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IRON MAIDENとJudas Priestは馬場と猪木の相似と言えるのかも、ライブ体験からの理解、腹落ちしたこと。

第七の予言(ザ・スタジオ・コレクション・リマスタード)

はじめに

  • 2024年、IRON MAIDENとJudas Priestの来日公演を連続で見に行ってきました。どちらもHR/HMの教科書に載る大御所バンドです。
  • 自分は全カタログは網羅してはないけれど、成り立ち、音楽性含めてなんとなく理解しているつもりでいました。しかし実際にライブに足を運んだこと、その後の復習でようやく理解できたように思えたことあり(遅い)。そこら辺を書いてみました。
  • 二つのバンドは言うなれば馬場の全日本プロレスと猪木の新日本プロレス、ドラクエとファイナルファンタジー、それぐらい違うんやね、という話です。
  • 以下、当時の記憶を再構成しつつ書いてみます。

まずはIRON MAIDEN、バンドの充実と観客の望みとのズレ

  • 2024年09月、横浜ぴあアリーナにて、IRON MAIDENを見に行ってきました。
  • 先日にライブを見たサミー・ヘイガー76歳もビビりましたが、IRON MAIDENのフロントマン、ブルース・ディッキンソンも66歳とは思えぬ躍動ぶり。ステージを走り、高々と歌い上げ、間奏部分では客をダレさせいまいと煽りまくる。MCでは冷房効きすぎて体調悪いみたいなこと言ってたので、本調子ではなかったのかもですが、いやいやどうしてスゲーですよ。
  • 余談ですが、ブルース・ディッキンソンて、飛行機パイロットでもあり、フェンシングとクリケットの名手。歴史学を修めて小説家でもある……って、なろう小説の主人公みたいな多技能持ちですよね。
  • トリプルギター編成でのタイトな演奏、クリアな音響とさすがベテランの貫禄。問題があるとすればセットリストでしょうか。"Future Past Tour"と謳われた通り、新譜と特定の旧譜中心の構成になっていました。近年のIRON MAIDENってある種のプログレ的な、大作志向の曲が多いこともあり、新作からの曲や過去の看板外の曲をやると今いち盛り上がらない印象ありました。いや懐メロ中心で盛り上がれば良しとはしない、新譜や旧作からもコアな曲を敢えて選んでくる、これ俺たちは現役のバンドなんだというある種のエゴを貫く姿勢は立派とも思います。
  • 思いますがしかし、観客(含む俺)はやっぱり旧譜、教科書に載っているような名曲を望んでいて、それこそ"Trooper"とかやるとドッカンどっかん湧いてしまうのですよね……。アーティストの志向と観客の期待がぶつかるジレンマといったところでしょうか。
  • 2025年以降のツアーは有名曲中心のセトリになるらしいです。正直それを下さいよ店長!という気持ちがないと言えば嘘になります。んあー。
  • ライブ終わりは、みなとみらい周辺の海辺をフラついて帰りました。
  • 9月は前述のサミー・ヘイガーも見に行ったり、調子に乗ってやり過ぎた感あり。クレジットカードの請求見て青ざめたので、しばらく大人しくしていようと思います……。

Judas Priest、定番の気持ち良さ

  • もういくつ寝るとJudas Priestなので、予習しておこうと思ったのですが、海外公演でのセトリ見ると予習する必要ないぐらい馴染みのある曲ばかりでしたhahaha。新譜の『Invincible Shield』が充実していたので、折角なら新曲もっとやっても良いのに、とも思いますが。既聴感求めて旧譜からあれもこれもやって欲しいとか言いつつ、そればかりだとマンネリだよなーとか思うのだから、まー観客なんて勝手なもんです。
  • 2024年12月、IRON MAIDENに続き、再び横浜ぴあアリーナでJudas Priest見てきました。
  • ロブ・ハルフォード御年73歳。禿頭に白髭で見た目はある種、サンタクロースさんみたい。さすがに動きはスローモでおじいちゃん然としたもの。でも歌えば往時のハイトーンスクリームをビシバシとキメてくるのだから恐れ入ります。
  • 個人的ハイライトは煽りのMCからの"Painkiller"。90年発表のこの曲、いま聞いても現役のメタルコアバンドにも引けを取らないアグレッションに満ち溢れた名曲やと改めて思いました。未だにこれを歌いきる(キーそのままだった筈)ロブも脅威ですが、シグネチャとも言うべき複雑かつ高速イントロ含め、このビートを平然と叩き出す名ドラマー、スコット・トラヴィスも凄いです。曲が始まった瞬間のブチ上がり具合、今年一だったかもしれません。
  • ラストは定番の"Living After Midnight"。能天気なロックンロール調で、正直そんな殊更の思い入れもない曲だったんですけど、これが終幕なんだと思うと、「パーティだぜ!朝までやるぜ!オウオウ!」みたいなお馬鹿な歌詞が逆に染みてしまい。これはライブという場がもたらした感傷、ある種の誤謬に過ぎないと言えばそうなんですが。まーそういうのも偶にはいいじゃないですか。
  • 音設計では些かギターの音量デカ過ぎの側面はあったかも……。自分の座席位置、ほぼアリーナ中央が幸いしたのか、災いだったのか。まだ耳がボワーンなっとります。
  • 当たり前ですが12月なのでクソ寒かったです。ライブ後にセットリスト順に曲を再生して、わざと遠回りして一駅分ぐらい歩いて帰るとか、ご多分に漏れずよくやるんですが、この日はまっすぐ帰りました。

