鼻水を垂らしながら泣いた である。カタコト?
生きとし生けるもの、必ず迎える死。そして死別。故人や遺族の心情にスポットを当てた映画である。
W主演の1人、美空 (浜辺美波) は故人を見ること、声を聴くことができるという設定で物語は進んでいく。
さて、感想をつらつらと綴っていきますが、あくまでも主観であることをご了承いただきたい。
まず、美空が可愛い。これは、可愛い。バスに揺られる美空が可愛すぎて、バスまで可愛く見える。そして故人も見える。
さらに、W主演のもう1人、漆原 (目黒蓮) がスノーメン、キッコーメン、僕イケメーンのクールメンでとても役にハマっていた。この人は若手俳優だと思っていたが、調べるとアイドルということで、これまた驚いた。
こんな美男美女コンビの葬祭プランナーが故人と遺族の想いを繋いでいくのだが、可愛いだのイケメンだのが気になりすぎて内容が全然入ってこず、抗体が出来るまで2時間ほど掛かった。終わっとるやないかい、と。
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まず初めに、身重の妻を亡くした夫役 (北村匠海) の演技が、何とも感情移入しづらかった。最愛の妻と生まれてくるはずだった子どもを同時に亡くしたにしては、あまりにもその絶望感が伝わってこない。9才から子役デビューし、多数の作品に出演しているようだが、これは是非とも若かりし頃の妻夫木聡で、もう一度観てみたいシーンの一つだ。似てるとか似てないとかそういう問題ではない。
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続いて、幼い娘を亡くした母親役 (志田未来) がもう本当に凄い。この映画の半分は志田未来で出来ていると言っても過言ではない。「ほどなく、志田未来です」でもたぶんヒットした。それぐらい凄い。凄い凄いってこの語彙の無さよ。何が凄いんだと。どこがどう凄いんだと。そこが一番知りたいんだよと。簡単に言うと、W主演を完全に食ったった。名脇役どころか、トリプル主演に食い込んだったったたた。続きは映画館で。
この志田未来の夫役 (渡邊圭祐) と北村匠海が当事者のはずなのに、どこか他人事のような演技に視えてしまい、他の共演者との温度差を感じた。
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そして原田泰造。スクリーンいっぱいに泰造が映し出された瞬間、俳優としての泰造より ”芸人泰造” のほうが遥かにウェイトを占めすぎてて「いつボケるの?まだなの?んん?」と話そっちのけで期待してしまった自分が嫌いです。完全にリセットされました。そんな泰造の役は妻と子ども達を守るため、妻と合意のもと已むなく離婚し、十数年ぶりに再会した妻が棺に入ってる姿を目の当たりにして、妻の顔にそっと手をあてての第一声が
「キレイだよ」
違うわー。絶対違うわー。それやったらただただ無言のまま、その場で泣き崩れるほうが感情移入できたわー。
已むなく離ればなれになって、小さな子ども二人を妻に任せきりになり苦労させ、子ども達にも淋しい思いをさせ、それでも妻は毎年子ども達の成長を写真ハガキにひと言添えた便りをくれ、自分は妻との想い出の場所の写真ハガキを送り、心はずっと繋がってるって、子ども達の成長を遠くで見守りながら、それだけを励みに、またいつか家族みんなで暮らせる日がくるかもと淡い期待も込めて独りその日を待っていたのに、ひと言だけ添えられた写真ハガキが、いつしか子ども達の詳細な内容の手紙に代わり、なんだか胸騒ぎがするけど気のせいだと誤魔化してたら、ある日突然、棺に入った妻と子ども達に再会するとかおいおいおい。それで「キレイだよ」
ないわ!!
台無しじゃ。子ども役2人の演技が良かっただけに、非常に残念です。
それはキャストの問題なのか?台詞の問題じゃないのか?という問題は、”キャストレビュー” と謳ってる以上、触れてくれるなと。そこは敢えてキャストに責任転嫁していきたい所存であります隊長。
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そして、夏木マリをすっ飛ばし、満を持して登場するのは、イチゴ農家のじゃじゃ馬娘こと永作博美。美空の母親役であります。昔から役柄が、どこかしたたかで、イジワルな小悪魔を演じることが多かったのと、顔つきもそのイメージにマッチしてることから、今作でもがっつりハマり役でした。私は昔からそのイメージが永作博美の素じゃないのか?プライベートでもイジワルなんでしょ?と疑ってしまうほどの演技派です。本当のところは知りませんが。
美空には姉 (美鳥 -みどり-) がおり、美空が生まれたその日、夏木マリ演じるお義母さんと美鳥は川沿いを散歩中、川べりに咲く綺麗なタンポポを見つけ、それを摘みに祖母の手を離れ一人になった際に水難事故で亡くなったのです。その事故死の責任を心の中で「お義母さんが美鳥の手を離したから……。お義母さんがちゃんと美鳥の手を握っていてくれたら美鳥は今でも……」と、そうでも思わないと心のバランスが保てない、本当は誰のせいでもないことはわかってる、そんなことを考える自分自身もイヤになる、そんな葛藤を見事に演じきっていました。55歳。まだまだイケるで55歳。そういう意味では4人目の主演じゃないか。カルテットじゃないか。
「ほどなく、永作博美です」
いやこれはヒットしないわ。
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そして安定の夏木マリ。「芸者は呼ばれてるうちが華だよ」もうこれだけで9割仕事は終えてます。
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最後に、美空の父親役 (鈴木浩介) が本当に名脇役でした。グッとくるいぶし銀の演技。周りを引き立てつつ、ちゃんと存在感がある。縁の下の力持ち。味噌汁の出汁昆布。そんな感じでしょうか。
長々と書きましたが、どの俳優さんも本当に素晴らしかった。二枚舌とは私のことでしょう。
しかし、映画は本当に素晴らしく、私の父が亡くなった時と重なる心境もあり、また、今後必ず迎える死別との向き合い方、その時、後悔しないよう今できること、などいろいろ考えさせられる内容でした。これだけネタバレしといて、こんなことを言うのもなんですが、ぜひ映画館で観てもらいたい作品ですね。もう観ましたかそうですか。ではでは。ほどなく、お別れです。
P.S.
イギリスの牧師が作詞した賛美歌「アメイジンググレイス」。死生をテーマにした作品でちょくちょく使われてます。困ったときのアメイジンググレイス感が、とりあえずザキヤマ出しときゃいいっしょ感に似ていて、なんか萎えます。
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