のすと申します。ゲームが大好きです。
今年も皆様に心からおすすめしたい選りすぐりの12タイトルについて語らせていただきます。
長い記事になってしまったので、下の目次から興味があるタイトルだけ読んでくだされば幸いです!
- アークナイツ(孤星)
- スペルトナエル
- でびるコネクショん
- 魔法少女ノ魔女裁判
- カエル探偵1~3
- Baby Steps
- Gentoo Rescue
- Wanderstop
- スプリットフィクション
- 都市伝説解体センター
- Hollow Knight: Silksong
- GOTY
アークナイツ(孤星)
たぶん350時間くらい遊んでる…孤星だけなら10時間くらい

このタイトルだけは2025年の作品ではないが、とても素晴らしい体験だったので言及する。
自分がアークナイツを始めたきっかけはマシーナリーとも子さんのこの記事を読んだことだった。
死に至る伝染病「鉱石病(オリパシー)」による差別や非情さ、過酷さにあふれるアクナイ世界を説明したうえで、こういった悪辣な要素を乗り越えるような人の前向きさこそに本質があると語り、最新ストーリー「孤星」がSFファンとして見ても素晴らしい内容だったと熱量を込めて綴る素晴らしい記事だ。いつかこんな記事を自分も書いてみたいと今でも思う。
親しい友人にプレイヤーが多くいたこともあり、彼らのサポートも受けつつプレイを開始。とても複雑なゲーム性のタワーディフェンスは面白く、非常にリソース管理が厳しい成長要素などもネトゲ的に楽しみながら序盤のストーリーをこなしていった。特にリセマラを妥協して開始時に手に入れた☆5(最高レア-1)のビーズワクスを使い続けるという推し(縛り)プレイは難易度の高さも相まってとても楽しかった。

しかし……
進めても進めても孤星にたどり着かない。正確にはイベントストーリーなのでいきなり孤星を読むことはできる。しかし連続したストーリーのオチのような内容になっているため、前提になる内容が非常に多いストーリーなのだ。
まず重要な人物や世界観を理解するため、ストーリー8章まではほぼ必須。ここだけで普通に遊べば100時間弱はかかる。さらに孤星の軸となる企業「ライン生命」が登場するイベントストーリー4本、さらに世界観補強のためサブストーリー4本。そして200ページほどの外伝漫画までは絶対に遊んだほうがいいとの勧めだった。(実際に遊んだ後なのでわかるが、これは本当にそうしたほうがいい。『Library of Ruina』をプレイする前に『Lobotomy Corporation』は絶対にプレイすべきなのと同じレベルで必修だ)
そしてこの前提のストーリー、言っては悪いが当たりはずれがかなり極端にある。好みの部分もあるとは思うが、どう考えても本質ではないガチャキャラの掘り下げや、中国ソシャゲ特有のねっとりとしたモブキャラの世間話を聞いている時間はどうしても存在し、かなり疲弊してしまう。あたりハズレは半々といったところだが、面白いシナリオはとことん面白く、特に4章、8章、マリア・ニアールあたりは非常に面白かったので苦痛ではなかったが、ダラダラ進めていたら記事を読んでから2年が経過していた。
こうしてやっとたどり着いた孤星だが、これまでの苦労が報われるようなとてつもなく面白いSFが展開される。研究者の狂気じみた信念、それに巻き込まれたものたちと、守るために奔走する人々……さまざまな陣営の思惑が重なり解き放たれるカタルシス全開のシナリオだ。それに加え、世界観を拡張するような新事実が惜しげもなく公開される興奮は長期稼働サービスならではのものがあり、ライブで遊べていないことを後悔するほどの面白さだった。きっかけになった、とも子さんの記事には心から感謝したい。
ぜひプレイしてほしいので内容については控えるが、今まですれ違い続けた二人が最後の最後で通じ合うあのスチルのシーンと、ずっと孤独で、だからこそ美しいミュルジスの描かれ方がとにかく魅力的だった。数年は忘れる事ができないほどの感動と、次はバベルを是非クリアしなければと強く決意する前評判通りのすさまじいSFを味わえてとてもよかった。
スペルトナエル
ストーリーだけだと6時間程度
文字盤の上を動き、さまざまな効果のある呪文を唱えて徐々に強くなる敵を倒していくローグライク。
非常にシンプルな画面をしているが、とにかく良く練られたゲーム性に膝を打つ瞬間が何度もあるゲームだった。

