2025年3月7日追記:
関連記事続編が以下のリンク先にあります。併せてお読み下さい。
tmrowing.hatenablog.com
二月があまりにも早く通り過ぎました。
拙ブログの2月の記事では今春の大学入試問題から気になった出題を取り上げて批評してきました。
気がついたら、2月の更新は15本。
2012年7月の16本を最後に、月に15本以上の更新をしたことはありませんでしたが、最も日数の少ない月で15日以上の更新、というのは自分でも驚きです。
- Don’t criticize what you can’t understand.
と喝破したのはボブ・ディランでした。
でも、その分からなさから生まれる自分のモヤモヤは解消したいので、ぼやくだけではなく、いろいろと調べたり考えたりして、このブログやツイッター、Blue Sky、Threadsなどのソーシャルメディアで発信しています。
大阪大のグラフに基づく出題に関連してこのブログの過去記事で異を唱えましたが、ツイッターでは広島大学の出題例を比較対象としていました。広島大学は2007年から継続してグラフ関連の出題をしているからですね。(その記念碑的出題は『パラグラフ・ライティング指導入門』大衆館書店に収録)
その広島大の2008年の出題がこちら。
これが17年前の広島大の出題。こんなツイートもしていました。
グラフを単なるcueとして使うにしろ、分析すべき資料として使うにしろ、説明的&論証的な英文を書かせたいなら、issueが括り出せるだけの数値とその変化、割合などが示されていないとね。
2008年の広島大の出題を振り返ってみる?
17年前の問題ですよ、これ。グラフを単なるcueとして使うにしろ、分析すべき資料として使うにしろ、説明的&論証的な英文を書かせたいなら、issueが括り出せるだけの数値とその変化、割合などが示されていないとね。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年2月28日
2008年の広島大の出題を振り返ってみる?
17年前の問題ですよ、これ。 https://t.co/G0QDQbRJNN pic.twitter.com/sR8dCJ9aVN
そんな先駆者たる広島大は今年もグラフ関連の出題を続けています。
ただ、今年の問題で資料として示されたグラフをよく見てみると、その「折れ線グラフ」でちょっと気になる箇所があったので、出典とされる資料と見比べてみました。
こちらが出典。
そして広島大の出題でのグラフがこちら。
問題そのものは、こちらなどからリンクが生きている間にどうぞ。
https://nyushi.sankei.com/honshi/25/hr1-11p.pdf
この広島大のグラフで、2013-14辺りでCDのシェアが5%近く増えているのが解せないのですね。その頃CDの売り上げが伸びる事件でもあったのでしょうか?
この広島大の問題で示されるグラフが、元の資料にあるわけではなく、その資料で示された数値を拾い、まとめて新たなグラフを作成したと考えられるのですが、元の資料ではシェアの推移のグラフはフラッシュメディアでの提供です。
ということで再生して、2013, 2014, 2015, 2016年それぞれのスクショを撮りました。
元のグラフでの数値を見る限りCDのシェアは右肩下がりですね。
広島大のグラフでCDのシェアが伸びている箇所は誤りでは?
これをお読みの方で関係者がいましたら、また関係者に伝手のあるかたがいましたら問い合わせ確認などしてみてくださいね〜。
今春の入試では神戸大でも「グラフに基づく出題」がありました。
(1) が「変化の記述」で、私がよく言う「グラフ説明問題」。「時事等のニュース」って話しが広過ぎませんか?何と、グラフには出典情報ナシ。このグラフがニュースだとして、その一次ソースはいったい何?
- 出典が書いてあっても、その一次資料が正確に、適切にグラフ化されているかは保証されない。
ということはここまでの私のブログ記事で指摘しているところですが、この雑なグラフを見て、総語数40語程度で説明するという (1) は雑な作問ですね。
そして(2) が、意見の表明。言わば、「グラフをcueとしてテーマを与えたお題英作文」です。
「テーマ」として「ニュースソースとしてのソーシャルメディアの信憑性(credibility)」を与えての「お題作文」で総語数が60語。しかも、「あなたは信じますか?」という問いではなく、
- (一般の)人々は、ニュースソースの一つとして、ソーシャルメディアを使うべきか?
を問うているところが狡猾。
私が調べた範囲では、この神戸大の出題で用いられたグラフの出所に一番近いのはこちらの資料。
神戸大の出題で用いられたものに近いのはこれですね。
そのプラットフォームを普段使っている人の中で、それをニュース源として利用する人の割合です。
ただし、この一次資料では、このグラフの前に次のグラフを示していることには注意が必要です。これがそもそもの「大人に訊いた利用実態」ですから。
情報ソースやそこでの凡例をきちんと示さないと、何かを説得力を持って論じることは難しいわけです。
更に、ここでも解せないのは、この記事のリリースは2024年の9月17日。2020年から2024年までの4年分のデータを並べているんですね。
神戸大での作問は、この9月以前ということなのでしょうか?
そしてこの出典を明らかにしなかったのはなぜ?ツイッターの2024年の人気が59%で、2020年の水準まで回復しちゃったから?
大学の入試説明会って、こういうことは訊けないんですかね?
英語の入試問題も多種多様、それぞれそれなりです。
有名どころの大学入試問題の英作文・英文ライティングで「グラフ」が出現する、またはそういう出題が少しでも増えると、ソーシャルメディアでは「グラフ対策」を叫ぶ投稿が増え、次年度以降、いきおい「グラフ対策」を謳う教材や講座のツイートが増えていきます。
- それが時代の流れ?
今春の京都大学の和訳を問う出題ではエキスパートが色々持論を闘わせている印象ですが、大阪大とか広島大とか神戸大とか、「そのデータで論じて本当に大丈夫?」というところは気にしてくれる人が少ないのが悩ましい。
そもそも論になりますが、大学入試で求める「英文ライティング」のスキル、運用力を診たい、というときに、なぜ、「グラフ」が使われるのでしょうか?
「グラフ」をcueに使うと、そうではないcueにくらべて有意に英文が「書かさる」のでしょうか?
「グラフ」を使わなければ書かせられない何があるというのでしょうか?
私の英文ライティングの指導でも、この「グラフ説明」の課題は、初級編から必ず入れています。
旧来からある中高段階のライティング指導シラバスでは、事実を事実として書く経験が圧倒的に足りないと思っているから。テクストタイプごとにシラバスを組んで、「事実の記述・描写・説明」を教材化しています。
出題形式や過去問添削だけではない、「英文ライティング」の中での適切な位置づけをしてほしいと20年近く言い続けていますが、これも無い物ねだりですかね。
本日はこの辺で。
本日のBGM: The Times They Are a-Changin’ (Tracy Chapman)










