今シーズンも、オンラインのライティング個別指導を続けています。
新年度の4月からではなく、2月、3月から受講開始を希望する方の受付を近々開始します。募集は若干名となりますので、この機会に是非ご検討下さい。
受験生以外の一般の方の受講が多いのは「テクストタイプ別」ライティングになります。
現在、大学入試対策以外で、英文ライティングや和文英訳を学んだり、スキルを磨き、伸ばしたりする機会はとても少なくなっています。
かつては、研究社の『英語青年』に和文英訳演習があり、特にノービスとエリートが分けられ、「高等科」が独立していた時代は高いレベルで和文英訳を磨くことが出来たことだろうと思うのです。私が読んでいた時期でも、2000年代では、成瀬武史先生の連載からは多くを学びました。大修館の『英語教育』でも、田邊祐司先生が連載を持っていた頃の出題と、その捌き方には唸ることが多かった記憶があります。
私が開講している「テクストタイプ別ライティング」でも、中級編では、和文に基づく英文ライティングの課題を設定しています。
そもそもが、英検やTOEFLなどの検定試験対策を謳っていない講座ですので、次のようなおおまかな課題設定、シラバスとなっています。
初級編、中級編とも初回のガイダンスで受講者のレベルやニーズを把握し、教材や課題のカスタマイズはしていきますが、定番の課題は上記のようなものになります。
今日は、そのうち「中級編・後期」の「ナラティブ」の課題で課している、
- ある物語の、前 or 後を書く
という課題のサンプルを過去の受講者の許可を得て匿名にて。
受講者から提出された「ナラティブ作品」に対して、次のようなフィードバックを与えています。
誤りの訂正だけがフィードバックではない、ということが分かってもらえるでしょうか?
当然、オリジナルの物語 (この場合は新美南吉による児童文学作品がベース)がありますから、いくら受講者の創作とは言え、時代や場面、登場人物(動物?)の設定 (= setting) が突拍子のないものになってはダメだし、episodeでの展開や結末など、オリジナルが活かされないと、魅力ある「語り」とはなりません。
また、検定や資格試験などでは、とかく「美辞麗句」で飾った表現をちりばめたり、大袈裟な語彙選択をしたり、と「無駄な背伸び」が見られますが、ナラティブのクオリティを高めるのは、徹底的に「語り」と向き合うことですから、平明で易しい語彙選択、構文選択であっても、いやむしろ、平易なことばを選ぶからこそ、語りを成立させる「ことばづかい」は難しくなります。
裏返せば、argumentativeなエッセイを書くことからは得られない充実感、達成感がある、ということでもあります。
ナラティブを磨く機会はなかなかないのが現状なので、この講座を活かしてもらえればと思います。
上述の私からのフィードバックには適宜、修正の代案や比較検討して欲しい言い回しを記していますが、直接解答例を示してはいません。そこから先は受講者がフィードバックを見ている状況で、次回のオンラインのセッションで直接やり取りをして、「書きたかったけど書けなかったこと」や「そもそも思いついてもいなかったこと(表現、情報の流れ、構成を含む)」を確認しています。
それを経ての見直し、書き直しになりますが、今では生成系AIのサポートが得られますので、WCF (= Written Corrective Feedback) を踏まえた上での書き直しを複数の生成系AIに求め、その出力結果を受講者にも示しています。
上述の「小説前後」の課題は「創作」の要素も大きいので、そもそも「模範解答」などないのですが、身近なナラティブで、200〜300語程度のつながりまとまりのある良質の英文、というのは市販教材ではそれほど多くないのもまた現状なので、この生成系AIからの出力も、参考資料としての意味は大きいものです。
次の英文は、私からのWCFを踏まえた上でのClaudeの書いたrevised versionです。
こちらは模範解答として暗唱するなどといったことは全くやりません。
模範としてではなく、こちらもオンラインのセッションで、私と受講者とのやり取りで学ぶべきところ、検討後却下していいところなどを確認しています。
正式募集開始まで今暫くお待ち下さい。
本日の気になる語法は、上で示した私のフィードバックの中にもあった、
- Seen from で始まる文のメインの動詞
です。
写真でアップしたところを再掲します。
イントロの分詞構文の動詞と、メインの動詞の両方が「視覚」に関わる場合の処理。
(△) Seen from behind, everybody looks the same. 後ろから見ると, みんな同じに見える. (G6)
(○) From behind, everybody looks the same. 後ろからだと, みんな同じに見える.
