この記事は Ansible Advent Calendar 2025 の 24日目の記事です。
はじめに
2025年もまもなく終わりです。
ここ数年、自分のなかで定番化している、アドベントカレンダーのタイミングでその年の Ansible 関連のリリースや動向のまとめを書きます。
例年通り、ansible-core は 2回のバージョンアップがあり、さらに AAP 2.6 がリリースされました。ほか、コミュニティドキュメントの URL 変更もありました。
リリース
AAP 2.6 リリース
2025年10月に、AAP (Ansible Automation Platform) 2.6 がリリースされました。
個人的に一番大きなポイントは、バージョンアップやマイグレーションの情報がまとめられた点です。
ひとつ前のバージョン、AAP 2.5 コンテナ版のデプロイ方式が GA となりましたが、当時は 2.4 からのバージョンアップや RRM版(VMに直接インストールする方式)からのマイグレーションに関する情報は限定的でした。2.6 のリリースに伴って上記のように、ドキュメントが増えました。2024年の 2.5 のリリース時にバージョンアップをためらった経緯がある場合には、朗報なのではないでしょうか。
リリースから 2 か月ほど経った現在(2025 年 12 月)、さらに情報が増えており、マイグレーションに関する公式のブログ記事が公開されています。
他、以下の新機能が GA となりました。
- Ansible Lightspeed intelligent assistant(AAPのAIチャットボット)
- Ansible self-service automation portal(セルフサービス化するポータル)
- Ansible Automation Dashboard(自動化効果を可視化するダッシュボード)
なお、2.6 リリース当時は「Ansible self-service automation portal」は、OpenShift によるデプロイが前提でしたが、後日公開された AAP 2.6 の FAQ の記事(以下に引用)によると、そうではないデプロイ方式にも対応するロードマップがあるようです。
Do you plan to make the self-service automation portal available on a RHEL 9 virtual machine or for other non-OCP containerized installations?
Yes, our roadmap includes adding this feature as part of the containerized installer for Ansible Automation Platform with the goal of making it available for all customers regardless of their deployment mechanism.
AAP 2.6 の FAQ の記事は、いろいろ気になることも載っていますのでおすすめです。
(参考)当ブログによるまとめ記事
ansible-core 2.19 / Ansible 12 リリース
2025年7月に、ansible-core 2.19.0 がリリースされました。
- Changelog: ansible/changelogs/CHANGELOG-v2.19.rst at stable-2.19 · ansible/ansible · GitHub
- Porting Guide: Ansible-core 2.19 Porting Guide — Ansible Core Documentation
- ansible-core 2.19 / ansible 12 関連メモ
例年、5月と11月のリリースですが、今回は大きい改修(後述)があったため、何度かリスケされました。
Ansible Community Package(pip install ansible でインストールされる一式)としても、ansible-core 2.19 系を含むバージョン 12 がリリースされました。
- Changelog: ansible-build-data/12/CHANGELOG-v12.rst at main · ansible-community/ansible-build-data · GitHub
- Porting Guide: Ansible 12 Porting Guide — Ansible Community Documentation
ansible-core 2.19 での大きな変更点は何といってもテンプレート処理の改修です。セキュリティやパフォーマンス向上のためだったようです。Jinja2 を使うこと自体は変わりませんが、今までの条件式がエラーになる場合があります。
ポーティングガイド(再掲)をご一読いただくことをおすすめします。
ほか、エラーメッセージが分かりやすくなったといううれしい点もあります。
ansible-core 2.19.0b6 時点での検証ですが、詳細は以下のスライドにまとめています。
なお、コントロールノード、マネージドノードともに、サポートする Python のバージョンには変更ありませんでした。
ansible-core バージョンとサポート Python バージョンの対応表:
ansible-core 2.20 / Ansible 13 リリース
2025年11月に、ansible-core 2.20.0 がリリースされました。
- Changelog: ansible/changelogs/CHANGELOG-v2.20.rst at stable-2.20 · ansible/ansible · GitHub
- Porting Guide: Ansible-core 2.20 Porting Guide — Ansible Core Documentation
- ansible-core 2.20 / ansible 13 関連メモ
Ansible Community Package (pip install ansible でインストールされるもの) としても、ansible-core 2.20 系を含む バージョン 13 が続いてリリースされました。
- Changelog: ansible-build-data/13/CHANGELOG-v13.rst at main · ansible-community/ansible-build-data · GitHub