まず実際に動く関係上、短い呪文は唱えやすく、長い呪文は時間がかかる。もちろん強力な呪文は文字数が多いので、完成までに手間取ってしまう。さらに「ひらがなの位置」でもスペルの強弱が変わってくる。例えば「かき」は隣り合っているため一瞬だが、「きんかん」は“ん”を取りに二往復する必要があるため4文字でも長い時間がかかることなど、遊びのなかで毎プレイ発見があり、どんどんプレイヤーのスキルも上がっていく。
そして最も言及したいのは非常に素晴らしいストーリーテリングの部分にこそある。魔法の存在するファンタジー世界を描くこの作品では、プレイヤーの「なぜ?」に、とことん真摯に、できうる限り答えることに尽力している。
「なぜツーが主人公なのか?」「プレイヤーに語り掛けるのは誰なのか?」そんな疑問をはじめ、ゲーム的な事情と思われた“設定”を見事に掬い続けるシナリオは見事と言わざるを得ない。ゲームならではのシナリオなだけではなく、美しく研ぎ澄まされた作りこみを感じさせる一本だった。ぜひ、自分で手を動かしてツーを幸せにしてあげてほしい。
定価320円という異常に安い価格がセール時は160円と飲み物一本分で買えるのはこの世のバグというほかない。
でびるコネクショん
10時間
ゲームイベントで毎回行列を作るケモナー向け『どきどき魔女神判』というのが第一印象。自分は全くケモナーではないのでちょっと冷やかしてやるかくらいの感じで遊んでみた結果、あまりに素晴らしいシナリオに大号泣。用意していたティッシュで涙を拭く事になるとは思わなかった。

この作品は、魔界から呼び寄せたクソガキ悪魔・でびるんとたくさんの魔獣(マケモ)を召喚し、感情を引き出してより多くの魔力を集めるゲームだ。
異常としか言いようがないアニメーションと表情差分の量は『Cuphead』初見並に凄すぎて怖いと感じたが、この労力だけを語るのはかなり過小評価だ。本質はこれまで数多のビジュアルノベルを遊んできた人こそ驚くであろう、恐ろしく綿密なシナリオと遊び心あふれるバッドエンドフラグの豊富さにこそある。
例えば、プレイ開始30分ほどで「どちらの選択肢を選んでもバッドエンドに行く」イベントに遭遇することがあった。発売日ということもあり進行不能のバグかと勘違いした。しかし、もう一度最初に選んだ選択肢を選ぶと、何故かシナリオが進行したのだ。わけが分からなかったが、実はこれも想定されたイベントであると理解した瞬間にはゾッと鳥肌がたち、「これは凄いゲームに出会ってしまったかもしれない…!」と期待感が大いに高まった。

これに始まり、単なる選択肢の違いや好感度による分岐ではなく、メタ的な視点も多く要求されるフラグ立ての遊びが非常に面白い。ひらめきが要求されるものも多く、最後のほうはかなり難しいものばかり残るはずだ。だが、プレイヤーの頼もしい相棒である、天使・クピャドエルがユーモアたっぷりにヒントを出してくれるので、それを駆使すれば自力でもなんとかなるようになっているのもとてもうれしい。
そして、最後には高まった期待を大きく超える「真エンド」も待ち受けている。これまでの苦労も相まってひたすらに感動していると、「おまけシナリオ編」が始まった。まるでフルコースを食べた後に山盛りのデザートが出てきたような大ボリュームで、こちらもおまけとは思えないほどの工数がかけられている。至れり尽くせりの徹底ぶりだ。
下ネタが苦手な人にとって難しいゲームなのは間違いないが、逆に言えばそこをクリアしてしまえば、ビジュアルノベルファンがケモナー向けだからとこれを遊ばないのは本当にもったいない。今すぐ遊んでほしいクリエイターの愛が詰まった一本である。

魔法少女ノ魔女裁判
30時間
中学生狙い撃ちのような露悪プロモーションが悪い意味で知れ渡っており、インディーファンからは見向きもされていなかった印象のこの作品。そもそも自分は逆転裁判・ダンガンロンパを全てプレイしている筋金入りの推理ADVファンで、こんなガワを女の子まみれにしただけのフォロワーゲームなど最も嫌悪感を寄せる類のゲームという第一印象だった。

