ライティングの個別指導では「ナラティブ」を基本として、テクストタイプ別の教材・課題を扱っていますが、その中で「お悩み相談」「人生相談」を定番の教材としています。
話型としては、相談者は時系列に沿って出来事や言動を語り・描写し、問題点を提示。回答者は、それを受けて助言・忠告をする、というのが典型。
そんな「お悩み相談」ではありませんが、次のようなパーソナルナラティブは、十分「教材」になるのではないかと思います。
"I’ve turned down proposals from two guys, and I’m so glad that I did. The first was a cop I was dating, and while he was probably one of the best guys I ever dated, I always felt uneasy with his job and knew I couldn’t ever let the happiness be greater than the worry. He deserved to have someone who would be his rock and in his corner confidently, and that wasn’t me.
"The second guy was the worst guy I ever dated. There were multiple red flags and mental and physical abuse. He was super possessive, and he only proposed with the most lavish ring to control me even more. He invited me to an elaborate proposal I knew about, and I didn't go. It felt so liberating to just shut him out. I'm now married to the most amazing man in the world, and guess what? No proposal! We knew it was meant to be on our first date, and we told each other when we’d like to be married!"
—BuzzFeed User
www.buzzfeed.com
「私は2人の男性からのプロポーズを断ったことがある。一人目は私が付き合っていた警官で、彼はおそらく私がこれまで付き合った中で最高の男の一人だったけれど、私はいつも彼の仕事に不安を感じていて、幸せが不安より大きくなることはあり得ないと思っていた。彼には彼の支えとなり、自信をもって彼を支えてくれる人がいて当然で、それは私ではなかった。
2番目の男は、私がこれまで付き合った中で最悪の男だった。赤信号がいくつもあって、精神的、肉体的虐待もあった。彼は超独占欲が強く、私をさらに支配するために、最も豪華な指輪でプロポーズしただけだった。私が知っている手の込んだプロポーズに誘われたけど、私は行かなかった。彼を締め出すだけで、とても解放された気分になったわ。私は今、世界で最も素晴らしい男性と結婚しています。プロポーズはなし!最初のデートで運命の相手だとわかったし、いつ結婚したいかもお互いに伝えたわ!」
- BuzzFeedユーザー
現実には人生の中で何度もプロポーズを断るという経験を持つ人はそれほど多くないでしょうが、ドラマとなると話しは別です。
歳をとる前からTVは結構見る方ですが、地上波よりも、BSで時代劇を見ることが多いです。
先日たまたま妻がキッチンにいる環境で、『大江戸捜査網』を見ていたときのこと。
- きちんとした日本語だねぇ。
というような言葉が耳に入ってきました。時代劇ならではのセリフ回しをそう感じた模様。
まぁ、イマドキのドラマと比べれば確かにそう聞こえるだろうな、と。
その回の、とある女性のセリフで、
- 私と所帯を持ちたいって男は、掃いて捨てるほどいるんだからね!
と、煮え切らない男性に言う場面があったのですが、妻はその日本語が大層気に入ったらしく、「英語で言って、英語で!」というので、
- 結婚を申し込んでくる男性が多すぎて、ひとりずつ全員に断るのが大変なくらいだ。
というような説明的な表現をするんじゃないかね、と言ったら、「何それ、面白くない。『掃いて捨てる』だよ!」と不満気でした。
ということで、身近な英語ネイティブに聞くよりも複数の生成系AIに、ということで、次のような投げ掛けをしてみました。
女性Aは男性Bのことが好きで、男性Bも女性あのことが好きだが、なかなかプロポーズをしてくれないことに苛立つ女性Aが、男性Bの決心を急かす目的で、次のセリフを言うとしたら、英語ではどう言うのが一番自然ですか?できる限り自然な英語に直してください。
1. 「断るのが大変なほど多くの男性が私に求婚してくる。」
2. 「私と結婚したいって言う男性は掃いて捨てるほどいるの。」
Copilot の回答
なるほど、それは女性Aが男性Bの決心を急かすために使うセリフですね。できる限り自然な英語に翻訳してみました。
1. "I have so many men proposing to me, it's hard to keep track!"
2. "There are so many men who want to marry me, I can't count them all."どちらの表現も、女性Aが多くの男性から求婚されていることを示し、男性Bに対して急がなければならないというプレッシャーをかける効果的なセリフです。これで状況に合った自然な英語表現を使えます。これで大丈夫でしょうか?他にもお手伝いできることがあれば教えてください。
今一つですね。
Gemini 2.0 Flashの回答
女性Aが男性Bにプロポーズを促すために言うセリフの自然な英語表現についてですね。
1. 「断るのが大変なほど多くの男性が私に求婚してくる。」
このセリフを直訳すると、"So many men propose to me that it is difficult to refuse." となりますが、ネイティブスピーカーが使う自然な英語としては少し不自然です。より自然な英語にすると、以下のようになります。• "I have so many guys asking me out, it's hard to keep track."
