この記事は、Zabbix - Qiita Advent Calendar 2025 - Qiita 24日目の記事です。
昨日は1日空白でしたが、その前の投稿は@hameko さんの
【後編】【RHEL 9.0/オンプレ】Zabbix初心者によるサーバー構築からAgent監視開始までの簡易ガイド #Linux - Qiita!
Zabbix6.0LTSを前提としたZabbix環境構築を丁寧にまとめてくださっています。
前回の続きですねー。せっかくアドカレ見てらっしゃる方、前後編を参考に環境を作ってみるのもよいかもしれません。
さて、本編です。
この記事を読むとわかること
- ネットワーク機器の障害のトラブルシュートとZabbixのMap機能の重要な関連性
- ZabbixのMapにおける構成の抽象化のレベルと視認性向上のためのTips
今回はテンプレートではなく、概念論の話になっています。予めご了承ください。
■目次(クリックすると展開されます)
- この記事を読むとわかること
- 前置き
- 私のNW図のこだわり
- ネットワーク機器の障害のトラブルシュートとZabbixのMap機能の重要な関連性
- ZabbixのMapにおける構成の抽象化のレベルと視認性向上のためのTips
- 実際のイメージ
- さらなる可視化の効果
- 終わりに
前置き
ZabbixはMapという素晴らしい機能があります。
しかし、Zabbixを使っていても、Mapをしっかり使いこなしている、という方は少ないのではないでしょうか。
先日、TISの萩原さんが、ネットワーク図に関するとても素晴らしい書籍と、それに関するブログを書いてくださっていました。
※気が付いたら資料DLが追記されてました。
私も本書を物理本で購入し、大変堪能させていただきました。
ネットワーク図描き方入門、届いたー
— tatematsu_san (@tk4_jj) 2025年12月22日
右は比較のためのipadmini。
聞いてたとおり、割と大判だ。 pic.twitter.com/kui193CIRD
私はネットワークを得意領域としているIT屋さんなので、色々とネットワーク図にはこだわりがあります。
細かいこだわりを↑のツイートの中にぶら下げているのですが、生成AIにまとめさせるとこんな感じでした。
それでも比較的長いので、興味がある方はご覧ください。
■Geminiくんによるまとめ(クリックすると展開されます)
私のNW図のこだわり
ご提示いただいたログは、ネットワーク構成図の作成における「抽象化の考え方」と「メンテナンス性の向上」に関する知見をまとめたものです。
要点を3つの観点で簡潔にまとめました。
1. 図面の設計思想:何を描き、何を省くか
- 抽象度の決定: いきなり書き始めず、まず「何を描き、何を描かないか」の抽象レベルを定義し、手書きで収まりを確認してからデータ化する。
- 「あえて繋げない」勇気: 拠点が多数ある場合(目安10以上)、全てを線で結ぶと視認性が下がる。線ではなく「色分け」や「機器数」で情報を伝え、図をスッキリさせる。
- 図の分割: 全体図に情報を詰め込まず、必要に応じて「WAN構成図」や「拠点詳細図」へと切り出し、draw.ioのシート機能などを活用して目的別に管理する。
2. メンテナンス性の重視
- 保守的な慣習からの脱却: 「昔からのフォーマットだから」と使いにくい図を維持するのではなく、自分がメンテしやすい形へ柔軟に変更すべき。
- 「変えられない条件」ではなく「課題」: 既存のルールは尊重しつつも、より良い形にするための解決すべき課題として捉え直す。
3. チーム・周囲との合意形成
- 属人化の防止: 自分しか触れない図面にならないよう、「この形にすればメンテが捗る」というメリットを周囲に説明し、合意を得ることが最重要。
- 共同作業への配慮: 誰が図を更新するのかを考慮し、チーム全体で運用しやすい構成を目指す。
流石Geminiくん、素晴らしいまとめです。無料なのにすごい。
じゃあ、そのネットワーク構成図の書き方や注意点がわかったことで、それをどうやってZabbixで活用するのか?というのが本編の始まりです。(前置きが長くてすみません)
ネットワーク機器の障害のトラブルシュートとZabbixのMap機能の重要な関連性
冒頭にも書きましたが、みなさんZabbixのMap機能は活用してらっしゃいますでしょうか?
私は、前職でも現職でも、ZabbixのMapをフル活用し、障害が発生した場合でも迅速に対応できるようにしています。
ネットワーク機器の障害は、以下のような特性を持っています。
- 上位機器での障害が発生すると、配下の機器群がすべてアラートになる。(監視経路の問題)
- 依存関係で大量アラートは制御できますが、テンプレートなどとの相性が良くないのと、障害の全容が隠れてしまうので、個人的にはオススメしません。
- 大量にアラートが発生すると、以下の点が非常にわかりにくくなる。
- アラートの発信源はどこなのか?
- 今の環境の状況はどうなっているのか?
- なにができるのか?
- 何ができないのか?
- どこなら使えるのか?どこは使えないのか?
- 大体、即時の報告と迅速な復旧対応を求められる。
- いつもは「何も仕事してないのに」とか言われるのにこういう時だけあたりが強い
- そもそも現場に行かないと何が起こっているか分かりにくい
- 通信環境が途絶していると、機器に入っての情報収集や、連絡すらままならない
- 大量のアラートのオンコールがきて泣きたくなる。
- 携帯電話を投げつけたくなる
- 次の報告はまだか!?というお叱りが飛んでくる。
- 切り分けにも手を割きたいのに、報告もやらないといけない。
ネットワークエンジニアのつらいところですよね。
現場に見に来て手伝えって言いたくなりますよね。
自分で状況をまとめろ、と思う時もありますよね。
もっとお賃金ほしいって思う時もありますよね。
私も、つい先日、自分が幹事をしていたAnsibleコミュニティの忘年会の日に限って障害が発生し、忘年会にも参加できず、とても悔しい思いをしました。