しかし、発売後から非常に高い評価を獲得し、徐々にクリエイターやADVファンからも良い評価を聞くようになったため、それに後押しされる形でプレイ。まあ100%自分に刺さることは無いが、このような記事を書く以上はこういった話題作をプレイしないのは違うというプライドもあった。
約30時間というそこそこボリュームのある内容だが、約一週間でトゥルーエンドまでを確認。すぐさま東京タワーで行われているコラボイベントの詳細を調べ、Discordサーバーで並行するように遊んでいた全国の友人を招集。兵庫・名古屋・茨城の人間を含む5名の“共犯者”が36度の真夏日に東京タワーに集合。満面の笑みで【推し】とのツーショットを撮影し、謎解きイベントを完走し、近隣書店で作中CGを絵画にして飾る素敵なイベントに参加し、夜はイタリア料理に舌鼓を打ちながら遅くまで「エマがさあ」「メルルがさあ」「ココがさあ」と語りあった。




以上です。
カエル探偵1~3
1作1時間×3
どう考えても推理アドベンチャーっぽいタイトルをしているが、一切推理要素は無く、拾ったりもらえたりするアイテムを住人と交換しているうちに、いつのまにか奇跡的に事件が解決するという発明的な展開を楽しめるアドベンチャーゲーム。

探偵のトレードマークということで最初は虫眼鏡を取得するところから始まるが、その虫眼鏡が活用されるところは一切無い。住人も住人で自分のことしか眼中にないが、全ての住人が他人の素行に興味が無いのでコミュニティが成立している風景など、“ゆるい”という一言では済まされない独特な雰囲気を形成している。シュールギャグ好きにとってはたまらない作品だ。

Steamでは2018年に発売されており、昔からファンの多い作品だったが、2025年に『Undertale』などの翻訳で知られる福市恵子さんによりローカライズが行われたことにより遊ぶことができた。おそらく機械翻訳では味わうことのできない笑いを守ってくれていると思われるので、ローカライズに関わった皆様には大いに感謝したい。
Baby Steps
10時間
壺おじこと『Getting Over It with Bennett Foddy』制作者が関わる新作。もちろん今回も苦行ゲーである。

今回プレイヤーは左右の足の上げ下げと、足をどこに置くか(正確には足の付け根の関節)を操作させられることになる。通常の歩幅であればめでたく一歩踏み出すことができるが、少しでも関節の可動域より広く動かそうとしてしまうと、35歳ニートの主人公・ネイトは苦悶の声をあげながら地面をゴロゴロと転がってしまう。
実はというほどでもなくゲーマー界隈では有名だが、この作者壺おじ以前には『QWOP』(https://www.foddy.net/Athletics.html)という4つのボタン(両足の第一・第二関節)を操作して100メートルを走り切るという奇妙なゲームを開発している。ブラウザゲーなので気軽に遊べるほか、想像するよりもはるかに難しい操作性が笑えるので是非一度挑戦してみてほしい。
この「歩く(走る)」という動作に執着があるのかは不明だが、『QWOP』の発表から17年の時を経て、非常にやりがいあふれる「とても楽しい苦行ゲー」に変貌していることにまず驚いた。(これは本当です。カエル探偵で正気を失ったわけではありません)

最初こそコケまくりの転がりまくりのネイトだが、徐々に走るような速度で動かせるようになっていき、滑る足場も、崖もヒョイヒョイと登れるようになるプレイヤースキルの向上がとても楽しい。もちろん時にはネイトと一緒に叫びながら30分ほど巻き戻されるが、まあ30分ならかわいいものだ。
最もうれしいのは、その苦行に見合う重厚で美しいシナリオが最後の最後まで待っていたことだった。
何度滑落してもプレイヤーの心が折れるまで歩くことをやめない体験は、終盤大きな感動として押し寄せてくる。
現在は明らかに過小評価としか言いようが無いほどプレイヤーが少ないので、こういったゲーム性とストーリーの絡ませ方が上手なゲームが好きな人はぜひ遊んで見てほしい。
Gentoo Rescue
26時間
今年最も気が狂うような苦しみを味わったパズルゲーム。大傑作(なぜならクリア後は苦しくないので)。
見た目通り倉庫番だが、基本的には『ポケモン』の氷の洞窟ギミックのように、一度動き出すと壁に当たるまでは止まることができない。そのうえでペンギンは同色のゴール(子ペンギン)に、セイウチは氷から落として退場してもらわなければならないというのが共通するルールだ。これに例外は無い。
最もユニークなのはペンギンやセイウチが装備することができるアイテムがフィールドギミックになっていることだ。例えば他のペンギンを押し出すことができる「ハンマー」や、壁に当たると一歩戻される「バネ」など、序盤からバリエーション豊かに襲い掛かってくる。一歩ずつ歩くことができるようになる「杖」などは一見ありがたそうに見えるが、すぐにマスに停止すると操作できなくなる(普段は滑るので問題無い)「霧」がある場合は逆に杖が邪魔になることに気づくなど、チュートリアルは最小限に『Baba is You』『Can of Wormhole』などの名作倉庫番のようなひとひねりある問題ばかり取り揃えられており、脳が休まる瞬間は片時もないほどだった。うれしくない。
今年一番のヤバパズルと名高い『GENTOO RESCUE』、こんなゲームです
— のす (@nosunosu) 2025年10月4日
苦しいです pic.twitter.com/VaeU11UjFG
なので公式ジャンル「パズルメトロイドヴァニア」は終わってみれば大真面目だったことがわかった。このアイテムの挙動だけではなく、アイテム同士の組み合わせによってどういった挙動になるのかを理解することがクリアすることには必須になるのである。例えば隣接するペンギンの片方をハンマーで殴った時(飛ぶ先のマスに空きが無い場合)どういった挙動になるのか……上下1マスしかない場所でバネを発動するとどうなるのか……。

