以下の内容はhttps://tmrowing.hatenablog.com/entry/2024/09/26/100423より取得しました。


「わからないまま生きてゆく」

気になる語法の中でも、ここ数年気になっているものの一つに、先行文脈や当事者間の前提を受けて
S always has(,) and always will.
と言い切る形からの類推なのか、
S has and always will be ....
と続く言い方があります。

ペアや列挙でのよくある言い回しは、「コロケ先生」( https://x.com/super_level)のツイートでも紹介されていました。

今回、私が取り上げるのは、その先というか、異形(に見えるもの)です。

比較的新しい実例をひとつ。
2023年7月に投稿されたものです。

The BBC has and always will be the UK government's media wing. It's only in recent years they've tried to claim anything different.
The world service became famous for passing messages from the government to POW's during WW2 and their service didn't stop there!


BBCはこれまでもそしてこれからも英国政府のメディア部門だ。違うことを主張しようとしたのは近年になってからだ。
ワールドサービスは、第2次世界大戦中に捕虜に政府からのメッセージを伝えることで有名になったが、そのサービスはそれだけにとどまらなかった!

稀な例、例外、誤用と言い切れないくらい見聞きするパターンです。

NOWコーパスから。

Glowbeで2012-2013の地域の情勢を。

実例を見るたびに感じるのは 「“been” はどこへやったのだ?」という疑問。
三人称単数主語でbe動詞が多い印象。いくらandで分配するといっても、beenとbeを兼用して一緒に表すのは無理があるだろうと。

alwaysが助動詞の後に来るタイプも結構あります。
インドのニュースメディアから。

General public is advised not to pay any heed to these rumours. JKP has and will always be committed for providing safety and security of yatris and ensuring a peaceful yatra: ADGP Kashmir.


一般市民は、このような噂に耳を傾けないようにしてください。JKPは、ヤートリスに安全とセキュリティを提供し、平和的なヤートラを確保するためにこれまでも、そしてこれからも尽力していきます。

NOWで最新の動向を。

Glowbeで地域差・文化差を。

ここでも “been” はどこへ? 単なる誤用では片づけられない現象ではないでしょうか。

Ngram Viewerで

全体



頻度順は同じでも、米とはかなり異なる経緯で現在に至る、という感じがします。

ここまでに取り上げた英文に便宜上和訳をつけていますが、その日本語表現でも、

  • これまでも、そしてこれからも

に続く部分は、「これから」に対応する表現のみが述べられ帰結しています。
この点では英語と日本語で同じような心理が働き、形式の選択や処理に影響しているのかも知れません。

日本では学習者だけではなく、指導する側も、ややもすると「テストで問われない語彙・語法・文法」は気にしない、というような姿勢が見えることがありますが、後続する語をbe動詞に限らなければ、大学入試の素材文では既に随分前から現われています。

From the catwalks of Paris to the pages of style magazines, fashion has and always will influence the way people dress. Today, fashion is a worldwide multibillion dollar industry with consumers keen to be seen wearing the latest trends. In order to satisfy this demand, popular fashion retailers are recreating the big brand looks from Paris, Milan, and New York fashion shows, and selling them soon after for a fraction of the price.
(DL訳: パリのキャットウォークからスタイル雑誌のページに至るまで、ファッションはこれまでも、そしてこれからも人々の服装に影響を与え続けるだろう。今日、ファッションは世界的な数十億ドル産業であり、消費者は最新の流行を身につけた姿を見たがる。この需要を満たすため、人気ファッション小売店は、パリ、ミラノ、ニューヨークのファッションショーで発表されたビッグブランドのルックを再現し、すぐに数分の一の価格で販売している。)

この例では、“has and always will influence” で、過去分詞は言わずに、原形のinfluenceに代表させています。

別の文章からもう一例。

Although children no longer meet the standard for obedience that only the fear of harsh punishment can produce, parents have and always will have sufficient power and influence to produce children who behave most of the time as we want them to. This power comes from the automatic child-to-parent love relationship.
(DL訳: 子どもたちはもはや、厳しい罰の恐怖だけが生み出すことのできる服従の基準を満たすことはできないが、親はこれまでも、そしてこれからも、私たちが望むようにほとんどの時間行動する子どもたちを生み出すのに十分な力と影響力を持っている。この力は、子どもから親への自動的な愛情関係から生まれる。)

