マッサージである。
昨晩、仕事が終わり帰宅するやいなや、風呂場から娘の泣き声が…。
居間に入ると、息子が妻の足をマッサージしていた。
妻に尋ねる。
「◯◯ちゃんえらい泣いとったけど、なんかあったん?」
妻 「◯◯ちゃんにマッサージしてもらってたんやけど、マッサージ誰が一番上手い?って聞かれたから “お父さん“ て答えたらご覧の通り笑。」
私や妻、A子さんも何度か娘にマッサージをしてもらったことがある。6歳とは思えぬ絶妙な力加減で、それはそれはとても気持ちが良いのだ。
妻も「めっちゃ気持ち良いわ〜。◯◯ちゃん誰に教えてもらったん?天才やな〜ほんま。世界一!」とか言っていたので、娘もその気になっていた。
が、ある日お母さんにマッサージをして、誰が一番上手い?と聞くと、
「お父さん」
おとうさん……
お…と…う…………さん……
娘からすれば、もちろん自分の名前が出てくると信じて疑わないこの鉄板の状況で、まさかの
O…T…O…U…S…A…N…………。
これはショックである。
風呂場から出てきた娘は泣きながら私に訴える。
私も妻も必死で娘をなだめる。
私 「お父さん、お母さんにマッサージなんかしたことないよー」
妻 「そうそう、お父さんにしてもらうぐらいやったら自分でするよー。◯◯ちゃんが一番上手!」
なかなか苦しい言い訳である。しかもしれっと私に毒づいている。畜生である。
娘と一緒にお風呂に入っていたA子さんも出てきて「お母さんはヒドいな〜。あんた◯◯ちゃんにマッサージしてもらっといて、なんてこと言うんや?」と御立腹である。
3人がかりで娘を落ち着かせ、なんとか機嫌を取り戻したのはそれから30分後。
そもそも論、なぜ “お父さん“ などという選択をしてしまったのか?
それには深いワケがある。
ある日の晩。
私は無性にまぐわいたくなっていた。
そして子どもたちやA子さんが寝静まったのを確認し、布団の中で妻にそれとなく擦り寄っていったのである。
すると妻が「なに?」とぶっきらぼうに聞くので、私は「なにって何?ナニ?」と返事した。わかるやろこの流れ。あ〜あ〜川の流れのよ〜うに〜お〜だ〜や〜かに〜この身をま〜かせて〜いたい〜のである。
すると妻は「じゃあ、足マッサージしてくれたらいいよ」と言うではないか。
タダではない。結婚10年目になるとタダというわけにはいかない。
それが10年目の壁なのだ。
目的を達成する為には、険しく高い壁が反り立っている。
そして私も反り立っている。
私は今にもパジャマを突き破り「こーんにーちはー!」しそうな錦鯉の長谷川雅紀と武藤敬司を足してナダルで割ったあばれる君に、松山千春をこすりつけたような光明のスクランブルがひどいムスコをなんとか押し込みながら、妻の足をマッサージする。鼻歌まじりの長い夜。丁寧に丁寧に。それはもう飴細工を扱う職人が如く。
20分ほど経っただろうか。
妻は寝ていた。
私が「おい」と何度か呼ぶが返答は無い。
これは、この流れはまさかの・・
The O・A・Z・U・K・E
ではないか!!
いやだいやだいやだいやだいゃいゃ……
私は犬猫ではない!畜生ではない!
ちくしょおおおおぉぉぉぉオエ!!!
という出来事があったためである。
マッサージは、ほどほどにね。
妻に言いたい。ムスコを立てる前に娘を立てよ。そして、立てたムスコは座らせよ。と。
P.S.
美空ひばりは、この歳になると沁みますね。
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