はじめに
2026/02/11-13 に JANOG57 Meeting in OSAKA が開催されました。ホストはさくらインターネットさんです。
現地参加はできませんでしたが、オンラインで参加しました。
登録者数は 6,000人を超え、実際の入場者数も合計 5,000 人を超えたとのことです。
本記事では、リアルタイムで視聴できたプログラムを中心にした感想や、全体的な所感についてまとめます。
なお、各プログラムの詳細ページから資料や、アーカイブ動画が公開される予定です(一部を除く)。
([2026/03/11 追記] アーカイブが公開されていました)
※ 参加された方でアンケート回答がまだの方は 2026/2/27 までにお忘れなく!
視聴プログラム
当日リアルタイムで視聴できたプログラムについての感想です。
(張り付いて見れていたわけではないので、一部は遡ってインプットしました)
ネットワークのデジタルツインに求める要件は何ですか?~理想的な仮想環境への期待と現状~
自動化の文脈を含め、しばしば話題にあがるのが検証環境、ラボ環境をどうするかという課題。本プログラムはそんな「ネットワークのデジタルツイン」として何を求めるのかを整理、議論する場でした。
「デジタルツイン」という言葉自体はほかの分野でも利用されますが、ネットワークの分野では単なるラボ環境ではなく、より本番環境に近いモノをといった意味合いを感じました。
ネットワークデジタルツインの「実装の分類」では「数理モデル型」「仮想NW型」に分けて説明がされていました。仮想NW側のプロダクト例に Cisco Modeling Labs(CML)が載っていて、なじみがあってイメージが付きやすかったです。プロダクトや実装の話と対応させると分かりやすく感じてありがたいです。
お話を聞いて全体的に感じたのは、完全に本番環境と同じ環境にはできないので、その環境に何を期待して、何を期待しないのかを明確にすることが重要という点です。様々な立場の人が利用することになるため、これらの期待のすり合わせができていないと、全然使えないものという評価に落とされてしまいます。
たとえば、物理インターフェース名が本番環境と違うのはあるあるです。仮に「ふるまいが確認できればいい」と一言で言ったとしても、どのポートからどのポートにいくかという物理レベルの流れを「ふるまい」と指す人もいるでしょうし、IPレベルの経路を「ふるまい」と指す人もいるかもしれません。「ふるまい」という言葉がでてきたときはどのレイヤーの話なのかを合わせる必要があるなと思いました。
他に印象的だったのが、「信用を積み上げるプロセスを作る」というお話です。いきなり「これデジタルツインだから」とポンと渡されても、使う側はなかなか信用できません。なので、過去の障害を再現できることを確認するなどして、信用の起点を作り、積み上げるのが重要だというお話でした。ネットワークデジタルツインにかかわらず、いろいろなことに通じる話だなと思いました。
また、確か質疑応答の中であった「完璧なものではないという点は、従来の物理的な検証環境も同じ。従来もその環境でヨシとした経緯があったはず。仮想環境でも同様に、何が懸念で、どうだったらGoなのかを見極めることが重要」という趣旨のお話も印象的でした。新しいものにはどこか抵抗があったりもしますが、よく考えたら本質的には今まで同じ、という点も確かにありそうです。
発表内容でも質疑応答の時間でも containerlab の話が出てきたので、結構ちゃんと使われているのだなと思いました。
ほか「(完璧なものではなく)80点なら80点の活用方法がある」という意見も印象的でした。確かに。
生成AI × ネットワーク故障解析~AIエージェントを現場に導入して見えた課題と可能性~
ネットワークの運用を支援するためにAIエージェントを利用して、そこから得られた評価や課題、可能性についてのプログラムでした。
こんなことできたらいいな、ではなく実際に試して得られたフィードバックから何を学んだか、という二周目、あるいはそれ以上のプログラムが増えてきました気がします。ありがたいです。
AI活用のアプローチにはさまざまあると思いますが、今回は「特定NWに特化しない」というコンセプトで作られたそうです。チューニングするのも大変なので、逆に利用者に柔軟に使ってもらうことを想定されていました。
具体的でわかりやすかったのは資料 P20 からの、役に立った例と役に立たなかった例です。役に立った例は、リソース状況やエラーログなどの確認。一方で、インターフェースのdown状態を正しく認識できない、コンフィグ生成時にACLの向きが考慮されないなどが役に立たなかった例として挙げられていました。
総じて、複数機器を組み合わせた「系」としての解析が難しいのかなという印象を受けました。ネットワーク的にはこの「系」で見ることが大事だったりしますよね。
この弱点を改善するために今回は、AIエージェントが状況に合わせて手順書などの外部情報を参照させる仕組みを組み合わせることを考えられたそうです。必要になってくるのは手順書や暗黙知なので、人間がきちんと情報を準備することがやはり重要そうです。
質疑応答のパートでのどなたかのお話で印象的だったのは、上級エンジニアの方がこの手のものを使いこなせていた、という事例です。スキルの底上げする目的で生成AIを導入するケースもあると思いますが、扱う対象業務や技術的な領域の理解の深さがモノを言うケースも結構多いのではないかと思います。
Local LLM×AIエージェントで挑むNOC DevOps — 商用AIOpsのリアル
引き続き生成AIの話題。
いくつかトピックがありましたが、特に印象に残ったのは P11 からの「非構造化データの構造化」のお話です。
いかに有用なデータを準備するかが大きなポイントの一つになっていそうですが、これがまた大変そうでした。Excel や PowerPoint などで作成された既存の非構造データはそのままインプットにするには難しく、今回紹介された事例では Markdown に変換するツールを作成したそうです。
なかなか一筋縄ではいかないなと思いました。
当日はあまり視聴できなかったので、アーカイブが公開されたら改めて視聴しようと思います。
アーカイブ視聴予定
当日参加できたプログラム以外にも、興味深いプログラムがあるため、アーカイブが公開されたら視聴しようと思います。
主に以下のプログラムを中心に視聴予定です。
- 構成管理はどこまでやるべきか?ネットワーク運用の未来を見据えた検討と実践 - JANOG57 Meeting in Osaka
- 働けAI Agent! – NW障害時切り分け支援の実装と有用性評価 – - JANOG57 Meeting in Osaka
- NETCONをLLMで解く - JANOG57 Meeting in Osaka