総務省から、そんなNWエンジニアの業務実態調査のアンケートが来ています。
思うところがある方はアンケートに参加してみてはいかがでしょうか。
ただ、やはりそういう時は、情報の共有・状況の記録・可視性の向上が肝である、と私は思っています。
ZabbixのMap機能を活用することで、上記の課題が一気に解決可能だと考えています。
ZabbixのMapにおける構成の抽象化のレベルと視認性向上のためのTips
私はこういう時に備えて、ネットワーク環境構築の時点からZabbixのMapを活用し、以下の観点で整理をしています。
- (1)全体構成図で、拠点ごとのアラート状況を視認できる最上位のMapをつくる
- これのために拠点ごとにホストをグルーピングする
- そこに、下位のMapを「サブマップ」の機能で関連付ける
- (2)その拠点内のネットワーク構成に合わせて「物理・論理合成のトポロジーを示す」拠点内NW構成のMapを作る
- ここで、書籍などを参考に作成したNW構成図を背景イメージにするのも大変良いと思います。(構成図の背景に重ねる形で、同じ場所に対象のホストを置く、というイメージです)
- (3)その拠点内でネットワーク機器がどこに設置されているか、という、図面を背景イメージにしたレイアウト図と機器のマッピングをしたMapを作る
- ここが活用できるかは業務範囲次第だと思いますが、頷く方もおられるのではないでしょうか。
どういうイメージか、生成AIの力を借りて簡単に表現してみます。

やはり有能ですね。
文字はあまり読めませんが、2番目に物理論理NW図的なものが登場していますね。
ちなみに、これらは同一Mapのように見えますが、私個人としては「3階層のMapに分ける」ことを強く推奨します。
理由は以下の通りです。
- メンテナンス性向上のため
- Map間の行き来を楽にするため
- 2番目の背景画像にNW構成図を使うことで作成の手間を省くため
基本となるMapを分けていれば、より視認性をあげるために、 複数のMapを並べたダッシュボードを作る、というのもありだと思います。ここは考え方や目的次第で正解が変わります。
ちなみに、これはネットワーク構成図に限った話ではありません。
ラック図でも同じ活用方法が可能です。
実際のイメージ
実際に障害が発生したときをイメージしながら、業務動線を整理してみましょう。
適当に自宅のホストをMapに並べて、イメージをわかりやすくしています。
(NW図の話をしてますが、イメージ画像はサーバ系でちょっとわかりにくくなり申し訳ありません)
- <0>頑張ってMapを作る。
- <1>アラートが来る。
- とりあえず(1)の全体Mapを確認する。ここでどの拠点で発生しているアラートかが確認できる。

- <2> リンクをたどり(2)の拠点Mapを覗く
- どの機器がアラートを出していて、どこは使えているのかが一目でわかる。

- <3> ホストグループを並べたMapを見る→これで「どのホストなのか」が特定できる

<4>とりあえず<1><2><3>で得られたデータをMapのScreenShotで共有する
- これで「見にこい」が避けられる
- まず状況が伝えられるので、落ち着ける。
- 周りも状況が見えるようになるのでサポートがしやすくなる。
<5>レイアウト図とのマッピングをした(3)を確認する
- これで、物理的にどこに置いてある機器でその異常が発生しているかがわかる。
- 「ここを見に行って」が正確に伝えられる。