(○) Seen from the plane, those islands were small but really beautiful.
飛行機から見ると、その島々は小さいものの、非常に美しかった。
このタイプの文頭の seen from を受ける、メイン(主節)の動詞が、 lookになっているのは、どうにも感心しない。英語ネイティブの話す(書く)英語にも見られるが、 seen といっている以上、見た目の話しなのである。
どういうわけか、大学入試過去問で作られた精選問題集によく出てくる印象なのですが、どうにも感心しない用例が多いのです。
Seen from a distance, the huge rock looked like a human face.
遠くから見ると巨大な岩は人間の顔に見える。
Seen from an airplane, the lake looks like a huge doughnut.
飛行機から見ると、その湖は巨大なドーナッツのように見える。
Seen from this angle, the mountain looks like an old man.
この角度から見ると、その山は老人のように見える。
メインの動詞でlook like を使うだけだったら、イントロは前置詞fromだけで十分でしょ?
特に最後の例などは、「どこがどう老人に似ているのか?」という記述がなければ情報としての価値は殆どありません。
この “seen from” など、seen + 前置詞句でのイントロで導く主文の内容は多くの場合、価値判断や詳細な描写形容でしょう。
近年の出題では多少改善されているとも言えるのですが、その一文での情報価値はそれほど高くないので、その前後とのつながりが重要な意味を持ってくるはず。でも、テストではその一文だけで問われるという、なんとも生産性の低い出題になっています。
Seen from the plane, the islands were very pretty.
飛行機から見ると、島々はとても美しかった。
Seen from the top of the mountain, the stars looked very beautiful. I cannot forget that wonderful night sky.
山頂から見ると、星はとても美しく見えた。私はあの素晴らしい夜空を忘れられない。
Seen from the plane on the second day of our trip, Mt. Fuji was so beautiful that I took a lot of photos.
旅行の2日目に飛行機から見た富士山はとても美しく、たくさん写真を撮りました。
次の例などは、主文が「見た目」の話しであっても許容範囲ですかね。
Seen from this side, they are at first glance very similar indeed.
こちら側から見ると、その二人は初見では本当にとてもよく似ている。
Seen from the bottom, the building seemed to climb to the clouds.
下から見ると、その建物は雲に向かってそびえているように見えた。
かなり昔の出題でも、価値判断で適切な生息域のものもありました。
Seen from this point of view, the matter is not as serious as people generally suppose.
この観点から考えると、その問題は一般に考えられているほど深刻ではない。
こういうのをもっと見せておいて欲しいんですよね。
英語ニュースから実例を。
But most striking are the houses. Seen from above, Lake Charles is dotted with blue tarps; from the street, residential blocks are punctuated by crumbled brick facades.
https://finance.yahoo.com/news/government-failing-americans-uprooted-calamity-142428001.html
しかし、最も印象的なのは家々です。上空から見ると、レイクチャールズは青い防水シートで点在しており、通りから見ると住宅街は崩れたレンガの外壁が目立ちます。
Approached from the side, it was evidently a large ovoid bulge that extended seamlessly from the wall, at head height. Seen from the front, the bulge was much harder to detect: it seemed to have been absorbed back into the wall.
www.newyorker.com
横から近づくと、それは明らかに壁から頭の高さで滑らかに突き出た大きな卵形の膨らみだった。正面から見ると、その膨らみははるかに見つけにくく、壁に吸収されてしまったように見えた。
Symmetry and asymmetry are fundamental properties of nature. Seen from above, butterflies have left-right symmetry, while male fiddler crabs show dramatic asymmetry. This is also the case for the fundamental units of life: cells. They control the symmetry of their internal structures to regulate all biological functions.
phys.org
対称性と非対称性は自然の基本的な特性です。上から見ると、蝶は左右対称ですが、オスのシオマネキは劇的な非対称性を示します。これは生命の基本単位である細胞にも当てはまります。細胞は内部構造の対称性を制御して、すべての生物学的機能を調節します。
ソーシャルメディアからも。
This breathtaking new art museum sits on a lake in Hangzhou. Seen from above, the Yohoo Museum, designed by @Aedas forms two interlocking jade rings, nodding to the precious mineral that’s been used in important rituals since ancient times.
