このブログでも時々生成系AIの活用事例を紹介しています。
私の専門はライティングなので、その方面での事例が多いのですが、最近の授業や個別指導のライティング講座でやっていることに「タイトル付け」があります。
GIGOなどと言われますが、生成系AIに丸投げでは言葉の精度は上がりません。次の写真は、とあるエッセイをClaudeに読ませた上で、そのエッセイに相応しいベストなタイトルを3つの候補から選んでリーズニングをしてもらったもの。同じことをCopilotとGeminiにもやってもらいました。
結局、人ですよ。GIGOなどと言われますが、生成系AIに丸投げでは言葉の精度は上がりません。次の写真は、とあるエッセイをClaudeに読ませた上で、そのエッセイに相応しいベストなタイトルを3つの候補から選んでリーズニングをしてもらったもの。同じことをCopilotとGeminiにもやってもらいました。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2025年2月26日
結局、人ですよ。 pic.twitter.com/1a8rVmiwKO
エッセイそのものはお見せできませんが、写真を再録。
まずは Claude 3.5 Sonnetです。
Copilot
そしてGemini 2.0 Flash
三者三様、といえば聞こえは良いですが、結局どのタイトルがベストなのか、自分で元のエッセイを読んで、主題と主張、その裏付けを辿り直すしかありません。
最初から自分で英文を読んで、タイトルを付ける、またはタイトルを選び、その理由付けを英語で書くのが一番ですが、「言葉の使い方について説明、説得するテクスト」を英語で書く機会は多くはないでしょうし、このようにコンパクトな分量でまとめるのは大変です。
そこで、複数のAIの活用です。ある英文ライティングの「タイトル付けとそのリーズニング」を英語で出力してもらい、その英語表現と論理を比較検討することで、いったい何がその英文の肝中の肝なのかを考える良い機会、説明文・説得文の良い教材になるとも言えます。
英語学習や英語指導での
- テスト依存体質からの脱却
を訴え、授業実践を続け、様々なセミナーやワークショップを開催し、オンラインでの個別のライティング指導にも携わってきましたが、私が生きている間には、その花が開いたり、実が成ったりするのを見ることはなさそうな感じです。
それでも、私は私にできることを続けるだけです。
テストと言えば、今春の国公立大学の入試情報も出てきました。
今日は、大阪大学の第3問の所謂「お題型自由英作文」を取り上げます。
まずは、外国語学部の出題。
そして、外国語学部以外での出題。
これだけ違うと、同じ80語程度とはいえ、到底同じライティング力を診ているとは言えませんね。
「受験」の巷では、恐らく、グラフの方が注目されると思うのですよ。
- 阪大でもグラフ問題が出たよ!
みたいな。
でも、これって、何を意味しているのか、実際には曖昧なグラフですよ。受験生は戸惑ったり、悩んだりしたんじゃないでしょうか?
まず、
- 博士号取得者数の推移
と言った時に、「取得者」の属性が不明だもの。
- 米・中・独・日・仏・韓それぞれの国にある高等教育機関が出している博士号の実数の推移
とかならよくわかりますよ。
でも、このグラフの凡例などの基本情報が不明なので、
- その年に博士号を取得した米国人・中国人・ドイツ人・日本人・フランス人・韓国人の実数
なのかさえ、よくわかりません。
元の書籍を買うほどの余裕はないので、WEBで入手できる資料を見てみました。
今回の出題の出典として示されている、安宅和⼈『シン・ニホン』 (NewsPicks Publishing 2020) を基本資料として作られたスライドです。
地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議(2020/09/02)
日本の博士号取得者数は減少、世界的に異例. 博士号取得者数推移 (単位:人).
https://www.chisou.go.jp/sousei/meeting/chihoudaigaku_miryokujitsugen/pdf/r2-09-02-shiryo5.pdf
これを読んでも、以前として上述の疑問は残ったままです。
「国力」とか「人材」とか「人財(?)」とか、 "global competitiveness" みたいなものを論じるとしても、日本国籍を持つ者の取得者数とか全体に占める割合とかを示さないと何も言えなくないですか?
