偽物microSD「Samsung Pro Endurance 32GB」を紹介します。
発見
事の発端はAliexpressにて異常に安い産業向けmicroSDを見つけてしまったことでした。Samsungのコンシューマー向けmicroSDである「EVO Plus」はたくさん偽物がありますが、産業向けの偽物という珍しいワードに惹かれ、偽物に決まっているとわかっていながらも好奇心で購入してしまいました。
PRO Enduranceの偽物って見たことないけど果たして……
— ℳi (@tkg5th) 2019年2月12日
日本だと並行輸入品で2180円もする高級品 pic.twitter.com/WWMmL2amEP
購入前に、「Pro Endurance」の偽物を掴んだ人は過去にいないか海外も含めて探しましたが、私には見つけることはできませんでした。もし情報があれば偽物かどうかを断定できたのですが、まだ誰もいなかったようです。
少ししてからセラーのショップを覗こうとしたらなんとショップから全製品が消えていました。俄然、偽物である疑いが高まります。
激安Samsung Pro Enduranceを販売していたセラーが逃げてた……これは偽物の期待が高まる pic.twitter.com/P6CA3obpxD
— ℳi (@tkg5th) 2019年2月22日
それからしばらくすると、いつものビニールの袋に入ったパッケージが届きました。そもそも発送されないという最悪のルートは回避されました。
外観・真贋判定
まずはパッケージの外見を観察しました。最近の偽物パッケージは各所の偽物レビューから学習したのか誤字脱字が少なくなり、ぱっと見の判断材料が減ってきています。このパッケージも誤字脱字は見つかりませんでした。
誤字脱字がないとなると、最有力な判断材料は「フォント」「パッケージの作り」です。実際の製品と比べられればよかったのですが、生憎産業向けmicroSDは高価で個人的に使う予定もないので製品画像から比較していきました。
まず、明らかに異なっているのは最下部の「with SD Adapter」が太字でないことです。次にmicroSDの「PRO」の文字のフォントが異なっています。特に「R」の2画目の長さを見ればわかるかと思います。
もしかしたらPRO Enduranceは国内初偽物かも
— ℳi (@tkg5th) 2019年3月15日
パッケージ精度はEVO Plusよりも高い(が中のMicroSDみればすぐ偽物と分かる)
・左下のPROの「R」2画目が本物は短い
・with SD adapterの太字の有無 pic.twitter.com/sAPs8T2ut5
次に、パッケージの裏を確認しました。ここでは明らかにおかしい部分がありますね。これが今回の断定ポイントと言えるでしょう。どこだかわかりますか。すぐに分かった人は間違いなくガジェクラです。

答えは産業向けなのに10年保証であるところです。そもそも産業向けの製品は酷使される前提なので長期間の保証は無理です。実際、製品仕様をみると、32GBは2年保証となっています。おそらく「EVO Plus」の保証をまんま持ってきたのでしょう。
ベンチマーク
既にパッケージの観察よりこのmicroSDは間違いなく偽物であることがわかりました。よくある偽物microSDは「実際は8GBしか書き込めず、それ以上書き込んだファイルはもれなく読み込めなくなる」が定番ですがこの偽物「Pro Endurance」は全領域しっかり書き込めるのでしょうか。
h2testw
まずは定番の「h2testw」で全領域をしっかり書き込めるかのテストをします。結果は以下の通りで、驚くことに容量の偽装はありませんでした。しっかり32GB書き込むことができました。 

Crystal Disk Mark
次は、こちらも定番の「Crystal Disk Mark」を用いてRead/Write速度を検証していきます(h2testwでもRead/Writeは確認できますが念の為)。結果は以下の通りで、驚くことに公称値よりやや低い速度をマークし、とても偽物とは思えない結果でした。


考察
これら予想に反した結果から推察するに、これは「EVO Plus」の皮を「PRO Endurance」に変えたものを偽物パッケージに封入したものと思われます。例えば、シーケンシャルReadの96MB/sという速度は「PRO Endurance」の公称値である100MB/sより「EVO Plus」の公称値である95MB/sに近い値です。
前述の10年保証のパッケージであったり、Aliexpress内の各ストアの「EVO Plus」と同程度の価格であることを考えるとこれが妥当であると思われます。
返金
さて、偽物であることが確定したら返金するのが常ですが、既にセラーはトンズラしてメッセージを送ることはできません。
Aliexpressは手厚い購入者保護の制度「Open Dispute」があるのでこれを利用します。直訳すると「紛争を開く」ですが、簡単に言えば購入者とセラーの間にAliexpressが入って話し合いをして、それでも解決できなければAliexpressが判断するというシステムです。
と言いましたが、セラーがいないのでこの状況では実質購入者の一人勝ちです。「セラーの音信不通」によって全額返ってきました。つまり実質0円でまあまあ使えるmicroSDを手に入れたことになります。運が良かったです。
偽物ProEnduranceのDisputeがセラー音信不通ですぐ通った、全額返金は神すぎる pic.twitter.com/jZrYUOFdH3
— ℳi (@tkg5th) 2019年3月28日