• "I've been getting a lot of proposals lately."
• "My phone's been blowing up with guys asking me out."これらの表現は、遠回しに「私には多くの魅力的な男性がいる」ことを伝えつつ、男性Bにプレッシャーをかけるニュアンスを含んでいます。
2. 「私と結婚したいって言う男性は掃いて捨てるほどいるの。」
このセリフも直訳すると、"There are so many men who want to marry me that I can throw them away." となりますが、英語ではこのような直接的な表現はあまり使いません。より自然な英語にすると、以下のようになります。• "I have guys lining up to marry me."
• "I have no shortage of guys who'd love to marry me."
• "I could get married tomorrow if I wanted to."これらの表現は、「私には結婚したいと思う男性がたくさんいる」ことを強調し、男性Bに危機感を抱かせる効果があります。
これらのセリフは、あくまで女性Aが男性Bにプロポーズを促すためのものであり、実際に多くの男性から求婚されているかどうかは関係ありません。
随分マシになってきました。
Claude 3.5 Sonnetの回答
これらの表現を自然な英語に直してみましょう。どちらも同じような意味を持ちますが、少しニュアンスの違う複数の言い方があります:
1. 「断るのが大変なほど多くの男性が私に求婚してくる。」の自然な英語表現:
- "I'm getting so many marriage proposals, I can hardly keep up with turning them down."
- "I've been having to turn down marriage proposals left and right."
- "I'm getting tired of saying 'no' to all these men who want to marry me."
2. 「私と結婚したいって言う男性は掃いて捨てるほどいるの。」の自然な英語表現:
- "I have men lining up to marry me."
- "I could have my pick of guys who want to marry me."
- "There's no shortage of men who want to marry me."
これらの中で、特に効果的なのは:
"I've been having to turn down marriage proposals left and right."
このフレーズが最も自然で、かつ間接的に相手を焦らせる効果があります。"left and right" という表現は「あちこちで」「次々と」という意味で、カジュアルながら洗練された言い方です。相手の嫉妬心をあおりつつ、自分の価値の高さを示唆する効果がありますが、あまり攻撃的ではない表現となっています。
なるほど。“have to 原形” を現在完了進行形で用いるアイデアは、私にはありませんでした。
この記事をお読みの方も、もし、このような場面に遭遇することがあれば使ってみて下さい。
今日の気になる語法は
- have to 原形
です。
- 「おいおい、そんな当たり前の表現を取り上げてどうするよ!」
と思う方は、先ほどの、
- "I've been having to turn down marriage proposals left and right."
という表現が口からスラスラ出てくるか、自問自答してみて下さい。
「英文法」としては、一般には「助動詞」の項目で学ぶものとされているのではないかと思いますが、実際には、一般動詞と同様に時制や人称での活用もしますし、willやshouldなどの法助動詞(私の実践で言えば「横綱の助動詞」)の後にも続くことが出来ますので、私は「準横綱」ということもあります。
Tough decisions will have to be made before it gets too late.
手遅れになる前に、厳しい決断を下さなければならないでしょう。
主語となるはずのyou/we/Iなどが隠れることで、責任の主体を前面に出さずに済むことを確認。主観的な「圧」を減らす意識が受け身を選択させる例ですね。
Father of 21-year-old LSU student shot in car speaks out: 'I should never have to plan a funeral for my child'
Father of 21-year-old LSU student shot in car speaks out: 'I should never have to plan a funeral for my child' https://t.co/gJxRbh5PQz
— Fox News (@FoxNews) 2022年9月20日
車内で撃たれたルイジアナ州立大学の21歳の学生の父親が語る。「子供の葬儀を計画しなければならないなんて、あり得ない」
「そんなことがあってたまるか」のshould never have to原形。客観的な捉え方を、主観が受け付け(てはいけ)ない、という場面・生息域での表現。ここでのshotは、いわゆる過去分詞の後置修飾。この文の主語はFather動詞はspeaksであることを確認。
No woman should suffer needlessly from a preventable condition like fistula, yet an estimated 500,000 women and girls live with it globally.
No woman should suffer needlessly from a preventable condition like fistula, yet an estimated 500,000 women and girls live with it globally.