余談:輝かしいキャリアの影

  • Judas Priest、長いキャリアあるバンドなので、揉め事も色々あり、直近で言えば脱退してしまったKK・ダウニングとの確執とか……。パーキンソン病でツアー参加出来てないグレン・ティプトンはスクリーン投影されて、ある種の顕彰に感激するけれど、KKは今……とモヤる気持ちもあり。
  • あと今回のライブではロブがMCにて、過去のアルバムを振り返る、それ自体はエモーショナルな場面があったのですが。『Jugulator』と『Demolition』はスキップされていました。この二枚はロブが脱退していた時代のアルバムで、まー彼の立場からするとコールしないのも、そりゃそうなんだけど、一抹の寂しさを感じましたね。冬の時代、ロブの代わりに出来る限りの貢献をしてくれた、不世出のボーカリスト、ティム・リッパー・オーウェンズのことも忘れないで欲しいです。

ライブ後の復習で思ったこと

  • とまあ、ライブに足を運び、それなりに楽しんできたつもりなのですが。後に復習を兼ねて改めて曲を聞いたりして、今更に気付いたことあり。正直言うと、自分は基本的なことが分かっていないまま、ぼややーんとした認識だったんやなーと。

IRON MAIDEN、長尺の職人

  • まずはIRON MAIDENについて。彼等はそのバンド名とか、時にホラー映画調でもあるアルバムジャケットから典型的なメタルバンド、記号的な印象あると思います。またそのジャケットに登場するキャラクター、エディ君がライブにも参加したりと、ある意味サーカスのような、お祭りバンドという感もあります。
  • しかしですね、ぶっちゃけて言うと実際の彼等の曲自体は渋い、通好みとさえ言えるものと思うのです。上述の文章で「近年はある種のプログレ的な、大作志向の曲」とか知った風なこと書きましたが、あれは浅薄な理解で、元より長尺曲が多いんですよね。
  • バンドのリーダーであるスティーブ・ハリスはGenesis、Yes、Jethro Tullといった往年のプログレへの思慕を公言されています。
    • www.ultimate-guitar.com
      • 初期のジェネシスの曲には鳥肌が立ちました。ELPの『Take a Pebble』も最高でした。ジェスロ・タルを初めて『トップ・オブ・ザ・ポップス』で観た時のことを覚えています。母は大嫌いでしたが、私は最高だと思いました。
  • プログレ的構造(長尺、転調、テーマ回帰)は勿論のこと、歌詞世界においても、歴史やSFを題材にしたコンセプトアルバムの形式を取ることあり、特に初期Genesisからの影響は顕著だと思います。
  • ここら辺は別エントリ、あんこくしんわを巡る話でも書かせて頂きました。
  • 初期ボーカルのポール・ディアノ在籍時は直線的な曲傾向だったと思いますが。朗々と歌い、ドラマを紡げるブルース・ディッキンソンに交代後はプログレ路線はほぼ確立して、以降もあまり変わらずにやってきたバンドと思います。90年代、数多のバンドが方向性に迷い、ブレまくったグランジ全盛期でもこの性質は変わらず、アルバム一曲目から当たり前に11分台の大作をカマしたりしています。時代に迎合しない、という特徴は一貫していると思います。
  • ついでに言うと出で立ち、ルックス面もあまり変わってないと思う……。こういうとアレですが、庶民的と言うかおじさん的佇まいですよね。それもまた彼等の変わらぬ美学と思いますが。
  • つまり表層の狂騒的なイメージとは裏腹に、暖簾の味を守る頑固な職人。長尺プログレ志向バンド、それがIRON MAIDENなんだという、わたくしなりの理解です。

