますね。
北村一真・八島 純 『上級英単語 ロゴフィリア』(アスク、2022年)では、018 (p.20)で取り上げ、語源でも「そうそう、そうなんです!」と頷ける適切な解説をしていますので、御手元にある方はご確認を。
語源的な注記・解説であれば、英和辞典でもWisdomやG大で適切な扱いになっていることを確認。
このdistressは、中村保男・谷田貝常夫 『英和翻訳表現辞典』(研究社出版、1978年)で短いながら情報量の多い解説がなされていて印象に残っていましたが、その後の改訂で記述が充実し、
- 中村保男 『新編 英和翻訳表現辞典』(研究社、2002年)
では、p.201にdistressを中心とした関連表現を、pp.119-120では、causeの目的語として用いられる「生息域」に迫る記述もありますので、是非。
distressの一語で、随分と「もってまわった」書き方をしてきましたが、ピクトグラムがあるとか、一瞬で処理できるズバリと核心をついた言葉遣いがされている、とかいったことが、必ずしも理解を確かにしたり、深めたりするとは言えないのが語学の難しさであり、奥深さでしょう。
教材や授業で「その一語」を扱う背景で、ことばの教師はこれだけのことをしているのだ、ということはもっと知られていいのでは?
ということで、4月20日の辞書活用法セミナー、よろしくお願いします。
「英語辞書の活用法&辞書指導での留意点」4月20日(日曜日)14:00 -16:30
passmarket.yahoo.co.jp
本日はこの辺で。
本日のBGM: 剥がれない (白鳥の下で)
2025年4月5日 追記:
「遭難・救難」の文脈での名詞distressに関しては、こちらの過去ツイを。加州のニュース。役割を果す; 任務や責任を負うの意味で受け身で使われることが多い<charged with + 名詞>を確認。訴訟ではないので為念。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2023年12月22日
people in distress ここでは「遭難者」。distressは通例、船舶や飛行機の遭難で用いる。rugged 「岩だらけの」。車は勿論、人も行き来し難いということ。 https://t.co/1IQkQryCCE詳しくは記事本文を。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2020年9月5日
一般に
a boat in distress
と言えば「遭難している船」のこと。 https://t.co/AI5FeAdauY