- 「いま」メタルLANについて考えてみよう - JANOG57 Meeting in Osaka
また、オフレコプログラムだったため配信がなかった 「エンジニアリングする『組織』の育て方」については、後日、資料や関連記事がアップされました。現地にいたらぜひ参加したいプログラムだったのでありがたいです。
プログラム以外
プログラム本編以外で感じたことです。
NOC
NOC の活動も SNS で見かけることが多かったです。
参加者からは、Wi-Fi が快適だったという意見を複数見かけたので、安定した環境が提供されていたようです。
以下のように、気になる取り組みもされていました。
x.com今回のNOCでトポロジー生成&監視ツール「Shumoku」を作りました! NOC Liveでも配信中!!https://t.co/9Zi8IRz0Ao#janog57_noc #janog57 #JANOG pic.twitter.com/PhOVo9c5rs
— Akitoshi (@konoe_akitoshi) 2026年2月11日
JANOG57 NOCで使っていたTerraformやAnsibleを公開しましたhttps://t.co/uNMpFukxJ4
— こたまご🥚ひなたん @ 夏コミ日曜東6ケ61b (@chibiegg) 2026年2月26日
他にもツール群やルーターやスイッチとAPの設定ファイルなどもリポジトリをPublicにしていってますので、見て楽しんだり、参考にしたりしてください#janog57_noc #JANOG
また、実際に NOC を担当された方のブログも拝見しました。
- JANOG 57で初心者がDNSサーバー周りを担当したって話 - jaaasmineのメモ
- JANOG57 NOCのbackboneチームでスクラムマスター的な役割をしてきた - 実はhokkai7go
野良BoF がたくさん
BoF (Birds Of a Feather)は、通常のプログラムとは別で行われる座談会に近い場です。野良BoFは委員会による選考をしない点も特徴です。
通常はオンライン配信も行われないので、現地ならではの場です。
すごい多いですね。もし現地にいたら、ぜひとも「NW自動化/SRE/NREについて語るBoF」「ネットワーク自律化BoF」などは参加してみたかったものです。
大盛況の現地
冒頭にも書きましたが、現地に非常に多くの参加者がいた影響で、会場間の移動にお約束事(プロトコル)が設けられたようです。
各プログラムの終了時も、退場と次のプログラムの入場は別の扉を使う旨のアナウンスがされていました。
混雑による事故防止のため、スタッフの皆様は難しくて素早い判断が迫られたのではないかなと思います。お疲れさまでした。私は趣味でイベントやライブ会場に足を運ぶこともありますが、人の流れを制御するのって大変そうだなと思っています。
展示ブースインタビュー
スタッフの方によるブースへのインタビューが YouTube Live で配信されていました。ブース側の現地の盛り上がりも伝わってきました。
リモートでも参加してる感が得られる Slack
「オンライン参加であれば、あとでアーカイブ見ればよくない?」という考え方もありますが、リアルタイムで見るメリットは Slack でコメントや質問を通じて参加できる点です。
今回もちょこちょこ活用させていただきました。
弊社からスタッフ
[2026/03/03 追記]
あとから知ったのですが、今回は弊社(エーピーコミュニケーションズ)社員がスタッフとして参加していました。お疲れさまでした。
おわりに
やはり今回も AI の話が増えてきたような印象でした。さまざまな経験や知見を共有いただけるのはありがたいです。全体的に、生成AIの話は「できる/できない」ではなく、精度や性能の話に移っている印象を受けました。
この度は、スタッフのみなさま、登壇者のみなさま、ホスト企業のみなさま、ありがとうございました!
また、弊社のブース対応をしてくれたメンバーにも感謝です。
次回の JANOG 58 は 2026/07/15-17 に愛媛県松山市で開催予定。アリスタネットワークスジャパンさんがホスト。四国での JANOG 開催はこれで3県目で、4県までリーチだそうです。副社長が松山出身というご縁があるそうです。
参考
show int さんの関連動画
事前
ふりかえり
X ポストまとめ
実況ポスト、まとめありがとうございます!
私と JANOG のこれまで
- JANOG56 Meeting オンライン参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG55 Meeting オンライン参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG54 Meeting レポートその2: 登壇編「自動化の教育ってどうやってますか?」 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG54 Meeting レポートその1: 参加編 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG54 Meeting レポートその2: 登壇編「自動化の教育ってどうやってますか?」 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG53 Meeting アーカイブ視聴レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG52 Meeting 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG51 Meeting 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG50 Meeting in Hakodate 参加・登壇レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG49 Meeting in Kagoshima 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG48 Meeting 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG47 Meeting in Fukuoka 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
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