— United Nations (@UN) 2022年5月22日
On Monday's #EndFistula Day, see what @UNFPA is doing to help women overcome this devastating childbirth injury: https://t.co/ygoNqfQcpr pic.twitter.com/31kAZbJrJN
瘻孔(ろうこう)のような予防可能な病気で女性が不必要に苦しむべきではないのに、世界中で推定 50 万人の女性と女児がこの病気に苦しんでいます。
<no名詞 should needlessly原形>はshould not have to 原形のバリエーションとして整理しておくのが吉。必然性を認めない強い主観の表明。非難や異議申し立ての文脈。suffer fromの目的語は「単発ではない持続する、繰り返すもの・こと」。
一般動詞の持つ特徴を残している、という点では、動詞の目的語として動名詞の形をとったり、前置詞に続いて動名詞の形をとる、ということがあげられます。
拙著 『チャンクで積み上げ英作文』ではStandard編で
- あなたがその心配をしなければならないこと you having to worry about it
- 残業をする必要がないこと not having to work overtime
を収録しています。後者は否定文脈で「不必要」を表すものですね。
辞書でもこの動名詞としての用例は多く見られるのですが、助動詞的have to 原形についての注記はほぼありません。
He hated having to explain that.
彼はそれを説明しなければならないのが(面倒で)いやだった. (Wisdom英和)
彼女は一人で留守番をしなければならないことに怒っていた
She was angry about having to stay at home alone. (G和英)
入試の素材文でも見られます。
A sense of conflicting identities may result from tensions between having to be a student, a parent, and an employee at the same time: these are examples of the multiple identities which people have.
学生であり、親であり、同時に従業員でなければならないという緊張から、アイデンティティの衝突を感じることがあります。これらは、人々が持つ複数のアイデンティティの例です。
betweenが前置詞で、それに続くhave to は動名詞のhaving toになっています。
“have to 原形” の否定は “don’t have to 原形” で「不必要」を表すのですが、否定の文脈を作るwithout に続いて同じく「不必要」を表します。
拙著 『チャンクで積み上げ英作文』のStandard編では、
- 将来を憂うこともなく without having to worry about the future
というチャンクを収録して、少しでも慣れてもらう配慮をしています。
この電車は千葉まで乗り換えなしで行ける
You can take this train to Chiba without having to change trains. (G和英)
ただでさえ夏で暑いのにスーツを着てネクタイを締めなくてはならないなんて。
This summer heat is bad enough as it is, without having to wear a suit and tie. (O-LEX和英)
彼女は振り向かなくても自分の後ろで何が起きているかを感じ取っていた.
She registered what was going on behind her without even having to turn her head. (研究社和英大)
意味上の主語つきの動名詞となることもあります。
You should offer to help without me having to ask.
私がお願いしなくても手伝いましょうかと言ってくれなくては. (コンパスローズ)
入試問題の素材文でもかなりの頻度で出てきます。
Time and money well spent means kids gain more from their schooling without having to spend too much time in the classroom.
時間とお金を有効に使うことで、子供たちは教室で過ごす時間を増やさなくても、より多くのことを学べるようになります。
Leaving aside the issue of whether this is good or bad, people clearly want to purchase things without having to talk to others.
これが良いか悪いかという問題はさておき、人々は明らかに他人と話さずに物を購入したいと思っている。
これは、「自動販売機天国」の日本の状況を取り上げた英文。
Children who see that their parents are afraid of bathing in a particular river can infer that the river is dangerous without having to test it out for themselves.
特定の川で泳ぐことを両親が恐れているのを知っている子供たちは、自分で試すことなくその川が危険であると推測することができます。
bathe in a river は単なる水浴びではなく、「川で泳ぐ」ということ。
The structure is also helpful as it allows busy readers to skim the beginnings of the stories and find out the core information without having to read the whole story.
この構造は、忙しい読者が物語の冒頭をざっと読むことで、物語全体を読むことなく核心的な情報を把握できるため、役立ちます。
新聞の紙面構成について言及した文。
焦点化される補語の位置を動名詞が占めることがあり、having to 原形が用いられることもあります。
One of the worst things about living in Osaka is having to suffer through the blazing summer heat.
大阪で暮らすことの最悪な点の一つは、猛暑の中で耐えなければならないことです。
The only strong memory I have of studying poetry before college is having to engage with a poem.
大学入学前に詩を学んだ強い記憶として唯一あるのは、詩と向き合わなければならなかったことです。
見た目の語句としては同じですが、have to 原形が進行形で用いられる場合もありますので、一つ一つ丁寧な扱いが必要です。
かつての無計画な宅地開発のつけが今の世代に回ってきた
The current generation is having to pay for the haphazard residential development of the past.
