詩人の谷川俊太郎さんがお亡くなりになりました。
19日の朝、訃報を知り、出講先に向かう電車の中でこの投稿をしていました。
読む人、聞く人にとってそれぞれの詩人・谷川俊太郎がいらっしゃることでしょう。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年11月18日
「書評空間」で阿部公彦氏(@jumping5555 )の書かれた優れた批評を読み返しています。
もう11年以上前の記事でした。
あらためて合掌。https://t.co/kf8QHWcqlv
「書評空間」での阿部公彦氏の書批は、もう11年以上前の記事ですが、谷川氏の詩を論じた最も優れたものの一つではないかと思います(その後、この書評空間に加筆され2014年に『詩的思考のめざめ』(東京大学出版会)の第10章となっています)。
他にも、こんなツイートをしていました。
山口在住時代は、私の自宅から中也記念館まで徒歩圏内だったので、毎年のように青空の下の朗読会に参加していました。時に朗読も。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年11月18日
これは2014年の朗読会にゲストでらした時の谷川俊太郎さん谷川賢作さんの父子共演。https://t.co/pzZYFySRH9
一番好きなのは?って選ぶのは不可能に近いけど、これは初めから最後まで、初めて読んだ時からずっと好きですね。https://t.co/bK7JGQmApC
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年11月18日
これはまだ私が山口に行く前、東京で働いていた頃の2003年に『愛について』が英訳を新たにつけて復刊されたときのイベントで、谷川氏にサインしてもらったもの。
— Takashi “即時停戦” Matsui (@tmrowing) 2024年11月19日
「港の人」は本当に良い仕事をしたと思っています。ありがとうございます。 pic.twitter.com/RLr03V3knb
この投稿で貼っていた写真の表紙は20年に及ぶくすみや汚れにまみれていましたので、それを脱いだ写真をこちらで。
私の好きな詩の載った頁にサインをしてもらったところも採録。
あらためて合掌。
谷川氏のデビュー作のタイトルに寄せるわけではありませんが、
今日の気になる語法は
@dvoix さんのtwitterの投稿
久々に2017年のセンター試験(筆記)を読んでいたところ、第4問A問4の選択肢に、The connections between types of games and lengths of time being active というのが。time being active か。以前読んだときはなぜかスルーしてたけど、これって現在分詞の用法としてはけっこう特殊ではないかしら。
— dvoix (@dvoix) 2024年11月18日
であらためて考えてみた英語表現。
-the length of time
の界隈を。
今はなきセンター試験の2017年の本試験第4問Aにこの表現がでてくるのです。
ただし、この年のこの設問では、素材文の本文自体が原典から結構書き換えられているので、個人的にはこの設問自体、あまり学習素材としては適切ではないかな、と思っています。
オリジナルの論文は2015年のもの。
こちらなどから調べてみて下さい。
Objectively measured differences in physical activity in five types of schoolyard area
以前、ツイッターで取り上げたことがあり、その時にW先生から速攻で送っていただいたこの原典論文を読み、書き換えられている箇所のbefore/afterを比較検討して、ブログにも書き、
2017-01-16 (この)記事の名(=タイトル)は?
tmrowing.hatenablog.com
その後、2019年には、noteの記事
センター試験 第4問A 「グラフ、図表問題」の英文を読む #1
note.com
でまとめていました。
今回、twitterで指摘があった英語表現は、本文ではなく、選択肢の英語、ということで、私がブログで書いた時にも、noteの記事にした時にもあまり気にしていなかった箇所です。
センター試験の選択肢での表現は、
- The connections between types of games and lengths of time being active
というもので、名詞time に続くbeingの部分は、現在分詞の後置修飾の解釈をするにせよ、意味上の主語つき動名詞での解釈をするにせよ、ちょっと「?」と思うものです。
上述の私のブログやnoteの記事で、問題文本文での the length of time の使われ方への指摘がありますので、そちらもお読み下さい。本文中の、
- the length of time spent taking part in physical activity
という名詞のチャンクのもとになっているのは、
- they spend このくらいの長さの時間 taking part in physical activity
という英語表現でしょう。ここでは、名詞timeの後置修飾部分に、-ed/en形(所謂「過去分詞」)でspendが使われています。
まず、言語事実として確認しておきますが、 amount(s) of time に-ing形が続く場合はその前(または後ろ)にspendに類する動詞が絡むものなので、疑問視する要素はない、と思います。
この問題文の本文にも、次のような表現が出てきます。
- the study revealed differences between the average amounts of time spent in schoolyards by Children and Adolescents
- The greater amount of time spent by Children might be explained by the fact that SV…
それに対して、選択肢の表現では、spendは絡んでいません。
- では、この表現は破格なのか?