Judas Priest、短尺の流行好き

  • 一方のJudas Priest。こちらは短尺、覚えやすいキャッチーな楽曲が魅力と思います。
  • 彼等はストレートな古典的ハードロックを起点にしているという認識です。
    • Glenn Tipton - Official Website
      • 初期に影響を与えたのは、ヘンドリックス、ディープ・パープル、そしてレッド・ツェッペリンです。ヘンドリックスがどこから来たのか、今でも信じられません。シアトル出身だったのかもしれませんが、彼はまるでどこからともなく突然現れたんです。
      • 初期のパープルは大好きで、オルガンとギターの融合が生み出す力強いサウンドは、当時としては他に類を見ないものでした。レッド・ツェッペリンについては、何と言っても「Whole lotta Love」「Communication Breakdown」「Black Dog」、そして壮大な「Kashmir」。これもまた、素晴らしい曲が並ぶ、他に類を見ないバンドでした。これらのバンドは、初期の頃からずっと私の心に深く刻まれてきました。
  • また一貫性を良しとする前述のIRON MAIDENと異なり、時代毎に音作りはカメレオンのように変化していると思います。ハードロック調だった初期、金属的リフを確立する中期、デジタルな質感に急接近した『Turbo』、スラッシュメタルへの回答としての名盤『Painkiller』、ロブの脱退からモダンヘヴィネスへの傾倒……。
  • IRON MAIDENの楽曲がスティーブ・ハリスのベースで駆動するのに対して、Judas Priestのドラマの主軸はギターリフ……なんですが2000年以降はこれも変化していて、2008年の『Nostradamus』なんかはゴシックメタル的と言えるかも。珍しく長尺曲も増えますが、曲のドラマはシンセや音響に頼り、プログレ的な演奏主体の展開で引っ張るスタイルではない。ここら辺、以前書いた別エントリの「映画サントラ化するメタル」という話に通じるかもしれません。つまりKamelotのシンフォ化に近いアプローチだったのでは。
  • 2024年時点の最新作、『Invincible Shield』ではまた異なる、硬質なリフと浮遊感が同居するモダンな音像へ舵を切っています。ここら辺はプロデューサー兼、ライブではグレンに変わりギターも担当するアンディ・スニープの手腕という理解です。
  • あと忘れてはいけない服装も、時代毎に激しく変化しています。Judas Priestと言うとメタルの意匠を決定付けたレザー&スタッズ姿の印象強いですが、スパイク大量のサイバー調衣装の時期等もあり。
  • これは84年のライブ映像ですが、現代とのファッションの違いが分かるかと思います。あと往時のロブ・ハルフォードの美丈夫ぶりにうっとり。誰だサンタクロースとか言ってたやつは。
  • メタルゴッドなんて呼ばれ方から質実剛健な印象あるけれど、流行に左右される、時代と寝ることを厭わない。これ決してネガティブな意味ではなく、柔軟性に富んだバンド、という認識です。

再整理してみる、全日本vs新日本プロレス、あるいはドラクエとFF

  • 整理するとこんな感じでしょうか。
    • IRON MAIDEN:不変、長尺、遅効性
    • Judas Priest:変転、短尺、即効性
  • どちらも偉大なバンドであることに違いありませんが、冒頭に書いた、なにから何まで違うやねえ、とはこのことです。ライブで感じたIRON MAIDENの楽曲のよくも悪くも長尺複雑故のノリずらさ。Judas Prisetの短尺明快故の爆発的盛り上がり、意外にロックンロール的な大味感。それもバンドの出自含めた所以あるものだったんだなと。
  • 言うなれば前者はジャイアント馬場時代の全日本プロレス、後者はアントニオ猪木体制の新日本プロレスのようではないかと。王道、古典の安心感と異種格闘技戦すら厭わない進取の気風。
  • あるいはドラゴンクエストとファイナルファンタジー的関係と言えるかもしれない。明確な作家性に統一されたドラクエと、作品毎にがらりとシステムを変えてくるFF。バンドの頭脳、中心人物のスティーブ・ハリスは堀井雄二と似た存在と言えるかも……なんてな。
  • 実際はIRON MAIDENよりJudas Priestの方が先達なので、このアナロジーはあまり適切ではないのですが。まあ与太と思って許してつかあさい。

さいごに

  • ライブイベントって、頭空っぽにしてうわわーいと楽しむのが最大の目的ではあるのですが、こうして予習復習を通じて理解が深まることの面白さもあるよな、と思います。自分が分かってなかったことを分かる喜びと言いましょうか。
  • だいたいはWikiに書いてあるレベルの話なので、むしろお前、そんなことも知らなかった、理解してなかったんかい!と言われたら、それはまあ、はい。言い訳すると、こう、教科書的理解を超えて腹落ちする納得の感覚があって、それが面白くて書いてみた次第です。



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