- Porting Guide: Ansible 13 Porting Guide — Ansible Community Documentation
Play argument spec validation という、変数チェックに便利そうな機能が tech preview として導入されたり、意図しない挙動を生みかねないタグの指定時に警告が表示されるようになったりしました。
コントロールノードでは Python 3.12 以上、マネージドノードでは Python 3.9 以上が必要になりました。
ansible-core バージョンとサポート Python バージョンの対応表:
Releases and maintenance — Ansible Community Documentation
(参考)当ブログによるまとめ記事
hashicorp.terraform、hashicorp.vault コレクション登場
たとえば、Terraform であれば、これまで cloud.terraform コレクションがありました(もっと前は community.general コレクション内にモジュールあり)。
正確なタイミングは分からないのですが、2025年は以下のコレクションが登場しました。
hashicorp.terraformhashicorp.vault
詳細: New Red Hat Ansible Certified Content Collections for HashiCorp Terraform and HashiCorp Vault
なお、AAP 2.6 の 標準的な EE のとある時点のイメージ registry.redhat.io/ansible-automation-platform-26/ee-supported-rhel9:1.0.0-1106 には、以下のコレクションが含まれていました。
cloud.terraform 4.0.0 hashicorp.terraform 1.1.0 hashicorp.vault 1.0.0
microsoft.iis コレクション登場
IIS のサイトやアプリケーションを操作する microsoft.iis コレクションが登場しました。
Microsoft.Iis — Ansible Community Documentation
一部は、community.windows コレクションから移行したもののようです。
例: community.windows.win_iis_website モジュールは microsoft.iis.website モジュールに移行
詳細は、以下のマイグレーションガイドを参照してください。
Migration guide — Ansible Community Documentation
molecule で executor に ansible-navigator を指定可能に
試せてはいませんが、molecule 25.6.0 のリリースで、executor に ansible-navigator を指定できるようになったようです。
Add navigator as molecule playbook executor (#4457) @shatakshiiii
Release v25.6.0 · ansible/molecule · GitHub
Juniper 向けコレクションの統合
Juniper といえば、junipernetworks.junos コレクションというイメージが強かったかもしれませんが、実はもう一つ別に Juniper/ansible-junos-stdlib というリポジトリ で管理しているコレクション(現 juniper.device コレクション)があります。
junipernetworks.junos コレクションがアーカイブ予定になり、juniper.device コレクションに統合される流れになりました。juniper.device コレクション 2.0.0には、すでに旧 junipernetworks.junos コレクションのモジュールが含まれています。
(参考)当ブログによるまとめ記事
Proxmox 系コレクションの独立(community.proxmox コレクション登場)
これまで Proxmox 系モジュールは community.general コレクションに含まれていました。
2025年5月にcommunity.proxmox コレクション 0.1.0 のリリースとして独立しました。
その後もアップデートが続いています。
community.general コレクションは、ごった煮感が強く、依存Pythonモジュール、システムパッケージの関係も複雑になりがちのようなので、独立するのは良い傾向なのだと思います。
その他
ドキュメント URL の変更
2025年11月、Ansible コミュニティドキュメントの Read The Docs への移行に伴い、URL が変更されました。
- 旧: https://docs.ansible.com/ansible/latest/ (新URLにリダイレクトされます)
- 新: https://docs.ansible.com/projects/ansible/latest/
リダイレクトされるため直ちに致命的な影響はありませんが、今後は projects を含む URL を指定することをおすすめします。
(参考)当ブログによるまとめ記事
AWX のリニューアル工事のその後
2024年、AWX は プラグイン 化や UI の切り離しなど、アーキテクチャ変更のための作業に入りました。この関係で、バージョン 24.6.1 以降のリリースは現時点ではありません。
Ansible Forum 上で、その後についての書き込みがありました。
おわりに
2025年の Ansible 関連の気になったリリースや動向をまとめました。
今年は個人的には、影響度が大きめだった ansible-core 2.19.0 の変更点が印象的でした。
2026 年は何が起こるでしょうか。
現状 Fallible (実験的なAnsible)で実装が始まった、Register Projections という機能の行方は気になっています。順調であれば、来年 Ansible の機能に入ってきそうです。
Happy Automation!
参考
Ansible Forum での今年のふりかえりの投稿
[2026/01/26 追記] 公式の 2025年まとめ