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#18【便所ではない落書き】才能は爆発しすぎても困る

 

メロンパン である。

 

息子が4歳ごろの話です。

子どもが小さいうちは家中がキャンバスになりがちで、親はほとほと困り果てることがあります。タンス、壁、テーブル、イス、ドア、ありとあらゆるところに落書きされ、それを消して回ってるうちにキリがなくて諦める。キャラクターのシールなどもその辺にペタペタ貼られ、そのうちパラダイスみたいな家が完成します。

しかし、息子は家で落書きやシール貼りなどは全くといっていいほどしませんでした。もちろん保育園では絵を描いたりシールを貼ったりするのは保育の一環としてやるので、あまり興味がないだけなのかなと私は思っていました。

 

とある日曜日。ファミリーカーで家族で出掛けることに。妻が運転し私は助手席。A子さん(義祖母)と息子と娘は後部座席。私が最後に助手席に乗ろうとしたとき事件は起こりました。

私 「え"ッ!!! なにコレ!?」

妻が運転席から私を見つめます。最近あまり見つめられることがないので、ああそうそうこんな顔やったわと妻の顔を再認識し、妻もああそうそうこんなオッサン家におったわと再認識したはずです。

私 「ちょッ、コレ見てや!」

車中にいた4人がぞろぞろと窃盗団の如く出てきて私のもとに集まります。

私 「本日のミッションはコレだ!」

私の指差す先、助手席のドアには直径40cmほどの大きなメロンパンが描かれていました。描かれているというよりキズです。何か鋭利なものでキズつけながら描いたメロンパン。

一同 「うわ!!」

そしてコナンくんが腕時計型麻酔銃で私を眠らせます。

私(コナン) 「皆さんがドアのメロンパンを見たとき、一人だけ驚きもせずゆっくり下を向いて後退りした方がいました。そうですよね、息子くん?」

一同 「!!!!」

私(コナン) 「こんなイタズラをするような子ども、ましてや大人はこの周りには住んでいません。外部の人間でないとするならば、残るは内部の人間の仕業。さらにこのキズの細さや深さから推測するに、使用された道具は家庭菜園で使っている支柱。土に刺す尖った方でキズつけられたものです。違いますか息子くん?」

息子 「ちゃう!お父さんとちゃう!関西弁ちゃう!寝ながら喋ってる。こわい。誰?」

私(コナン) 「こらすんまへん!寝てまへんで!よう見てみなはれ!まぶたに目描いておまっしゃろ?ちゃんと起きてま!ほいで、このメロンパン描いたのおまはんやろ?」

妻 「すみませんがどちら様ですか?」

私(コナン) 「わてやがなわて!忘れたんかいな!カレー好きのわてや!レモンパイとちゃうで!」

妻 「レモンパイ?」

私(コナン) 「せやがな!かってにレモンパイ好きにされとるけど、わてが好きなんはカレーや!」

妻 「レモンパイ食べてるとこ見たことないですけど」

私(コナン) 「せやろ!だからちゃうねん!でも、おまはんが作ったレモンパイは好っきゃねん!」

妻 「レモンパイ作ったことないです」

私(コナン) 「ズコー!ほんまかいな!ほなこんど作ってーな!」

妻 「いやです」

私(コナン) 「つれへんなー!ところで息子よ!なんでメロンパン描いたん?好きなん?」

息子 「べつに」

私(コナン) 「こらまたつれへんなー!シーバスかいな!車にメロンパン描いたアカンわ!これメロンパンの宣伝カーおまへんで!わてジャムおじさんちゃいまっせ!ちょっとバタコはん!チーズと一緒にチーズこうてきて!なんつって。」

 

”凍てつく息” をおぼえた。

 

4歳が描くメロンパンなんて、◯描いて格子柄でしょ?と思われるかもしれません。たしかにそうなんです。ただそれだと「あーあーメロンパンナちゃん……」なんですが、その格子柄が直線ではなく曲線になると「おっとミュシャ?」となるわけです。これが純度100%の親バカです。4歳にしてその感覚あるん?やるやん!です。私は絵心というものを母の胎内に忘れてきたので、メロンパンを描くと「あーあーエロいパンダちゃん……」になってしまうのです。メロンパンを描こうとしてパンダが描けるなら、一周回って爆発してそうですが、残念ながら爆発するのは私の股間だけです。

 

出かける前、息子が庭で遊んでる割に静かだったのは、このせいです。この一件が近所に知れ渡り、警戒されまくったのは言うまでもありません。ご近所さんの車でなくてほんとによかったと肝を冷やしました。

キズが遠目からだとあまり目立たなかったので、妻はそのままメロンパンの宣伝カーを数カ月乗っていました。

息子になぜ車にあんなことをしたのか尋ねると「そこに車があったから」と登山家みたいな言い訳をしていました。

そんな息子も現在8歳になりましたがメロンパンよりアンパンが好きだそうで。確かにアンパンを描こうとおもったら、◯と点々だけで描きごたえがなさそうなので、やむなくメロンパンだったのかもしれません。知らんけど。

 

話は変わりますが、岡山には「ル・パン・ドゥ・タカ」というパン屋があります。そこのパンはどれも美味しくアンパンやサンライズはもちろん、クロワッサンやバゲットなど、すべてのパンの見た目が上品で美しく味もまた格別なのです。

岡山にお立ち寄りの際には是非是非。

 

最後はただの宣伝みたいになってしまいましたが、パン繋がりということで。

オチはないです。

あるのは価値だけ。

タカだけに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

P.S.

そこで以前、窯の前に立っていたのは、ここだけの話。

 

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