いいえ、必ずしもそうとは言い切れないのです。
近年ではlength of timeに-ing形が続く例で、その前(または後ろ)にspendも絡まず、動名詞の意味上を考えるにしても、その主語もその文には直接出てこない例が見られます。
COCAで検索しても、そこで示されるリンクは既に切れているので、こちらから、見ていただくことになる記事
の中のハイライトしたところなどですね。最終文の日本語訳を参考までに。
キリスト教徒であるアジア系アメリカ人は、仏教徒やヒンドゥー教徒よりも、自分たちを典型的なアメリカ人と見なす傾向が強い。出生地が同じ者同士やアメリカ居住期間が同じである者同士を比較した場合でも同様です。
NOWコーパスで拾える類例を追加。2019年の記事です。
The required length of time living in France can be reduced in certain circumstances – which allowed Raka to apply early. Since he joined join Clermont Academy in November 2014, he has married a French national and become a father – which reduced the residency requirement by one year.
www.rugbypass.com
必要とされるフランスでの居住期間は、特定の状況で短縮可能です。これにより、ラカは早期申請が可能となりました。彼は2014年11月にクレルモン・アカデミーに参加した後、フランス国籍の女性と結婚し、父親となっています。この事実によって、居住要件が1年間短縮されました。
センターでの当該表現と同じく、beingの続く例がこちら。2024年の記事です。
写真のキャプション部分で使われています。
Metra’s warehouse in Harvey is raising red flags about costly repairs and the length of time being required to make it operational.
ハーヴィーにあるメトラの倉庫は、高額な修理費用と稼働が可能になるまでに必要な時間について警鐘を鳴らしています。
類例を追加。こちらは2010年の英国はBBCの記事から。
"Local residents have expressed concerns about the length of time being taken to tackle the fire, but the agencies involved are keen to explain that the approach taken to date is considered to be the most effective way of reducing risk of further problems."
www.bbc.com
「地元住民は、この火災への対処に(あまりにも)時間がかかっていることに懸念を表明しているが、関係機関は、これまでのアプローチがさらなる問題のリスクを減らす最も効果的な方法なのだということを説明したいと思っている。」
2024年のBBCからもう一例。
Asked this week if he was frustrated over the length of time being taken by the inquiry, Mr Yousaf replied: "Well, I think people will realise that all of us in the SNP would like to see a conclusion to Operation Branchform.
www.bbc.com
今週、調査に(あまりに)時間がかかっていることに不満はないかと聞かれ、ユサフ氏はこう答えた: 「まあ、SNPの全員がブランチフォーム作戦の終結を望んでいることは理解してもらえると思います。」
限られた例ではありますが、このbeingが続く例として取り上げたものに共通しているのが、
- require / take の受け身
ということ。
「所要時間」の文脈で使われている「感嘆文相当」とも解釈できる「潜伏命題」の名詞句を形成している、ということですね。
更に別の例で、beingが続くものを。2024年11月20日にアップデートされた記事からです。
Furthermore, since AYA survivors are diagnosed and treated at such a young age, their length of time being a survivor is much longer than their adult counterparts, making it more likely they will face a second primary cancer in their lifetime.
alchetron.com
さらに、AYA世代の癌サバイバーは非常に若い年齢で診断され治療されるため、成人の対照群よりも癌サバイバーとしての期間がはるかに長くなり、生涯のうちに二次がんに直面する可能性が高くなります。
“AYA” は所謂「AYA (= Adolescent and Young Adult)世代」のこと。通例15歳から29歳(または39歳)までの人を指す用語。この例では、所有格のtheirがbeingの意味上の主語として働いていると考えられます。
次は広告。
Elderberry Syrup is excellent for the immune system. It helps to keep the immune system strong making it good to take for flu, colds, and viruses. Take 1 spoonful daily as a preventative or take 1-2 spoonful’s 3-6 times a day at the first sign of illness to lessen the length of time being sick and the severity.
www.earthlyremediesbyerin.com
エルダーベリーシロップは免疫系に優れています。免疫系を強く保つのに役立ち、インフルエンザ、風邪、ウイルスに良いとされています。予防として毎日スプーン1杯を摂取するか、病気の兆候が現れたら1日3〜6回、スプーン1〜2杯を摂取して、病気の期間と重症度を軽減します。
この例では、being sick とありますから、当然、意味上の主語は「人」になるはずです。文脈から「摂取する人」であることは自明なので書かれていません。
このような例をみると、センター試験の選択肢にあった例も破格とは言い切れないのではないかとも思います。
ただし、出典となっているオリジナルの論文には “length(s) of time” はひとつも使われてはいません。
Despite spending a similar amount of time in the schoolyard, and the different schoolyard areas, girls may not perceive the facilities and areas as accessible or as enjoyable as boys do.
で、amount of timeが一箇所出てくるだけです。
偶々見つけた、減量に関する運動の効果を扱った2016年の論文
Effect of weekly physical activity frequency on weight loss in healthy overweight and obese women attending a weight loss program: a randomized controlled trial
www.sciencedirect.com
では、次のような使われ方です。後置でspendの絡む例なので、今回の考察の対象としている例とは異なります。
There was some indication that more frequent PA could deliver additional health benefits. However, a recent observational study found that the frequency of moderate to vigorous PA during the week is not as important as the total length of time spent being physically active.
より頻繁な身体活動(PA)が追加の健康効果をもたらす可能性があるという示唆がありました。しかし、最近の観察研究では、週における中程度から激しいPAの頻度は、身体活動に費やす総時間ほど重要ではないことがわかりました。
今後も丁寧に実例を観察していくことが大事、といういつもと同じ落とし所ですかね。
本日はこの辺で。
本日のBGM: Light Years (The National)