こういった発見や好奇心に最大の驚きで答えてくれる、2025年を代表するといって間違いない最高の骨太パズルなのでおすすめである。おすすめって言ってますよ。やりますよね? 頑張ってください
Wanderstop
11時間
プレイヤーの行動が全てナレーションされてしまう『The Stanley Parable』や、とあるゲームクリエイターの信者目線で次々と短編ゲームを紹介される『The Beginner’s Guide』など、メタ構造の大名作を生み出したDavey Wreden氏の農場アドベンチャー。今回は個人製作ではなく、自分で設立した会社での作品で、8年ぶりの新作だ。
ストーリーは以下のようなものだ。戦いに明け暮れた常勝無敗の主人公が敗北を経験し、それ以降何をしてもうまくいかなくなってしまう。「伝説の戦士」に無敵のように強くなる方法を教えてもらうため、深い森の中へと旅に出たが、迷ったあげく意識を失うと、そこにはポップでかわいらしい喫茶店があった。店主のボロの勧めもあり、いずれはまた戦士としての日常に戻るため、彼女は一旦この店で働きながら休息を取ることになる。

こうしてみると精神病や頑張りすぎて壊れてしまった人のための優しいメッセージ性のある導入にも思えるが、初期2作を体験している人は「どうせ途中からソウルライクにでもなるのでしょう」と穿った見方をしてしまった事だろう。そのくらい、この人の過去作は人を食ったような態度で爪痕を残している。
しかしこれは大きな間違いで、そういった勘違いをしている人ほど、この丁寧に作りあげられた優しいセラピーのような農場ゲームに驚かされることになる。
最後まで面倒くさいお茶づくりや、一切感情移入できない奇抜な登場人物たちとのふれあいなどが全編通して存在するので、刺激を求めるゲーマーにははっきり言っておすすめできない。しかし、それらの要素がなぜ存在するのかがわかってくると、主人公と自分を重ね合わせることができ、とてもリラックスしてゲームを終えることができたと思い返す。もちろん、自分はペンギンを滑らせて脳汁を噴出させるタイプのゲーマーなので、この感想を得られたこと自体に驚きがあった。

作者自身もうつの経験があると報道されているが、こういったつらい経験がフルに活かされた作品だと感じる、ありがたいゲームだった。
スプリットフィクション
12.7時間

二人専用ゲーム『It Takes Two』を製作したHazelight Studiosの新作。今回ももちろん二人プレイ専用なので、遊ぶには友達かクローンか幽霊か何かを用意する必要がある。
莫大な金と時間、クリエイターの遊び心がみちみちに詰まった作品で、前作よりもパワーアップした「とにかく楽しい」が2人で味わえる唯一無二の作品だ。オーソドックスなアクションゲームをここまでの楽しさに仕上げているのは、それぞれが1本の短編ゲームができそうなくらい面白いアイデアを15分~30分でどんどん使い捨て、プレイヤーが慣れてきた頃に新しい遊びを提供してしまう贅沢さにこそある。