ここでは、 “have and always will” には、haveという原形のみが続いています。所謂過去分詞の ”had” の出番はなし。

このようなbe動詞以外が後続するもので検索するともう少し背景が見えるかも知れません。

NOWで、has/have and always will + be動詞以外の原形も含む検索。

NOWで、has/have and will always + be動詞以外の原形も含む検索。


オンラインコーパスの検索結果ではまだ可視化されませんが、実際の使用例では、次のような使い方も見られるので、浸透度合は進んでいるのではないかと感じています。

I don't think this is an Allen and Payne thing and more a natural part of the position. Playing interior DLine you are going to get double teamed a hell of a lot more than an edge rusher.
Both of them have and always will have to take on double teams specifically in the run game


これはアレンやペインに限ったことではなく、ポジションとして当然のことだと思う。インサイドDLラインをプレーする場合、エッジラッシャーよりもはるかに多くのダブルチームを受けることになる。
これまでも、そしてこれからも、ランゲームでは特にダブルチームを受けなければならないだろう

ここでは、always will に助動詞的have toが使われ、原形の take onが続いています。当然、単独の完了形のhaveの後であれば、<have had to 原形>という形合わせが必要なところです。

類例を追加。
2024年4月の記事です。

However, the biggest hurdle I have and always will have to overcome is myself. I am my biggest critic, and set a very high standard for myself – something I am proud of, but it can be counterproductive and self-destructive at times.
voyagemichigan.com
しかし、これまでも、そしてこれからも克服しなければならない最大のハードルは自分自身だ。私は最大の批判者であり、自分に対して非
常に高い基準を設定している。これは私の誇りでもあるが、時には逆効果になり、自己破壊的になることもある。

この例では、the biggest hurdleという名詞句の後置修飾としての接触節で、”I have and always will have to overcome” が使われています。
ここまで来ると最早ごく普通の表現形式と感じられるのではないでしょうか。

  • 時制のコントラストで、記述・描写を整える

というのは修辞法や表現技巧とまでいわずとも、よく使われているものです。
例えば、

  • 「昔も今も」

であれば、次のように、”was and is” となるものなど、ありふれているでしょう。


これは、2005-2006年当時の高校の授業で、『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンに「ついて」の話しを教科書で読んだ後、グループコンペでアクロスティックを作る課題のお手本として私が提供したものでした。指導手順などは昔のエントリーにも少し書いてあるかと思います。

ここでのwasもisもそれ自体で時制を明示しているところが、今日取り上げた “has/have and always will 原形”とは異なるところです。

次の私の引用RTで取り上げた元ツイでも、”was, is and always will be” と、時制は明示されています。

所謂「強調構文」でも出てくるのですが、その際にはthatやwho以下の時制の呼応が悩ましいですよね。
この写真はthatですが、このキャラクターに関しては、whoでの引用の方が多い印象。

元ツイの英文はこのようになっています。

  • "it was, is, and always will be Doom who pulls the strings”

このような時制が明示されるものと、今日のエントリーで取り上げた「端折った」ものとの両方が現代英語では用いられているわけです。
このエントリーの冒頭で私はこのように書いていました。

S always has(,) and always will.
と言い切る形からの類推なのか

その続きで、次のようにも書いていました。

日本語表現でも、

  • これまでも、そしてこれからも

に続く部分は、「これから」に対応する表現のみが述べられ帰結しています。
この点では英語と日本語で同じような心理が働き、形式の選択や処理に影響しているのかも知れません。

この表現形式の背景や奥に潜む心理や操作は、まだよく分かりません。

私としては、わからないならわからないなりに、いや、わからないからこそ、これまでも、そしてこれからも「英語表現そのもの」と「その生息域」を精査していくつもりでおります。

今日はこの辺で。

本日のBGM: 今日までそして明日から(吉田拓郎)

open.spotify.com




以上の内容はhttps://tmrowing.hatenablog.com/entry/2024/09/26/100423より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14