- 米国の高等教育機関はバンバン博士号を与え続けていて、優秀な人材をさらに世に出し続けているぜ!
なのか、
- 米国人で博士号を取得する人の実数が着実に増えていて、優秀な人材がますます世に出ているぜ!
なのかって、結構違いますよね?
- 中国では高等教育機関が与えている博士号そのものが急速に増えていて、優秀な人材をどんどん輩出しているぜ!
なのか、
- 中国人で博士号を取得する人の実数が急激に増えていて、優秀な人材がどんどん世に出ているぜ!
では中身は随分違うと思うのですね。
グラフの折れ線では最上位の「米国」、急激に上昇しているように見える「中国」という区分で考えるにしても、
- 米国と中国の高等教育機関で博士号を取得した者のうち、何%が日本人なのか?
が分からないと何も言えなくないですか?
また、日本の高等教育の国際水準を論じるのであれば、
- 日本の高等教育機関で博士号を取得した者のうち、何%を日本人が占めているのか?
- 日本人で博士号を取得した者のうち、何%が日本の高等教育機関で授与されたのか?
などがわからないと困りませんか?
その数値は何を表しているのか?考える上での指標が曖昧で貧弱なまま論じさせるのは感心しません。
ということで、出典にある出典情報から一次資料を探してみました。入試問題の出典にも、スライドにある出典情報にも
- NFS 「Science & Engineering Indicators 2018」
とあるのですが、実際の一次資料はなんと
Science & Engineering Indicators 2018. NSB-2018-1
National Science Foundation
http://files.eric.ed.gov/fulltext/ED604486.pdf
全部で1060頁もある資料です。
そして、そもそも、この資料を作っている機関は、
- (X) NFS
ではなく
- (○)NSF
でした。
大丈夫なんでしょうか、この入試問題で取り上げている資料を作った人って?
私の上述の疑問も、この一次資料では示されています。
米国での博士号取得者の出身地
博士号保持者の属性ごとの割合
アジア出身の博士号取得者の推移
今回の大阪大の出題で引用されていたグラフの数値はどこからどうやって集めてきてグラフにしているのかを確認するには時間がかかりそうなので、検証は諦めます。
代わりではないですが、上述の「地方大学」プレゼン資料のリンク先のスライドから、No. 45を引用します。
スライドで示される情報の多くが、このような「イメージ」や「フィーリング」に訴えるプレゼン資料なのですよね。
文科省で音頭を取っている各種委員会などでの「ポンチ絵」はよく批判的に言及されますが、大学入試でこのような資料に基づいて「論述」を求められるのですから、「通常の軸に乗らない人材」であることをアピールした受験生が高い評価を得ると考えていいのでしょうか?
新年度になってからの受験生による得点開示など、情報が得られた方は教えていただけると幸せます。
本日はこんなところで。
本日のBGM: Shade I’ll never see (Denison Witmer)
※2025年2月27日追記
大阪大の出題で使われた資料の作者安宅氏はちょっと前に、こんな対談に招かれていました。もう「やれやれ」とため息が出る感じ。
その「対談」より抜粋のこの部分。
これを今回の大阪大の出題で使われたグラフに当て嵌め、その出題の「狙い」を考えてみると?ってことですね。
「お前はいつもケチつけるだけか!」という声も聞こえてきたので、この問題への最適解としてはこちらの写真2枚分を読んでいただいて、その要約を英語で書けばよろしいかと。
2020年の安宅氏の資料に対して、2022年の内閣府主導の会議での安宅氏の意見(議事録)という壮大な後出しジャンケンですけど。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/sozo_mirai_wg/dai2/gijiroku.pdf
安宅氏はこの会議のWGの最初期のメンバー。
そして約半年後にはもう、そこにはいない!
流石です。
noteの方で、今回の大阪大学の出題の解答例を公開しています。
当該受験生も含めてご活用ください。