前作はお世辞にもストーリーが面白いとは思えず、なんでこんなサイコパスゴミウンコバカカスノンデリストーリーが著名GOTYに選ばれるんだ……と思ったが、そういった意味不明な要素はなりを潜め、ちゃんと感情移入して楽しめる素敵な物語になっているのがありがたい。
AAA価格ではあるが、1本買うと二人でネット越しに遊べることを考えると半額で考えるのが適正。というか1万円でもお釣りくるような凄い体験ができるとすら思う。これを読んでいるのが人類最後の一人じゃない限りは絶対に遊ぼう。
都市伝説解体センター
11時間
トシカイ。今年日本で最も成功したタイトルと言えるのではないだろうか。

正直かなり良くないプレイ感やテンポ、そして明らかに欲張りすぎのラストにブチギレしてるフォロワーが多く、好きだと言うと呪い■されそうで怖いタイトルだが、俺は好きだったと声を大にして言いたい。
このゲームがここまで評価された最大のポイントは、オカルトやホラー、露悪SNSという一般層は触りたがらないシナリオを、TRICKなどの日本ドラマっぽい短編の構成をテンプレートとしてはめ込み身近な安心感のあるものとして演出していること。そしてキュートな主人公やマネしたくなるような廻谷渉の解体ポーズなどのポップな演出を多く入れることで、“絶対に無くてはならない醜悪さ”のクッション材として機能している。


推理ゲームではあるが総当たりを許容し、誰でもクリアできるような難易度に留めるだけではなく、少し無理のある展開でも毎話驚きをもたらし、各章約1時間半に一回はカタルシスを得られる。トドメには、とても豪華なエンディングムービーとかっこいいラップ調の楽曲付きだ。「オールクリア実績取得率54%」というADVでは到底見たことの無いような大きな割合は、このような工夫の積み重ねによって狙って作られたものだろう。
敷居を圧倒的に下げたことで「ADVゲームが楽しい」と初めて感じることができたユーザーがとても多く、だからこそその感動が共有され、一般層に大きく広がったという偉大な功績に古来からのADVファンから感謝をしたい。次は『euphoria』やろうね。
メタ的にばかり褒めているようでなんだか胡散臭いが、なんだかんだ言って最終章でひとまとまりになるシナリオは純粋に美しいし、前作『和階堂真の事件簿』シリーズを作っていたクリエイターらしいしっかりとした動機とSNS大衆の醜悪な描写が結びつく瞬間はとても高級だったと思う。ラストの欲張り方にはかなり思うところがあったが、トータルすると「ジャスミンさんが主人公の二作目を絶対見たいンゴねぇ」が感想として圧倒的に勝ったので今後もひいきに応援したいシリーズだ。
Hollow Knight: Silksong
30時間くらい
(ゲーパスでプレイ)
いったい何年待ったんだ? 7年らしい。時間の流れが早すぎて怖い。
どれだけ革新的なメトロイドヴァニアが登場するのかとワクワクしていたが、ホロウナイト原作が押し入れの中で7年熟成されただけのような作品が登場してかなりびっくりした。案の定死ぬほど叩かれてて笑った。
でも結局これがやりたかったんだなあを感じる超難易度と、死んだ時の罰ゲームのようなペナルティでボスを突破した瞬間が最高に気持ちいい。曲がよくビジュアルも良く、今作はストーリーもわかりやすくて楽しいボスが多い。いかれたボリュームも相まって睡眠時間を削りながらプレイしたが、本当に楽しい30時間だった。結局求めていたのはこれだったのだ。
お気に入りのボスは、カーメリタとラスボス。最初は無理ゲーかと思うような苛烈さを感じるが、パターンを覚えていく成長と被弾をギリギリで抑える真骨頂が味わえるボスだ。
どちらも3章に登場することもあり、とにかく終盤の印象がいい。
実はキャラクターの親しみやすさやボスデザイン、わかりやすく没入しやすいストーリーなど、7年間の熟成は伊達じゃないということがクリア後にわかるというのはホロウナイトをずっと好きで居続けた自分にとって胸が熱くなるような体験であった。
GOTY
Blue Prince
ゲーム内120時間、外での思考20時間くらい
(ゲーパスでプレイ)
これだけ素晴らしいゲームが出まくった2025年。正直こいつがいなければ一番を選ぶのはかなり難しかったと感じる。でも、『Blue Prince』が間違いなく1番だ。100点満点で点数をつけるとすれば、300兆点だ。
骨太すぎるプレイ時間や、とある理由でローカライズが難しく、おそらく日本語化されることは無いので、英語を頑張るか機械翻訳のツールを活用しつつ攻略するしか無いところなど、尻込みする要素満載なのはわかる。しかしこの作品を遊ばないのはもったいないどころの騒ぎでは無いので、この後にダラダラと続いているゲームの説明や自分のオタク的な語りはもう無視して、すぐにSteamで購入して遊び始めてほしい。ここまで読んでいただき、感性と合いそうな人がいればなおさらだ。
もう少し背中を押してほしい人はそのまま読み進めていただきたい(ありがとうございます)。
このゲームは、屋敷にある部屋を線路のように建築しつつ、屋敷の最奥にたどり着くローグライクアドベンチャーゲームだ。一日は必ず5×9マスのマップの中央一番下の列から始まり、部屋には左右と上に3つの扉がある。扉をインタラクトすると建築対象となる3つの部屋がランダムで提示され、この中から次の部屋を選択させられる。

