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♪ 真実はどこにでもある ♪

『チャンクで積み上げ英作文』のStandard編では「同格」に関わる表現を類型化し、名詞のチャンクとしてドリルにして取り上げています。

個人的には、金子稔氏の著作に親しんでいたので、教壇に上がる頃には、所謂「同格のthat節を取ることができる名詞」は理解し、身につけていたとは思うのですが、高校生用の教材では兎角、

  • ごく一部の名詞が示されるだけで、「詳しくは信頼の置ける辞書で確認せよ」という無責任な記述

となっていることが多く、肝心な辞書を繙くと、どこかの名詞に寄せて、

  • 囲みなどで「同格のthat節が取れる名詞」がリストされているだけで、名詞チャンクとしての用例がない

ことが多いのが不満でした。
例えば、『アップグレード』(数研出版、4訂版、2024年;以下U)では、 収録された練習問題は2題のみで、解説頁に、“idea”を始めとして、合計24の名詞が囲みで示されて日本語訳が添えられているだけです。
同じ類いの教材で『ヴィンテージ』(いいずな書店、3訂版、2018年;以下V)では、やはり囲みで名詞が列挙され、訳語が添えられているが、名詞の総計は29語。
UにあってVにない語は、

  • dream, condition, ground(s)

の3語。
VにあってUにない語は、

  • complaint, report, theory, conclusion, expectation, information

の6語。
『チャンクで積み上げ…』 のStandard編で扱っている「同格のthat節を取ることができる名詞」は、ドリルで17語。
ハナから網羅は意図していません。その代わりに、全てthat節以下の「中身」のイメージや実感が持てるようなチャンクを精選し、配列しています。
その他、伝達系の動詞の -ing形で名詞の後置修飾として、その-ing形に続けてthatなどの名詞節を取るパターン、名詞 of +(意味上の主語)+ -ing形を取るパターンを合わせて、45のチャンクをひたすらドリルする教材です。

ある程度は規範的に押さえておいて、実態に即して柔軟に対処、というのはこのテキスト全編を通じて意識したことです。
例えば、

  • コーチが解任されるという噂話 a story that the coach will be dismissed
  • オリーブオイルが脳卒中予防に役立つという話し a story saying that olive oil helps prevent a stroke

では、story = gossip の意では同格のthat節を取るが、「話し」という意味では同格のthat節を取らずに、伝達動詞の後置修飾から展開、というのが私の世代が身につけた英語の語法ですので、ドリルではそれを示しています。

そして、

  • 犬を飼うのが健康に良いという証拠 evidence that owning a dog is good for your health
  • 努力は報われるという実例 living proof that efforts will pay off
  • 正直は最善の策という実例 an example of the fact that honesty is the best policy
  • 人は見かけによらないという好例 a good example of how appearances are deceptive

など同格のthat節が取れそうで取れないものの落とし所も押さえています。 evidenceやproofは原則不可算扱い、というところも重要なポイントかと。that節を取る動詞や形容詞の派生名詞に、同格のthat節を取るものが多いとは言え、やはりひとつひとつ押さえていくしかないところでしょう。proofは対応する動詞proveが他動詞ではthat節を取ることが可能ですが、evidenceに対応する動詞は?evidence 「立証する」だとかなりフォーマルな語になるので、むしろ発達段階としては、こちらの方が後かと。形容詞のevidentがthat節を取り得るのは、形式主語を立てた環境なので、awareやconsciousなどと同列には扱えません。また、動詞proveの使用頻度と発達段階を考えた時に、

(COBUILD 第10版より)

に見られるように、使用頻度では、SVCの動詞型を取る、学校文法で言う「自動詞」の用法が優勢だけれども、CEFRのランクではB2の習熟度で、that節を取る、所謂「他動詞」の用法は、使用頻度ではその下。でも、CEFRのランクではB1+ と自動詞用法よりは先に習熟が見込まれることが窺えます。

ということで、今日の「気になる語法」は、

  • 動詞prove の界隈

です

大学入試で求められるproveに関する知識といえば、

  • prove ≒ turn out

の用法で「(時系列;時間差で)…になる;…であることが分かる」というものでしょう。

The man who I thought was you proved to be a stranger. 君だと思っていた人が実は全くの他人だった。
Everything will prove to be all right in the end. 最後には万事上手くいくよ。
That gas proved poisonous. そのガス(気体)は有害だ(ということがわか)った。
When I first went white-water rafting, on the island of Bali, I was not expecting the experience to prove so very enjoyable.
バリ島で初めて急流ラフティングに挑戦したときは、こんなに楽しい体験ができるとは思っていなかった。

などの例は、教材でもよく見かけるでしょう。補語となる形容詞や名詞句を示すのに、to beがないことが多い印象ですが、上に引いた例のようにto原形が続くこともあります。
COCAでザックリ見ておきましょう。

to be + 形容詞

形容詞直接

これだけ頻度に差があると、もはや「省略」ではなく、ない方が普通、という感覚では?