(O-LEX和英)
The government is having to introduce some difficult changes, particularly in moving over to a market economy.
政府は特に市場経済への移行の際に,いくつかの困難な変化を導入することを余儀なくされている. (COBUILD米語英英和)
ここまで見てきたように、主文の主語と動名詞の意味上の主語が同じ場合は日本語表現との対応もしやすいのですが、次のような例では、日本語で、 “have to 原形” の必然性が感じ難いので注意が必要です。
いちいち指図されなくてもそれくらいのことは自分の頭で考えてやれ.
Figure things out for yourself without having to be told what to do at every step. (研究社和英大)
この「受け身」が続く例は、次のような過去形の場合・場面に対応することが多い印象です。
She was very sick and had to be put to bed.
彼女は酷く体調を崩していたので、ベッドに寝かせられ(ることになっ)た。
文字通りには「寝かせなければならなかった」だけれども、日常の日本語では、上記和訳のうち、( )のない表現で対応していることが多いと思われます。
助動詞のhave to の過去形 had toでの注意点は、「限りなく事実に近い言動」を表す、」ということです。「そうせざるを得なかったので、そうした」という部分を確認。
A couple was injured and had to be airlifted out of a Solano County park over the weekend after they fell while trying to hoof it from an ornery cow, authorities said.
A couple was injured and had to be airlifted out of a Solano County park over the weekend after they fell while trying to hoof it from an ornery cow, authorities said. https://t.co/KzaZ3yF7n0
— Los Angeles Times (@latimes) 2020年8月11日
週末、ソラノ郡の公園で、怒った牛から逃げようとしたカップルが転倒し、負傷して空輸されたと当局が発表した。
和文英訳でも日本文に「ねばならない」があるとhave to原形が使えるのに、上の例文のような日本語訳から、元の英文が作れる学習者は少ないので、頭の隅に置いておくのが吉。
COBUILD米語英英和は、次の用例を収録していて流石です。
Hayley contracted tuberculosis and had to be put in an isolation ward.
ヘイリーは結核に感染し,隔離病棟に移され(なければならなかっ)た.
過去基準時での受け身の実例を追加。
An employee at the Cincinnati Zoo employee had to be hospitalized after she was bitten by a highly venomous rattlesnake on Thursday, the zoo said in a statement obtained by CBS affiliate WKRC.
An employee at the Cincinnati Zoo employee had to be hospitalized after she was bitten by a highly venomous rattlesnake on Thursday, the zoo said in a statement obtained by CBS affiliate WKRC. https://t.co/DeXIwNbnWO
— CBS News (@CBSNews) 2023年10月21日
シンシナティ動物園の職員が木曜日に猛毒のガラガラヘビに噛まれ、入院を余儀なくされたと、CBS系列局WKRCが入手した声明で動物園が明らかにした。
一般動詞と同様に、完了形となることがありますが、日本語表現との対応は結構面倒です。
Besides wreaking havoc on domestic flights, the computer failure severely disrupted travel into Britain. And since planes were being held at their departure gates, there were no places for the incoming aircraft to park and unload passengers. "Most of our aircraft stands are full, so we have had to limit the amount of flights coming in," said a Heathrow spokesman.
U.K. Air Computer Glitch Strands Thousands - The New York Times
国内線に大混乱をもたらしただけでなく、コンピュータの故障はイギリスへの旅行にも大きな支障をきたした。飛行機が出発ゲートで待機していたため、到着する飛行機が駐機して乗客を降ろす場所がなかったのだ。ヒースロー空港の広報担当者は、「ほとんどの航空機が満席のため、入国するフライトを制限せざるを得ませんでした」と語った。
最終文の引用符内で、“we have had to limit” と現在完了となっているけれども、日本語訳ではその部分が前面には出ていないことに注意。
一般動詞の動名詞と同様に、完了形の動名詞となることもあります。
Elena was annoyed at having had to wait so long for him.
エレナは彼に長々と待たされたことに腹を立てた. (COBUILD米語英英和)
ここでも、日本語訳から英語表現への反訳は簡単ではありません。
たかが “have to 原形” とタカをくくらず、ひとつひとつ丁寧に扱ってほしいと私が願わなくてもいい日は訪れるでしょうか?
Will the day come when I can teach “have to + base form” without having to hope it's treated with proper care and attention?
本日はこの辺で。
本日のBGM: Theme from “Love Story” (Francis Lai)