This breathtaking new art museum sits on a lake in Hangzhou. Seen from above, the Yohoo Museum, designed by @Aedas forms two interlocking jade rings, nodding to the precious mineral that’s been used in important rituals since ancient times.
— The B1M (@TheB1M) 2025年1月23日
The museum’s island is accessed from… pic.twitter.com/8tteQwie97
この息を呑むほど美しい新しい美術館は、杭州の湖畔にあります。上から見ると、 @Aedasが設計した Yohoo 美術館は、2 つの翡翠の輪が絡み合った形をしており、古代から重要な儀式に使用されてきた貴重な鉱物を彷彿とさせます。
実例で多く見聞きするのは、名詞の修飾語句としても使われる “as seen from” ですね。
A rare blue super moon aka Sturgeon Moon rises over the Golden Gate Bridge, SkyStar Wheel at Fisherman’s Wharf and the Oakland Coliseum as seen from Marin Headlands in Sausalito.
A rare blue super moon aka Sturgeon Moon rises over the Golden Gate Bridge, SkyStar Wheel at Fisherman’s Wharf and the Oakland Coliseum as seen from Marin Headlands in Sausalito. 📷: @scottstrazzante pic.twitter.com/lXuAo2lDdd
— San Francisco Chronicle (@sfchronicle) 2024年8月20日
珍しい青いスーパームーン、別名スタージョンムーンが、ゴールデンゲートブリッジ、フィッシャーマンズワーフのスカイスターホイール、そしてサウサリートのマリンヘッドランズから見たオークランドコロシアムの上に昇ります。
A mellow evening sun casts a golden glow over the Kathmandu Valley and distant mountains, as seen from Kirtipur on Thursday.
A mellow evening sun casts a golden glow over the Kathmandu Valley and distant mountains, as seen from Kirtipur on Thursday.
— The Kathmandu Post (@kathmandupost) 2025年1月24日
PHOTO by: @AngadDhakal pic.twitter.com/RakcExo4w1
木曜日、キルティプルから見た穏やかな夕日がカトマンズ渓谷と遠くの山々に金色の輝きを投げかけている。
この "as seen from ..." は、もっと気にしておいて然るべきだと思いますね。asのところに whenがくることもありますけど。
As seen from a practical view, the situation presents several problems.
実際的な面から見ると,その事態にはいくつかの問題がある. (ランダムハウス英和)
評価ですね。
次は名詞の後置修飾の例。
the earth as seen (=as it is seen) from a spacecraft
宇宙船から見た地球 (コンパスローズ英和)
最後は、COCA系からNOWコーパスでの検索結果で締めておきましょう。
Seen from の文頭縛りで比較的新しいものを70例ほど。
こうして眺めてみると、メインの動詞に「視覚系」動詞がくる例は少ないことが実感できるのではないでしょうか?
そろそろ、テストも教材も、見直していい時期ですよね。
☆2025年2月1日追記
例によって、英語表現そのものについての記事は関心が薄いみたいですが、多くの指導者が、この項目をテストで出題して、その正解・不正解によって英語が出来る・出来ないを決めているんじゃありませんか?
メインの動詞にlookを使うのなら、文頭になくてもOKのseenを文頭で書かせるのは本当に見直してほしいんですよ。そもそも四択の問題でseeingとかを見せておいて、seenを選ばせようとするから混乱するのでは?
米語だけの検索結果ですが、seenなしでFrom a distance(1枚目位から3枚目)と Seen from a distanceでこのくらいの差ですから。
どちらも多くが小説。均衡コーパスのCOCAで、 文頭が From a distanceで始まり、メインの動詞にlookがくるもの。
文頭のSeen from a distanceだと僅か1例。しかも30年以上前。
「教えるな」とまでは言いませんが、なくても良いSeenを敢えて書かせる必然性は何なのかを教えてほしい。
しかも、それを教えるのに、beingの省略とか、接続詞 +SVの復元とかいった手順を経るのは、本当に見直してほしい。
「そんなことで英語が出来る・出来ないを決めてもらっちゃ困る」と、15歳の&18歳の松井少年も思ったことでしょう。
本日はこの辺で。
本日のBGM: from above (Ben Folds)