一方、次のような例は注意が必要です。

住民の賛成を得るのはなかなか難しい
It is proving rather difficult to win the approval of the local residents. (O-LEX和英)
Lack of funds is proving a serious hindrance to progress in that field of medicine.
資金不足が医学のその分野の発展には大きな障害になりつつある.
These insects are proving troublesome to farmers.
これらの虫は農民にとってやっかいなものとなってきている
(以上『研究社英和活用大』)
It is proving hard to work out the value of bankrupt companies’ assets.
企業の資産価値を算出するのが難しくなっている. (COBUILD米語英英和)
Unemployment was proving to be an intractable problem.
失業は対処の難しい問題だと判明しつつあった (Oxford類語)

進行形も可なんですが、英和辞典では用例が少ないですね。

受け身もあり、ということはもっと知られてもいいですね。
Hall & Oatesの “Did it in a minute”  にこんな歌詞がありますから。

Everybody always laughs at love. But what they want is to be proven wrong
みんないつも「愛なんて」とバカにするけれど、本当は、考え違いをしていたって証明してほしいんだ。

対応する能動態は?とか操作する前に、この流れで感じ取れることが大事。
随分前の過去ログのタイトルでも使っていました。

2009年5月31日
I don’t want to be proven wrong.
tmrowing.hatenablog.com

次は、意味内容と「時系列;時間差」を掴むことが重要な例。
今はなきマクミランの米語辞典にありました。

His injuries proved fatal. (= he died because of them) (MED)

これは英英辞典でも英和辞典でもパラフレーズがないと誤解するかも知れません。

  • 彼の負傷は致命傷となった=その怪我がもとで彼は死んだ。

「負傷した時点A」と「死亡時のB」に時間の隔たりがあり、Bの時点で死因を考えると、その因果関係はA時点での負傷に戻る、ということですね。
COCAから比較的新しいところを引いておきます。canで潜在性、willでこれからのことにも使えることに注意が必要です。

このような動詞としての用法で気になることに加えて、活用形で気になっているのが、所謂「過去分詞」の扱いです。
proveの過去形はprovedでOK。では「過去分詞」は?
多くの辞書や教材では

  • proven (主として米語法)

のような扱いではないでしょうか?

W vs G6

provenに「主に米」注記。

COBUILD米語の新旧比較

米語に特化した辞書が両方アリと明記しているのですね。

OALD vs Oxfordアカデミック

これは同じ扱い。ただし、米語法に言及するのではなく、「英では、provedが普通」という注記。

興味深いのは次の記述。

Collins 一般用vs MW’s 一般用

Collinsにある、「proven (主として他動詞で)」という注記は、他ではみられないのでは?
MW’sでは、一大コラムで、50-60年前の調査(provedの頻度が約4倍)に異義を唱え、今ではprovedもprovenも同じくらいの頻度だと示しています。

今から50年前というと、1970年代。まだコンピューターでコーパスの分析が活用できる「前夜」ですよね?
その頃に示されていた元の資料、データって何でしょう?
ご存知の方、お知らせ下さい。

私の手元の資料では、Garnerの語法書に、provedとprovenの考察があります。

2022年版では、proved : proven = 2.4 : 1 です。

旧版の2016年版では 4:1!

Garnerは、「法律用語で innocent until proven guiltyという表現に、過去分詞としてのprovenは生き延びている」というようなことを言っていますが、Longmanのコロケーション辞典にある用例を見ると

  • The law states that you are innocent until proved guilty.

とあり、「過去分詞」でも provedが使われています。

米英での差は、このような例にも残っているのでしょうか?
Ngram Viewerで、ちょっと周りを掘ってみましょう。

until proved guilty vs until proven guilty全体




英でのprovedの頻度こそ高いですが、2000年代以降は、英でも書き言葉ではprovenが優勢であることが窺えます。

他動詞と自動詞で違いがあるのか、というのはなかなか検証が難しいですが、ザックリと。

まずは自動詞的な用法の prove effectiveの完了形で比較。上から順に、全体、米、英です。

他動詞の目的語として、thatが続くことを想定して検索。

試しに重ねては見たけど、has proven [proved] thatとその他大勢での差が大きく、その他組同士の線が近過ぎて差がよくわからなくなった感じ。

最後にNOWとGLOWBEで。

他動詞の完了形でthatが続く例
NOW

GLOWBE

自動詞でeffectiveが続く例。
NOW

GLOWBE

ここまで、「気になる語法」の proveの実例を示して、proveの実態を明らかにしようとしてみたわけですが、何かもっともらしいことを言おうとするなら、この程度の調べものではまだまだ端緒に過ぎません。もっとアンテナの感度を上げておかないと。

前回のエントリーでも告知をしましたが、このような「気になる語法」を扱う冬期セミナーが年末年始で開催されますので、ご検討よろしくお願いします。
以下、どちらの講座も同内容です。

12月28日 (土)
passmarket.yahoo.co.jp

2025年1月12日(日)
passmarket.yahoo.co.jp

本日はこの辺で。
本日のBGM: 焦燥 (Glim Spanky)

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