左の「NOOK」は左に進むことしかできない部屋だ。つまり、最初の部屋で選択する場合、左の道にこれを作ってしまうと、次の部屋が場外になってしまうため行き止まりになってしまう。この場合、左の道は潰れてしまうので、戻って最初の部屋の開けていない扉で再チャレンジするほかない。
その点、右の「PASSAGEWAY」は非常に強いマスだ。なぜなら左右上の3つに接続するので先に進めることが確定する上、このゲームにおいて「開けていない扉の数」は残機にも等しいのでとてもうれしい。
真ん中の「CLOSET」はどの道にも繋がらない代わりに、アイテムが必ず2つ置いてあるというマスだ。アイテムはローグライクでいうパッシブ効果を得るもの(行き止まりマスが出にくくなるとか、お金が貯まりやすくなるとか)や、時折「鍵」や「宝石」を消費しないと開けられない部屋が出現するため、それらの消費アイテムがもらえる場合もある。実は最初の「NOOK」は一見すると左にしか曲がれない弱い部屋ではあるが、この「鍵」が必ず1つ手に入るというのが強い。
こうしてみると非常にボードゲーム的な遊びであることがわかる。リソースを管理しつつ、屋敷のどこかにあると言われている「46番目の部屋」を目指すのが目的と最初に提示されるミステリアスな設定も探求心に火が付く魅力にあふれている。
さらに面白いところが、デジタルゲームでしかできない「知識アンロックによる有利」によって部屋が強化されることだ。実はいくつかの部屋には隠された謎が存在し、それを解くことができればジェムが余計に一つ入手できたりとうれしいことが起こる。これはゲーム中でランダム性を持たず不変なので、「ここでジェムがもらえる」ということがわかっていれば建築ピックで選ぶ理由が一つ増える。
謎はわかりやすいものから、別の謎の報酬によってアンロックされる謎など、うじゃうじゃと沸いてくる。ランダムピックの線路繋ぎゲームをこなしつつ、この謎を集め、考えていくうちに、プレイヤーはストーリーと密接に紐づいたとあることに気づくだろう。
46番目の部屋、遺言、母の足跡、使用人たちの願い、8という数字に込められた思い、Sigil、歯車、この世界、歴史……思い出すだけでゾクゾクとした感動が押し寄せてくる。このゲームがやらせたかったのは建築パズルではない、それを通して何を思い、何を描くのか。ここまで密接にストーリーと遊びを紐づけたゲームは、2024年最も好みだった『Void Stranger』くらいなのではないかと感じる。

このゲームはそれだけにとどまらない。『TUNIC』のような神秘性による爆発的感動、『Lamulana』のようなストーリーの理解を必要とする謎解き、『Celeste』のようなプレイヤースキルの向上と体験の紐づき、『Inscryption』のような鳥肌が立つメインゲームからの逸脱、『The Witness』のようなひらめく事で到来する恐怖……ネタバレになるのでこの辺にしておくが、自分がここまでゲームにのめりこむ事になった数多の作品を彷彿とさせる要素が一つの作品としてまとまっており、その作りこみやボリュームは狂気的と言わざるを得ない。
正直150時間の体験の中にはランダム性を持ったメインゲームが邪魔をし、非常にくだらないとすら思える作業でしかない時間も短くない時間で存在したが、そういった苦労を補って余りある体験が多すぎる。
自分が信じる好きを研ぎ澄ませ、異常に尖らせたまさに“作品”というべき傑作ということで、2025年最も興奮したのはやはり『Blue Prince』で間違いない。
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ここまで読んでいただきありがとうございました。
今年はINDIE Live Expo運営をお手伝いするという夢も叶い、非常に充実した年となりました。
応援してくださった皆様には心からお礼申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年を!
のす