※図面は例示用に、一般社団法人日本CLT協会様のHPよりお借りしました。
- <6> 障害が収まってきたときにも、(2)で現状どこまで回復してきたが一目でわかる
- 周りから安心が得やすい
- <7> 障害が完全におさまったら、Mapがきれいに戻る
- 安心して眠りにつける
<8> よくやったとほめられ、おちんぎんがあがる。
どうです?ZabbixのMap機能。
すごくないですか?
Mapを作るだけでおちんぎんがあがるんですよ??
この形を、割と10年くらいずっとこだわり続けて使っています。
Mapのおかげで、私の行う障害対応は、問題特定から指示出し、問題解決まで非常にスピーディに対応できています。これで少人数で運用しても怖くありません。
これのいいところは、比較的プロセス化できていることです。
今のご時世であればAIエージェントに途中までの状態を肩代わりさせることができるようになっていると思います。
実際、(2)と(3)は比較的作るのが大変なので、それを避けたくなるのは、気持ちはとてもよくわかります。
ただ、実際に障害が発生した場合には、(2)と(3)の仕込みがあって本当に良かった、という感想を抱かれることは間違いないと思います。
上記を楽にする方法については、このアドカレの外にはなってしまうと思いますが、(2)(3)をどのように楽に作るのか?という記事を書く予定です。
興味のある方は、その記事をお待ちください。
さらなる可視化の効果
見えるようになるだけじゃ…とお考えのあなたに朗報です。
可視化を徹底すると、以下のようなメリットも出てきます。
- 複数拠点、複数システムで同時に障害が発生した際の優先順位付け、手分けが容易になる
- 同じ拠点のなかで複数個所でトラブルが発生しているときにも、どこから回復させるかの意思決定がしやすくなる
- いざ自分の担当していた障害が終わった時に、ほかの方はどうなったか?というのをわざわざ聞かなくても、Mapを観れば状況が分かる。
インシデントコマンダーが立つ場合、その人に上記のような優先順位付けをしてもらうためにも、わざわざ文章で報告する必要がなくなります。
いい絵がありましたので、日経クロステック様の記事から画像を引用させていただきます。
この役割分担の中のどこが楽になるか、イメージしてみてください。
どうです?
Map、すごくないですか?
過去に起こったトラブルのシナリオを頭のなかでイメージしながら、「もしあの時Mapがあったらどうだったかな?」と思い出してみてください。
でも、「あの障害の時のアラートの出方はどうだったかな…」なんて、なかなか思い出せませんよね。
「報告書内に時系列毎にシステムのステータスを表現する必要があるが、アラート大量すぎてまとめるのがつらい」
こんなシーンを思い出した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
Map機能を使って随時でScreenShotで状況を撮影しておくと、時系列とステータスを紐付けて記録することが容易になります。
「大規模なところがやるから価値があるのであって、ウチみたいなところは…」
規模ではありません。楽をしたいかどうかです。【できるかな?じゃねえ、やるんだよ】ってやつです。
また、障害対応のシャドーイングにも効果を発揮しますので、メンバーの育成にも活用可能です。そう信じてます。
いくつものユースケースを書いてみましたが、いかがだったでしょうか。
きっと、Map機能にすごく魅力を感じて頂けることと思います。
辛い障害対応 得られない協力体制 面倒な報告書作成 進まない後進の教育
この世には、少しでも楽になったほうが幸せになれるものがたくさんあります。
それらをZabbixのMapの力で、すべて消し去ります。
…まではできませんが、確実に楽にすることができるはずです。
このあたりの私の考えを長々とTwitterなどに書いてますが、簡単に参照できるようにNotebookLMにしておきました。どなたでもご利用いただけます。
https://notebooklm.google.com/notebook/af790245-259d-40ff-b61e-845da21f8667
終わりに
自分としてもずっと大好きなZabbixのMap機能の魅力が少しでも伝わりましたでしょうか。
運用を楽にするためには、初期の頃の作りこみがとても大事です。
みなさん、ハッピーな運用を行うためにも、ZabbixのMap機能をフル活用してみてはいかがでしょうか!!
それでは、メリークリスマス!!

だれもいない。ワンちゃん、可愛い。
